自工会業界トピック

大型トラック1500台、水素ステーション30基、水素価格1000円が基準。水素大動脈構想の10年目標

公開日: 2026/07/27

更新日: 2026/07/29

自工会は5月21日、日本自動車会館で記者会見を開催した。今回は二部構成で行われ、一部では「新7つの課題」における水素、物流、自動車産業カレンダーなどについて、メーカーの各担当者が進捗状況を説明。その後、二部に移り、佐藤 恒治会長をはじめとする正副会長が登壇し、「新7つの課題」全体の解決に向けた取り組みの進捗状況説明が行われた。

マルチパスウェイの社会実装として幹線輸送での水素トラック普及を促進

マルチパスウェイの社会実装として幹線輸送での水素トラック普及を促進
マルチパスウェイの社会実装として幹線輸送での水素トラック普及を促進

日本が勝ち抜くためには、いくつかのポイントがある。そのうちの一つが、日本にとっての優位性でもある3つの水素関連技術(「つくる・はこぶ・つかう」)の活用。水素需要を拡大し、産業競争力を強化することにある。次に進むべき道としては、まずモビリティが全体をけん引し、問題点を解消しつつ水素消費量の拡大を目指す、としている。

水素消費量が増えれば水素価格の低減につながり、他産業における代替エネルギーとしての活用にも結び付く。そして水素社会の実現に向け、官民連携で「水素大動脈構想」を実現し、水素利用の拡大を狙う、というものだ。

この先、10年間で大型トラック1500台、水素ステーション30基、水素価格1000円を基準に国、自治体、ユーザー、ST事業者と連携し前進する計画だ。

サプライチェーン全体での競争力向上に向け、共同物流実装に向けた標準PFを構築

サプライチェーン全体での競争力向上に向け、共同物流実装に向けた標準PFを構築
サプライチェーン全体での競争力向上に向け、共同物流実装に向けた標準PFを構築

まず、ドライバー不足の解消について意見を共有。また、①資源が少ない日本は地政学リスクから、原材料の高騰が起こった際、経済や消費者を直撃する。この構造を解決する。具体的には逆物流と順物流の活用により往復ループ、循環型の物流を構築。これが材料の安定調達や製品の安定供給に繋がっていく。

②自然災害が多く発生する日本では、物流が止まることで、経済や生活が機能不全に陥るリスクは非常に高い。ただ、共同物流により複線化は可能。データを共有化することで、リアルタイムでスピーディーに迂回をしたり、再配分をしたりすることができるようになる。

「人材基盤の強化」で産業カレンダーの見直しも

「人材基盤の強化」で産業カレンダーの見直しも
「人材基盤の強化」で産業カレンダーの見直しも

業界の生産性向上や働き方改革の第一歩として、祝日休日の設計に合わせたカレンダーの見直しを行う。具体的には2027年度のカレンダーより祝日が稼働となっている自動車カレンダーを見直し、ゴールデンウィークの平日を稼働日に変更することとし、月曜日に当たる祝日の一部休日化を検討する。

労働者の変化や価値観の多様化など世の中の流れに対し、自動車産業が多様な働き方を提供していく、あるいは作っていくという流れをスタートさせる。その一歩として、27年度はゴールデンウィークの連休前後に集中していた工事や設備対応、切り替え作業を平準化させることにチャレンジする。これにより工事設備系協力会社の工事計画の安定化、人員手配の効率化、中長期的な人員確保育成につながる。将来的にはより一層の生産活動の安定化効率化を通じ、休日増を含む多様な働き方を実現できる産業構造への進化を目指す。

◆ ◆ ◆


第二部では佐藤恒治会長がコメントを発表。中東情勢をはじめ自動車産業を取り巻く環境が厳しくなっているなか、自動車産業が取り組むべきことは、安定したサプライを持続させ、多様化するエネルギーに対するソリューションを準備することを挙げた。また、「新7つの課題」では、議論だけではなく行動を大事にするカタチをとる、と、スピード感を持った対応を強調した。

質疑応答

佐藤恒治会長
佐藤恒治会長

Q. 水素で高速道路を作ろうということだと理解しているが、例えば水素自動車を走らすなら高速道料金引き下げなど、何かインセンティブなどのような仕組みが必要では。

A. 水素価格はまだ支援を受けている中での議論。財政的な負担はサステナブルではない。今回のスキームは、これまで長年取り組んできたノウハウに基づく水素事業として成立させるもの。ステーション一基あたり年間250トンほどの水素使用量があると、経済合理性が見えてくる。これはモビリティ領域だけでは成立しない。サプライ側など多方面と連携し、トータルでスキームを作ることで行政と進めている。まだ制度が確立されていないほか、制度自体が障害となるなど様々なことが見えている。普及に向けてモビリティ事業者から事業の継続性が得られるような支援はどういうモノなのか、などについて探っているところだ。

Q. 水素モビリティについては日本が強い。2050年で水素トラック1500台、ステーション30基、価格1000円とのことだが、普及が進まず難しい過去もあったと思う。水素ステーションは休眠中のところもある。これをどう打破していくのか。また、サプライチェーンを維持し止めないための取り組みについてはどうか。

A. まず水素(エネルギー)を経済合理性のあるビジネスモデルとして作ること。実はモビリティ領域の水素使用量は他の産業セクターより小さい。課題は投資の予見性を高めるということと、使用量を増やして水素価格を下げる。この2つに絞られる。まずモビリティが先頭、いわゆるファーストペンギンとなり、水素エネルギーは有用であるという産業基盤を作る。そして次の産業セクター、例えば発電、鉄鋼など大きな水素使用量が見込める産業にどうやってバトンを渡すのか。これをまとめて考えなければならない。

A. 自動車メーカー各社において足元で影響がでることはないが、ホルムズ海峡の閉鎖により、一部水素向けの車両の生産が制限されている。ここは大きな課題。政府と連携しつつ正確な情報発信を行っていく。それから原材料の高騰も課題だ。

A. 全体としての供給は軌道に乗っているが、尽力が必要なのはパイプライン全体で目詰まりを起こさないような丁寧な対応だ。ナフサについては国内の生産状況や中東以外の流入も増えてきている。足元で一部、過剰な購入が発生しているが、昨年の供給量・購入量を基準とし、その目線で適正な購入を全サプライチェーンで行うよう取り組んでいる。

5月12日に資源エネルギー庁から、供給抑制状況に関する資料が届いた。即座に関係部署と情報共有し、買い占めの動きがないように注視しながら進めている。



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