公開日: 2026/09/28
更新日: 2026/09/30
いまから30年前、二輪販売店として創業したティーズ。当時は主に国産を扱っていたが、新商材として扱い始めたロイヤルエンフィールドが2020年頃にブレイク。現在では同店の屋台骨に成長し、全販売台数の50%を占める。販売車両に関する情報発信はブログとSNS。SNSによる認知→HP・ブログによる検討(信頼)→行動(来店)という流れの構築により、ティーズ独自の販売サークルが機能。これが最大の強みとなった。
格子状の街区や定禅寺通のケヤキ並木、広い道幅は、どことなく札幌の大通公園を思わせる。東北地方の経済・行政の中心で、人口規模も100万人を超える大都市、それが仙台だ。
今回、訪れたのは、仙台駅からクルマで20分ほどの場所にある株式会社ティーズ(高橋新一郎社長)。駅前に林立するビル群を背に、「杜の都」のシンボルとも言える青葉通の緑のトンネルを抜け広瀬川を越える。移り変わる景色を眺めながら、「大崎八幡宮」の門前町である八幡町へと向かった。ティーズの所在地だ。ちょっとしたドライブではあったが、グラデーションのように移り変わる街並みの一端を垣間見ることができた。到着し店内に入ると高橋社長が出迎えてくれた。
驚いたのは、平日の午前中であるにも関わらず、入れ替わり立ち代わり10名ほどの来店客が確認できたこと。平日でも開店直後から来店するのは、ごく普通なのだという。
店舗はかなり特徴的。二階部分はアーチを描いた半円状の造形。訪問前にショップ画像を確認しておけば、遠目にも一発で視認できる。個性的なデザインだが、同店の歴史をひも解くと、かれこれ100年以上の老舗であることが分かった。ご多聞に漏れず創業は自転車販売店で屋号は高橋自転車。ただ、厳密に言うと、自転車を扱いながらバイクを販売品目として増やしたのではなく自転車は自転車、バイクはバイクと完全に分け二輪販売店として設立した。銀行も保険会社もすべて別。つまり二輪販売店としての創業者は高橋社長ということ。設立は1990年。かれこれ30年以上が経過する。
高橋社長は学校を卒業後、ヤマハに入社し3年間、基礎を学んだ。その後、カロッツェリアジャパンに転職。その2年後にティーズを立ち上げた。ヤマハ車を中心に販売しホンダ、そしてスズキと取り扱いメーカーを拡大していくなか、“出逢った”のがロイヤルエンフィールドだった。2020年まで販売されていたブリット500に乗るユーザーから、修理して欲しい、と言われたのが、そのキッカケ。その後、東北オートバイ事業協同組合の販売展示会での車両展示を経て本格的に販売を開始した。いまから15年ほど前のことだ。当時はまだ取扱店が少ない頃。東北ではティーズがオンリーワンだった。つまり、一部のマニアックな人の要望に応えつつブランドを育てていった、そんな感じだ。
いまではベンダやモルビデリといった新興ブランドの取扱いも開始した。これらの車両は、国産メーカーとは一線を画す独創的なデザインと優れたコストパフォーマンスがポイント。近年、注目を集めているブランドだ。その他、ピアジオ(ベスパ)、アプリリアといったメーカーも取り揃える。
昨今のネオクラシックブームに端を発した海外ブランド(新世代クルーザー)人気は、新たな潮流を生んでいる。250ccクラスにはVツインクルーザーが存在しない、という空白を狙ったものと言える。
「ライダーが求めるモノ、要望が変わってきてます。昔はハヤブサだ、R1だと言う人が多かったけど、いまは『もうそろそろゆっくり走ってもいいじゃない?』という考え方に変わってきている。また最近、バイクに乗り始めた若いお客さんも、まずスピードを求めません。ミドルクラスが最適、と思っている人が多いんです。年齢的に排気量の大きい重いバイクはキツイ、という人も増えてます」
こう語るのは高橋社長。需要の流れがトレンドと完全にマッチしていることが分かる。エンフィールドについては、東北唯一の正規ディーラーでもある。販売シェアは全体のおよそ5 割。売れ筋はメテオ350、ハンター350、クラシック350あたり。メテオの発売は、ティーズの販売戦略の根幹に大きな影響を与えた。それは年齢層だ。
ティーズでも年々、高齢化が進み、数年前にはついに50代半ばを超えた。この状況に危機感を覚えていたが、ついに転機が訪れた。2021年にメテオ350の日本国内での販売が開始されたのを機に20代〜30代のユーザーが次々とバイクに乗るようになったのだ。それは一過性のものではなく現在も継続している。これが同社の平均年齢を大きく引き下げたのだ。
「平均年齢が10歳下がりました。60歳を過ぎてバイクを降りる人の人数を、新規の若いお客さんの流入人数が上回り、その状況がずっと継続しているのです。若年層が増えたので、彼らをジックリと育てていくんだ、そんな思いで接しています」
まさに好循環である。エンフィールドは、本格的に日本に初上陸した頃から女性ユーザー人気が高い。同店でも同様。20~30代の女性からの支持は根強く、その多くはSNSからの影響。中には50代で購入し夫婦でツーリングを楽しんでいる人もいる。
ユーザーがエンフィールドにたどり着く経緯は、こんな感じだ。最初は存在すら知らない。多いのはホンダのGB350などネオクラシック系バイクを調べているうちに、エンフィールドにたどり着くというケース。外車は全く考えていないところに情報が勝手に流れてくる。それを見てデザインに魅了され『何これ、カッコいい!』となる。特に女性は前述の通りインフルエンサーからの影響を強く受けやすく、ほぼ全員がファッションと紐づけているのが大きな特徴だ。
高橋代表は、こんなエピソードを紹介してくれた。
「メテオ350の廃盤カラーとなったブルーがいい、という20歳の女子大生が来店しました。でもデザイン的に気に入ったのはクラシック350。そこでクラシックをメテオの廃盤カラーで塗装し『世界に一台』のバイクに仕上げました。塗装だけで20万円なので、車両と合わせ110万円ほどでした」
その学生がそこまでこだわったのは、「好きな小説に出てきたバイクがクラシック350にソックリだから」だそう。どこにキッカケがあるのかは、分からないものである。
この話には、「払ったのは学生の祖母」という“落ち”が付いたが、そこまで心酔するほどの引力があるバイクであることは確かなのだろう。
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