公開日: 2026/10/01
更新日: 2026/10/05
自動車技術会デザイン部門委員会は8月20日~21日の2日間にわたり、東京造形大学(東京都八王子市)で「第14回 二輪デザイン公開講座」を開催した。
この講座は、自動車技術会デザイン部門委員会に所属する国内二輪4メーカーおよびGKダイナミックスのデザイナーが中心となり、全国のデザイン系大学や専門学校に通う1・2年生を対象に毎年開催。日本が世界に誇る二輪業界の魅力と二輪デザインを「知り、体験できる」参加型プログラムとして、バイクの魅力に気づく機会を提供するとともに、プロのデザイナーを目指す道筋を示す支援を推進している。
当日は関東圏だけでなく、大阪府や富山県、新潟県など遠方からも定員となる32名の学生が参加。二輪に詳しくない受講生も多く、「初心者でも参加しやすそう」「デザインの仕事を実際に体験してみたい」と、参加を決めた学生も見られた。また、二輪デザイン公開講座は申込段階でキャンセル待ちが発生するほどの人気ぶりで、一般見学者約20名も含め、会場には50名を超える参加者が集まった。
1日目は、本田技研工業モーターサイクル・パワープロダクツデザイン開発室室長の西本太郎氏による「あなたの知らない二輪デザインの世界」をテーマとする基調講演からスタート。同氏は、モーターサイクルをデザインする上で、エルゴノミクス(人間工学)は欠かせない要素であると説明。二輪車は機能部品が外観になっており、同時に外観形状が走行安定性やハンドリング、取り回しなど、様々な機能に大きな影響を及ぼすため、二輪デザインとエンジニアリングは切っても切れない関係にあると語った。
また西本氏は学生に向けて、「技術や知識も重要ですが、特に大切なのは作り手の“こういうものがあったらいいな”という強いパッション。デザイン自体が目的ではなく、その先にいるお客さんのことをどれだけ考えられるか、彼らに何を提供できるか、どうやって喜んでもらえるかが、デザインの醍醐味であり、大事なことだと思っています」とメッセージを送った。
続いて、国内二輪4メーカーによる展示車両紹介も実施。Ninja H2Rのエンジン始動デモンストレーションでは、迫力のサウンドを収めようとスマホを向ける学生の姿が多く見られた。
その後、メインプログラムである「二輪デザイナー・モデラーの卵養成講座」が行われた。項目は下記の4つ。
・鉛筆やコピックマーカーを用いたフィジカルスケッチ
・液晶ペンタブレットを用いたデジタルスケッチ
・実車を用いたCMF(カラーリング)
・インダストリアルクレイを用いたクレイモデリング
学生は4グループに分かれ、各項目を順次体験。120分という充実した体験時間が設定されていたものの、作業に没頭する学生達からは「時間が足りない」という声が多数上がるほど熱気に包まれていた。なお、参加者が全項目を体験できるよう、2日目はメインプログラムを中心にスケジュールが組まれた。
また1日目の養成講座終了後には、入社2~6年目の若手デザイナーによる座談会も実施。「デザイナーになろうと思ったきっかけ」「仕事で感じた達成感」「学生時代にやってよかったこと」などのテーマに沿って、等身大の経験談やアドバイスが語られた。
二輪デザイン公開講座に参加した学生からは、「二輪デザインの楽しさを実感できた」「今後の自主制作や進路に生かしたい」「二輪デザイナーには高度な機械知識が不可欠だと思っていたが、自分も今から目指せると分かった」といった感想が寄せられた。
上記の座談会に登壇した若手デザイナーの中には、学生時代に二輪デザイン公開講座に参加し、それをキッカケに二輪メーカーのインターンに応募して夢を叶えた先輩の姿もあった。二輪業界への一歩を踏み出すキッカケとしてはもちろん、プロの技術を直接学べる同講座は、受講した学生達にとって大きな刺激となったはずだ。参加者の中から、次世代の二輪業界を牽引するデザイナーが誕生することが期待される。
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