自工会業界トピック

「新7つの課題」に対してスピード感を持って取り組む。自工会記者会見

公開日: 2026/04/22

更新日: 2026/04/28

自工会は3月18日、日本自動車会館で記者会見を開催した。出席者は2026年1月1日より、片山正則氏(いすゞ自動車会長)の後任として自工会会長に就任した佐藤恒治新会長(トヨタ自動車代表取締役副会長)をはじめとする正副会長。「新7つの課題」やサプライチェーンの地政学リスク、人材基盤への強化などについて発表が行われた。

自動車産業の熱量、本気度を、リアルタイムに伝える

佐藤恒治会長
佐藤恒治会長

まず、佐藤会長より、「足元で起きている脱炭素、地政学リスクの高まり、資源・エネルギーの制約、人材構造の変化など、個社では解決できない課題が同時多発的に押し寄せている状況にある」と説明。そのうえで中東情勢を含む地政学的リスクの高まりや、エネルギーやサプライチェーンの不確実性に対する強靭化は大きなテーマの一つ、と語った。

また、今年の春交渉を通じて意識しているのは、産業としての競争力。日本の自動車産業が国際競争力を保ち続けるために構造課題を解決する、という大きな視点に立った取り組みが、新7つの課題であることを強調。これに取り組む上で、共通する想いは三つあると指摘した。

新7つの課題の取り組みテーマ案
新7つの課題の取り組みテーマ案

一つ目は、自動車産業内で解決する問題だけではないので、産業を超えた連携を共に創るという意味で「共創」を実現していくべき、という問題。この視点に立った時、自動車産業の発展をゴールに置くではなく、自動車産業が社会にどんな役割を果たせるのか、どんな社会を実現できるのか、をゴールとすることが重要、とした。

二つ目は、ゴールを社会実装に置くこと。これは、「大玉のテーマ」を社会実装するところまで持っていくことを意識する。そして三つ目は、多様性を強みに変えていくこと。14社で構成される自工会は、多様なモビリティにエンゲージしている企業が一つの目的に向かっている、極めて稀有な団体。このエネルギーが日本のモビリティ、日本の自動車産業の勝ち筋につながっていく原動力。これら三つの観点から、7つの課題に対してスピード感を持って取り組むことを明らかにした。

新たな取り組みである以上、簡単には進まないもの。その過程も含めて、自動車産業の熱量、本気度を、リアルタイムに伝える。そして、豊かなモビリティ社会を作っていくための社会実装の取り組みを精力的に進める方針について言及した。

質疑応答

Q. 新7つの課題の議論を積み重ねていると思うが、現段階で感じている難しさは。

A. これは、特定企業がけん引すれば達成可能、というものではない。官民の連携は欠かせない。例えばクリーンエネルギー。自工会の都合だけではなく、石油会社などと話を勧めることで、相互理解を深めることができた。関連業界や政府と一体となり話を進めていけば、解決の道筋がつく。協調領域において、スピード感を持ち進めていけるかどうかがキーになる。

A. 理事会では課題認識を相当議論した。いまはほぼ認識は統一されている。一番重要なのはスピード感。これがないとグローバル競争力は確保できない。

Q. 新7つの課題の「人材基盤の強化」(29ページ)が検討中となっている、個社でも開発や生産、販売などそれぞれレベルも異なると思う。整備士不足やIT人材の確保なども大きなテーマになる。特に注力すべきポイントは。

A. 今後の自動車産業における労働人口は、減少の見通しでかなり苦しくなる。30年代に入ると2割減の見通し。つまり現状でいくと、20%生産性を上げないと、現状維持ができなくなるという危機意識がある。一方、 AIやロボティクスなどには、生産性向上に向けたアプローチが求められる。また、人材やスキル、メンバーのエンゲージなどの議論を進めている。我々はハードが主体のモノづくりが中心なので、ソフトウェア人材を自動車産業として育て活躍の場を作ることが必要。

Q. 自工会の新7つの課題を考えると、高市政権とうまくタッグを組めるように思う。

A. まさにいま、高市政権が掲げている 「戦略17分野」の受け皿となる技術をベースに何をすべきか、経済をどうするか、が議論された場合、そこで求められるのは、出口戦略をどう持つか、だと考える。それを担うのが、モビリティ。「戦略17分野」のほぼ全てにモビリティ領域が関わっている、そんな産業。そこで実際に社会実装していく。そこにしっかりとした意思を持った投資を行い、循環させていく。この出口戦略を担うのが我々自動車産業であるべきだと思う。政策と連動させつつ国の政策とも連動し、新7つの課題に取り組んでいく。

A. 我々ははどちらかというと、モビリティを中心にものを見ている。だが、クルマ・バイクとインフラ、制度が同時に成熟しなければ、普及はなかなか実現しない。特にエネルギーも多様化する中で、ワンシングルアンサーではない社会なので、多様なトライを実施し、実質的な投資に振り向けていくためには、色々なアクションを行い投資を行っていく。あまり生産面だけにフォーカスするのではなく、モビリティ社会を形成していくための多重的な取り組みにしっかり投資をかけて需要を喚起する。そんな構造であると考えている。

Q. 自動車関税が導入されてから1年が経過するが、これが業界にどのようなインパクト、影響を与え、それを克服するために取り組みと今後の見通しも含め教えて欲しい。

A. 二輪関連の関税対応については、日本と米国だけではなく全世界的な視点が必要。それぞれのリスクも含めた選択が求められる。米国に対しては中国の対応、ロシアも含めた対応もある。これがそれぞれインパクトを持つ話になってきたので、その最適解をどこで取るか。これが必要だ。昨年度の関税のインパクトは、期中から期末にかけてだった。今年は年間を通じて発生するということで、利益低下要因としては今年の方が大きく出る。これについて議論を進めている最中だ。



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