公開日: 2026/08/31
更新日: 2026/09/03
2025年の二輪免許交付件数は、前年比で約5万件下落の30万8246件と2019年以降、最大の下落幅となった。2021年には40万件を超えたが、わずか4年間で段階的に10万件も減ったことになる。背景には車体価格やガソリン代、保険料などの上昇により生活防衛意識が高まり、免許取得を諦める人がいるのが現状だ。
運転免許統計が6月24日に発表された。例年に比べ2ヶ月以上、遅い発表だ。毎年、本件に関する情報を特集記事として掲載しているが、ちょうど1年前、2024年実績として発表された大型二輪、普通二輪、原付の併記と新規の合算は当初、33万6943件と発表されたが、その後、更新され35万4734件に修正された。つまり、実際は1万7791件多かったことになる。これを踏まえたうえで見てみよう。
まず、大型二輪と普通二輪、原付の併記と新規の合算数字は、2025年は30万8246件。これに対し2024年は35万4734件となっており、前年比では86.9%と大きく減少した。これがどれだけ大きいかについて確認してみる。
まず、2020年から。この年はコロナがまん延した年。前年比107.3%の36万4035件となった。ピークとなったのは翌21年。111.8%の40万7076件を記録した。だが、2022年は39万5094件の97.1%と100%を割り込み、2023年は36万0874件の91.3%とジワジワと下落した。2024年は90%を下回るかと思われたが、98.3%にとどまり、下げ止まり感が漂った。
けれども2025年に入ると一転し、前述の通り30万8246件の86.9%と90%を割り込んだ。一気に4万6000件もの下落を記録した年は、過去数年において見当たらない。にわかには信じがたい数字である。
これを教習所卒業者数の年別推移という視点で見てみると、大型二輪は2024年の7万1625人に対し2025年は6万6618人で7.0%減。普通二輪は同17万9859人に対し16万8319人でマイナス6.4%となっている。免許交付件数の減少幅である86.7〜87.5%と比較してもほぼピタリと一致しているのが分かる。
参考までに普通自動車免許の卒業者数を見てみると、102万1108人から103万3525人に増加しており、プラス1.2%となっている。
こうした状況を踏まえ、クラス別に結果を見てみる。まずは大型二輪。2021年の9万3647件以降は明確な下落となり、2025年には6万4734件と前年比で1万件の減少。比率は87.5%にまで下がっている。普通二輪も傾向としては同様。2021年の21万7115件をピークに下落。2024年には18万6582件と前年比98・4%にとどまったが、2025年に入ると雪崩を打って下落。マイナス2万4661件の16万1921台で前年比86.8%となった。
原付に目を転じると、このクラスも2021年の9万6314件を頂点に、ジワジワと下落。2024年には9万4152件と2000台ほど回復したが、2025年になると一気にダウンし8万1591件にまで下落。前年比では86.7%となった。コロナ禍による需要拡大期は9万2000件〜9万6000件で横ばい推移となったのが特徴。このクラスは新基準原付が関係するが、一部の新車在庫を除き50㏄原付を新車で買う選択肢大型二輪、普通二輪ともに前年比86〜87%と大幅に下落がなくなったことや、一種ではなく二種を選ぶという意識の働きが影響していることも考えられる。
再び教習所に目を向けると、過去の件数にはコロナ禍による教習所機能の停滞(キャパシティオーバー)により、2023年頃までは、教習申し込みから卒業までに数か月〜1年ほど時間を要した。実際に入校制限や受け入れ停止を打ち出したところもあった。そのため、2023〜2024年の統計数値には「教習待ち需要」が含まれており、見かけ上の交付件数が底上げされているという見方もある。けれども2025年になると、2024年半ばまでにこの「教習待ち需要」が完全になくなった。そのため2025年は同年に発生した新規取得需要だけとなり、表層化している数字が押し下げられた格好。つまり通常に戻ったというわけだ。
教習費用も上がっている。これについてフリーライターの山根陽一さんは語る。
「総務省発表の小売物価統計調査では、指標となる指定自動車教習所の教習料金は、2016年から現在までの間に全国平均で15%ほど上がっています。二輪教習も四輪と同じ教習所のコース、指導員、燃料を使用しているため、基本的には四輪車と同じ上昇カーブ(10〜15%程度)を描いています。数千円から数万円、率にすると5%〜17%の幅での値上げが多くなっています」
(A教習所の普通二輪)
改定前→約17.1万円改定後→約19.8万円約15.7%上昇
(小型二輪 普通二輪MT所持)
改定前→約10.3万円改定後→約11.7万円約13.5%上昇
山根氏は教習所の人員不足についても指摘する。
「インストラクター不足はかなり深刻化しています。これが値上げの最大要因と言えるでしょう。若い指導員の定着率を高めるため、初任給の引き上げを行っているところが多く、その分が教習料金に転嫁されている状態なのです」
これは人手不足に起因する問題。インストラクターの高齢化、人材不足により、繁忙期には受け入れ人数を制限せざるを得ない教習所も増加傾向にあるのが実態だ。
ここで大型二輪の女性ライダーの比率について見てみる。年によって揺り戻しがあるのが大型二輪の大きな特徴。2021年に6972件で前年比132%を記録したのがピーク。その後2022年には105.3%、2023年は87.1%と下がったが、2024年には100%と再び回復。2025年度に入ると一転し、86.5%となった。
普通二輪も似たような推移となっている。コロナ前の2019年とピークだった2021年の伸び率を比較すると、男性の123.2%に対し、女性は142.5%と男性の2倍近い勢いで拡大している。全体に占める女性のシェアは以下の通り。
「2019年」18.5%(普通二輪の女性比率17.3%)
「2022年」19.7%(同20.4%)
「2025年」20.2%(同20.6%)
この数字を見て分かるのは、全体の交付件数は減少しているが、女性の比率は拡大し2割になっているということ。この事実から、一過性のブームではなく定着したという見方ができるだろう。
女性ライダーの傾向としては、男性以上にバイクの見た目(デザイン)やライフスタイルを重視する傾向が強い。
スペック云々はあまり重視せず、デザインやカラーリングを中心に、自分のファッションに合うかどうかに重きをおく。これについて前出の山根さんは、「女性がウェアを選ぶ場合、バイク用に見えないものをチョイスします。いまはネオレトロが主流なので、クラシック調が多いですね。また、情報共有が活発なところも女性ならではの特徴。インスタやX を通じて女性同士の横のラインを作るのです。男性主体のコミュニティに入りづらさを感じる人もいます。そうした時は、女性限定のツーリングや、あるいはSNSコミュニティを通じて、『足つきの悩み』や『取り回しのコツ』などについて感じていることを共有する傾向にあります」
女性比率の高まりについては、ビギナーを対象にしたアプローチやエントリーモデルの充実は欠かせないだろう。女性比率の拡大を支えるモデルは、やはり軽二輪クラスでは足つき性はもちろん、低重心で安心感のあるレブル250や、「カッコいいバイクがいい」という意見を反映したNinja250やYZF-R25あたり。大型を取得した女性でも比較的安心して乗れるZ650RSやSV650、MT-07などだろうか。
次に年齢別で見てみよう。大型のボリュームゾーンは20~24歳の1万1342件。普通二輪も同様に20~24歳で3万8998件。そして原付はその性質から16歳から19歳となっており、4万8424件。逆にピークアウトは大型・普通二輪ともに60~64歳。言い換えれば、この年齢層でバイクから降りる人が急激に増えるという実態が見えてくる。
これらの結果から言えるのは、マーケット自体が縮小フェーズに向かいつつある、ということ。成熟期に入ったと考えるのが妥当なのだろう。この先は新規層の獲得も重要だが、コロナ禍で免許を取得した人たちをいかに定着させるか肝要。
女性ユーザーに対しては、少し前まで女性がバイクに乗り始める動機として多かった、「彼氏や夫が乗っているから」などの受動的な形態から、いまはSNSで得た情報の発露、つまり得た情報を自分なりに咀しゃくし、それをファッションなどを通じて自己表現する。そんな動きにシフトしているのが現状。こうしたことを理解したうえで、前出の山根さんは、「足つき性に関する対応」や「タウンユースでもいけるファッションアイテムの提案」「女性でも気軽に参加できるコミュニティの形成」は今後、欠かせない要素、と語る。今後は女性ユーザーへの対応が大きなポイントになりそうだ。
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