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2024年新車国内出荷台数、約32万台でコロナ禍以前の水準に

公開日: 2025/02/14

更新日: 2025/02/18

2024年の新車国内出荷台数は32万0300台(二輪車新聞調べ・推定値)となり、コロナ禍以前の水準となったことが分かった。クラス別に見ると、原付一種が前年比18.1%と2割近い伸びを見せたが、他のクラスはマイナス。特に軽二輪は4割近いダウンとなった。2023年、原付一種の出荷台数を抜いた原付二種は、3000台ほどの差ではあるが2024年も出荷台数トップとなっている。

新基準原付の登場で、原付二種へのステップアップがスムーズになる!?

新基準原付の登場で、原付二種へのステップアップがスムーズになる!?
新基準原付の登場で、原付二種へのステップアップがスムーズになる!?

今年は原付一種クラスにおいて4月に大きな変更がある。さまざまなメディアで話題になっており、今更言うまでもないだろうが『新基準原付』の導入だ。今後、50ccの新車を手に入れるのは難しくなることが影響してか、2024年における原付一種の新車国内出荷台数(以下、出荷台数)は11万0300台と前年よりも2万台弱も伸びている(前年比18.1%増)。

ただ、前年比で考えると確かに伸びているのだが、2015年からの推移で見ると2番目に低い数字。一昨年までは最も売れていたクラスなので喜ばしい数字とは言い難いが、今年は新基準原付が導入されるので、これがどのように出荷台数に影響するのか。それが原付一種における大きなポイントとなる。先月号でも触れたが、新基準原付に関してはユーザーが大きな誤解をしている可能性があるので、販売店は125cc以下の販売には気を付けたいところだ。

ラインアップが充実している原付二種クラス
ラインアップが充実している原付二種クラス

さて、2023年、最も売れているクラスとなった原付二種の出荷台数は11万3200台。前年から約3万5000台落とし、2割以上のマイナスとなったが、台数自体はこの10年で上から3番目とそう悪くはない。コロナ禍以前の水準よりも高く、2023年に引き続き最も売れたクラスとなった。

これは希望的観測だが、新基準原付に慣れたユーザーが二段階右折や30km/hの速度制限がなく、二人乗りも可能な原付二種にステップアップしたら、このクラスがより一層盛り上がるのではないだろうか。新基準原付と原付二種では排気量の違いはなく、ボディサイズもおそらく同じだろう。だとしたら、現状の原付一種から原付二種にステップアップするよりも、スムーズに乗り換えることができそうだ。違和感があるとしたらエンジンパワーくらいではないだろうか。

原付二種クラスは、ホンダ『PCX』をはじめとしたスクータータイプのほか、ホンダ『CT125』、ヤマハ『XSR125』などラインアップが充実しており、さまざまなニーズに応えられるクラス。その意味では、新基準原付に期待感は持てる。問題は、どのようなモデルが登場し、それをどうユーザーが受け止めるか、である。また、50ccしか置けない駐車場に新基準原付は置けるのか、といった懸念もある。駐車場問題は、日常の足として使われることの多い原付クラスにとっては大きな問題。自宅から駅までの交通手段としている人たちの新しい足となるのかどうか。アパートやマンションの駐車場に置くことができるのかどうか。もし、駐車場に置けないということになってしまうと、それらのユーザーが一気に離れてしまう可能性もある。

これらは、新基準原付モデルがリリースされないと分からないので、何とも言えないが、今までの50cc原付の代わりになり得るのかが最大のポイントだろう。期待感を持ってメーカーからのアナウンスを待ちたいところだ。

また、現状の原付一種のメリットとしては、ボディがコンパクトで軽く、扱いやすいという点が挙げられる。このような車両のニーズはなくならないだろうから、中古車市場における推移にも目を配る必要は間違いなくある。

軽二輪新車販売台数1~5位まで、ホンダが独占!

軽二輪新車販売台数1~5位まで、ホンダが独占!
軽二輪新車販売台数1~5位まで、ホンダが独占!

軽二輪クラスの出荷台数は4万2300台。2023年よりも2万5000台近くダウンしており、この10年間では下から2番目の台数で、前年比で37.0%もの大幅マイナスとなった。だが、表3(1~11月までのデータ)の中古車販売台数を見ると、前年比0.8%マイナスと微減。人気の急落ではなさそうだ。

2024年の軽二輪車新車販売において、トップセールスとなったのはホンダ『レブル250/Sエディション』。7年連続して軽二輪クラスでトップの座を守り続けている。さらにホンダは1~5位までを独占しており、10位までのうち6車種がランクイン。このクラスの占有率は56.7%という強さを見せている。ホンダ以外では6位にスズキ『Vストローム250SX』、8位に同『ジクサーSF250/250』、9位、10位がヤマハで『XMAX ABS』、『MT-25/YSF-R25ABS』と続く。

小型二輪クラスを見ると、出荷台数は5万4500台。前年比19.8%のマイナス。新車の出荷台数は2割近く減らしたが、中古車販売台数(表3)は7万8045台で同5.5%のプラス。軽二輪以上の新車国内出荷台数、中古車販売台数において唯一の増加を記録している。さらに、小型二輪の中古車販売は国内4メーカーとその他、全てがプラスで、最も高い伸び率を見せたのはホンダの同13.5%増。

新車販売台数ランキングを見ると、普通二輪免許で乗れる400ccクラスのトップセールスはカワサキ『エリミネーター/SE』、2位がホンダ『GB350/S』、3位がカワサキ『ニンジャZX-4R SE/ニンジャZX- 4RR KRTエディション』と続く。エリミネーターは市場投入2年目にして初の年間販売台数トップとなったほか、小型二輪全体でもトップセールスとなっている。

401cc以上のクラスでは、やはりトップはカワサキ『Z900RS/カフェ/SE』。登場以来7年間、ずっと新車の販売台数1位をキープしている。支持しているのはベテラン勢かと思えば、そうではない。SNSなどを見ると、年齢に関係なく、しかも女性ユーザーも決して少なくない。男女問わず幅広い層から支持され続けているのだ。Z900RSを超えるバイクがいつ出てくるのか。

軽二輪のレブル250もそうだが、クラスを牽引するシンボル的な車種があるのはとてもいいこと。だが問題は、その人気にかげりが見えた時に、それに代われる車種があるのかどうか。レブル250やZ900RSの人気があるうちに、次にクラスを牽引する可能性のある車種やカテゴリーの目星はつけておきたいところだ。そのためにも、日頃からユーザーの声や世の中のトレンドなどアンテナを各方面に張り巡らせておき、どんなことが流行りそうか、その時にバイクでどのようなことが提案できるか、それを考えておく必要がある。

トライアンフ、年間販売台数5000台にリーチ

トライアンフ、年間販売台数5000台にリーチ
トライアンフ、年間販売台数5000台にリーチ

最後に、これも2024年1月から11月までのデータだが、輸入小型二輪車の新規登録台数(表4)。ブランドを見ていくと、ハーレーダビッドソン、BMW、トライアンフという順位は前年と変わらないものの、トライアンフの勢いが感じられる。トライアンフは2024年、会計年度(2023年7月~2024年6月)において、同社設立から初めて年間の販売台数が4500台を突破。4533台の新記録を達成した。

会計年度とは集計する月が違うが、2024年の新規登録台数は1~11月までで、すでに45155台。この時点でも2023年1~12月までの4108台を400台以上も超えている。もし、2024年12月の新規登録台数が485台になれば、5000の大台に乗ることになる。2019年1~12月が1958台(JAIA調べ)なので、5年で約2.5倍も台数を伸ばしているのだ。

ただ、2023年12月が382台なので、485台にまで伸ばすのは厳しいかもしれないが、それでもトータルで5000台近くになる。おそらく、会計年度においても、昨年の記録をさらに伸ばすことは間違いないだろう。

話を出荷台数に戻すが、2024年の新車国内出荷台数推定値は全体で32万0300台。台数としては、コロナ禍以前の水準くらいだが、前述したように今年は原付クラスに大きな動きがある。それが市場にどう影響を及ぼすのか、出荷台数にどう変化を与えるのか。新基準原付のスタートはもうすぐだ。



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