公開日: 2024/05/28
更新日: 2024/06/04
日本全国に2万1551店(2024年4月末時点)もの、コンビニエンスストア「セブンイレブン」を展開するセブンイレブン・ジャパンは5月13日より、売れ残った商品の値引き販売を全国の店舗で始めている。食品ロス削減が取り沙汰される中、コンビニ最大手セブンイレブンの方針転換に、注目が集まっている。
対象商品はおにぎりやサンドイッチ、弁当などの約300品目。食品の鮮度が切れる2時間前から、20円、30円、50円、100 円、4種類の「エコだ値」と名付けた緑色の値下げシールを貼るよう本部が推奨。販売期限については、セブンイレブンの商品管理システムで、廃棄が近づいている商品の情報を本部から各店舗へ通知する。
ブンイレブンでは、すでに値引きを実施している。けれども、これまで値引きを行うか否かは各店舗の判断に任せており、行っていたのは全体の3割程度に限られていた。この理由もあり、5月より全国に拡大し、本部推奨のもと実施することとなった。
また、同社では2020年より、消費期限が迫った商品の購入時に電子マネー「nanaco」を使用すると、5%ポイントを還元するサービスを開始。2021年からは、商品陳列棚の手前から取る“てまえどり”を呼びかけている。
セブンイレブン・ジャパンは昨年、直営とフランチャイズチェーン店の約220店舗で、本部推奨の値引きを実験。その結果、店舗の廃棄商品の合計金額が1割程度減り、1日当たりの売上高が増える結果となった。これまで、売れ残り商品の処分費用は本部が15%、各店舗が85%負担となっていたため、値引きで廃棄個数が減れば、収益増加に繋がる。
ただ、スーパーなどでは値引きは当たり前のように行われている。また、同じくコンビニ業界のファミリーマートは2021年より、全国で値引きを実施。さらに、ローソンもすでに値引きを行っており、一部店舗では在庫や過去の販売状況、天候などをもとに売れ残り商品の値引き額をAIが算出する仕組みを導入。今年度中に、全国に展開する方針となっている。
今回のセブンイレブンの発表に対しSNSでは、「食品ロスの観点から良いこと」と評価の意見がある一方、「スーパーでは以前から値引き販売が行われているので、ようやく当たり前になっただけ」という声も上がっている。ただ、コンビニ業界最大手のセブンイレブンが値引きを実施したことで、他の業界でも値引きの動きが広がっていく可能性も考えられる。
環境省は昨年6月9日、2021年度の食品ロス量(推計値)を公表し、523万トン(前年度比+1万トン)であったことが分かった。また、このうち食品関連事業者から発生する事業系食品ロス量は279万トン(同+4万トン)、家庭から発生する家庭系食品ロス量は244万トン(同▲3万トン)という結果であった。ただ、2017年度は612万トン、2018年度は600万トン、2019年度は570万トンと減少傾向にある。
小さな積み重ねが大きな結果を生むことは間違いない。食品ロス削減に向けた取り組みは、社会全体に求められているのだ。
人気記事ランキング