公開日: 2026/06/04
更新日: 2026/06/16
極めてスムーズな自動変速で話題を呼んでいるBMWの新システム「ASA(オートメイテッド・シフト・アシスタント)」が搭載されたR1300Rを、バイクジャーナリストの小林ゆきさんが試乗! 第二弾は、一般道での試乗インプレをお届けします!
こんにちは、バイクジャーナリストの小林ゆきです。今回はBMWのR1300Rをインプレします。この車両には、クラッチ操作なしに運転ができる「ASA(オートメイテッド・シフト・アシスタント)」という機構が搭載されています。いくつか車種が用意されていましたが、一番スタンダードだと思った1300Rでインプレを行っていきます。第一弾として、足付きインプレやASAでの極定速走行の動画も公開していますので、そちらもぜひ参考にしてください。
駐車場から出てすぐに驚いたのですが、道を曲がるとウィンカーが勝手に消えます。日本車だと曲がった後に戻す動作が必要なことが多いですが、その手間がないだけで頭のリソースを節約でき、疲労軽減にもつながると思います。
現在は速度規制のある場所を走っているため、まずはM(マニュアル)モード、足元のシフトペダルでギアを上下させるモードを試します。時速40km程度で一時停止し、発進の感じを確認します。
ちょっと走っただけで慣れてしまいました。スロットルのオンオフだけで進んだり減速したりできますが、超減速した時の不安のなさがすごいです。信号待ちではニュートラルに入れず、マニュアル1速のまま止まっていますが、クリープ現象は起きません。信号が変わったら、アクセルを開け気味に出発してみます。砂利に気をつけながら曲がります。
実に軽やかに曲がります。先ほど極定速でスラロームを行いましたが、このR1300Rはキャスターが寝ている感じがありつつも、ハンドリングが非常にクイックです。極定速では粘る感じが出ますが、クイックに曲がる感覚があります。中低速ワインディングもスポーティーに走れるのではないかと思います。
ここでD(ドライブ)モードに切り替えます。ニュートラルのままだとDモードに入りませんでしたが、画面に「ギアを入れてください」「ブレーキを操作してください」と日本語で指示が出ました。ここからは足元の操作をせずに走ります。Dモードの1速は、M(マニュアル)の1速のときよりもエンジンブレーキが強くかかる気がします。時速50kmほどで3速まで上がりました。
流れる道路に入ります。4速に入りました。一瞬アクセルを開けてもすぐにはシフトアップしません。ゆっくりクルージングしてみます。今回のR1300R、ボクサーツインのロードスターは、初期型のR1100Sなどと比べるとポジションが楽でイージーライドという印象ですが、ハンドリングはむしろスポーティーです。レーンチェンジも非常に穏やかです。足元が絞り込まれていて、起きた姿勢で乗れるので、ネイキッドとして普段の街中の移動にも十分使えます。
中低速ではクイック、極低速では粘るような安心感があり、楽しさがミックスされています。下り坂でタコメーターを見ると2000回転くらいですが、Dモード4速のまま下っています。トルクがあるので、低い回転数からでもしっかり加速できます。起きた姿勢は視界が広く、景色を眺めながらのトコトコツーリングも楽しいポジションです。
減速するとエンジンが唸るような感じでエンジンブレーキが効きます。強めにブレーキをかけてみますが、必要ないくらいエンジンブレーキがしっかりかかり、停止直前に1速に戻ります。
バーハンドルは広めで低めの位置にあり、スポーティーな印象です。ステップの位置に関しては、シッティングポジションのすぐ下にあるため、ふくらはぎの横に当たります。足を前に出せば当たりませんが、立ちゴケの心配や踏ん張りにくさが出るので注意が必要です。
加速させてみます。Dモードでも足元でシフト操作が可能です。Dモードの場合は速度に応じて自動で変速されます。特にシフトダウン時のブリッピングのような動作が気持ちよく、癖になります。かなり低速にならないと1速には落ちません。
コーナリング中にDモードで自動シフトアップされましたが、若干のブリッピングがあり、音や足元への反動はあってもハンドリングには影響しません。非常に自然で、自分で運転している感覚が強いです。モードは色々変えられますが、今はあえて変えずに走っています。一定速度での走行時には、燃費を考慮したギア選択をバイク側が判断しているように感じます。
ここでMモードに戻します。ボタン一つで戻せます。ゲートブリッジを走行中ですが、非常に気持ちの良いクルーズです。クラッチ付きにするか、ASA(クラッチレス)にするかの参考にしてください。これまでもヤマハ、ホンダ、カワサキのクラッチレス車両をインプレしてきましたが、それぞれの特徴と比較してBMWがどうだったか参考にしていただければと思います。新しい機構は教習所では習わない操作が必要になるため、乗る機会があればお店の方にレクチャーを受けてください。
転回路を極定速で回りますが、ハンドリングはクイックでグリップ感も衰えません。オートマチック車で不安になりがちな極低速域でも、トラクションや推進力の調節がしやすく、タイヤのグリップ感やサスペンションの動きもしっかり伝わってきます。ゆっくり走っていても、もっとアクセルを開けたくなるような雰囲気のバイクです。
BMW R1300Rの街中試乗を終えて、ASAのまとめです。思いのほかとっつきやすく、少し走るだけで具合が分かりました。M(マニュアル)・D(ドライブ)モード共に操作が直感的です。ベテランライダーが気になるマニュアルの楽しさについても、操作性というより、バイクの判断が自分の感覚に近いため、楽しさを感じます。特にシフトダウン時のブリッピングをバイクが自動で行ってくれる動作は、あたかも自分が操作したかのような感覚があり、マニュアルの楽しさが残っています。
自然な介入や低速での粘りなど、BMW側の頭脳との対話が楽しい1台です。車体としては、シートや足回りのシェイプが絶妙に進化しています。私は身長160cmで短足気味ですが、大型バイクに慣れた方なら非常にイージーに乗れるでしょう。リターンライダーや女性、年配の方にとっては、220kg以上の重量があるため足腰を鍛える必要はありますが、それを加味しても手軽さを感じます。
ハンドリングは極低速で粘り、走り出すとフロント側がクイックになるBMWらしいスポーティーさがあります。乗り慣れている方なら身長150cm台の方でも、また大柄な方でもハンドル幅に余裕があるので問題なく乗れるでしょう。
今日はASA搭載のR1300Rを試乗しました。足付きインプレ動画もぜひ参考になさってください!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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