公開日: 2021/07/29
更新日: 2022/09/06
かつて高速道路の二輪二人乗り問題や大型免許の教習所取得問題、二輪ETC実用化などは、長年にわたる二輪業界の懸案事項だった。これらを自由民主党二輪車問題対策プロジェクトチーム座長、自由民主党オートバイ議員連盟会長として実現に導いたのが、自由民主党元外務副大臣の逢沢一郎衆議院議員である。
先頃も二輪車の高速道路料金の低率割引の実施が正式決定されるなど、二輪業界においては、とてもポジティブな動きが加速している。こうした中、オートバイ政治連盟(吉田純一会長)は6月30日、逢沢一郎会長による講演会「二輪業界の明日を語る会」を開催。二輪業界関係者が多数、集まった。今回は、講演会の様子について、質疑応答内容を交え紹介する。
これまで私は「結果を出す政治」を念頭に努力してきました。それがようやく結実します。先頃、国土交通省が記者会見を行い、土日・祝日に高速道路を利用するETC搭載の二輪車を対象に、定率割引を実施するこが確定しました。
これは軽自動車と二輪車の高速道路料金の適正化問題で、「一丁目一番地」の最重要課題として取り組んできたものです。従来の割引は、すべて定額でしたが、ようやく定率割引となったのです。
期間は来年4月から11月までで、100㎞を超える走行を対象に37・5%の割引が適用されます。登録車の半額になるという言い方の方が分かりやすいかもしれませんね。ただ、事前にインターネットで利用日を指定して申し込みを行う必要があります。本当は50㎞で始めたかったのですが、定率に踏み込めたことに大きな意義を見い出しているところです。
最終ゴールは365日、いつでもどこでも登録車の半額で高速道路を利用できることです。普通車が1で軽は0・8ならバイクは0・5。これを実現する。今回の施行はかなり大きなステップアップと言えるでしょう。
実はいま、国土交通省部では、行政内部の正式な会議で高速道路の料金について、現在の5車種区分のままでいいのか、という真剣な議論があります。最近の軽自動車は広いし価格も高い。車重も増えている。ひと昔前の軽自動車からすると、だいぶ変わってきています。それを考えると、軽と二輪をひとくくりにするには無理があるのです。
今回の定率割引についてSNSに投稿したところ、20〜30万件ほどの反応がありました。それだけ国民の関心が高いことが分かります。応援するよ、という声がある一方で、10年前から同じことを言っている、というお叱りの声もありました。最も多かったのは駐車場に関する意見です。
この件について私の地元岡山のバイクショップに話を伺ったところ、引っ越しでバイクが止められる物件を探しているが、全くないのでバイクを手放さなければならなくなった、というユーザーが多いことが分かりました。ユーザーにとっては、大きな問題です。国交省住宅局にも重く受け止めて貰う必要があります。また、これについては各自治体の市長や町長が決定権を持っているので、常にアピールすることが必要でしょう。国内4メーカーは、世界では確たる地位を確立しているけど、国内マーケットでは、基盤固めが必要。産業政策面の観点から力を入れていかなければなりません。
2050年までにCO2排出量ゼロの社会を目指すことが確定しましたが、これにより二輪業界はどう変わるのでしょうか。そこには大きなチャンスがあるとの声もあります。なぜならば、排ガス規制が強くなればなるほど競争力が高まるからです。ただ、ライバルも存在します。これはチャンスでもあり脅威でもあるのです。
また、EVバイクや水素を燃料とする車両の生産は技術的に可能なのか、という問題に加え、はたして一般の人が買える金額で提供できるのか、という問題もあります。もし1台300万円だとしたら、話にならないでしょう。
カーボンニュートラルについては内燃機関を含めて何を念頭にどう取り組むべきか議論が必要です。一気にガソリン車やディーゼル車、プロパンガス車が無くなるわけではないのです。ユーザーは何を望んでいるのでしょうか。必ずしもメーカーの考え方と合致するわけではないかもしれませんが、ステークホルダー(利害関係者)がハッピーな関係を築き、最終的には新車100万台が安定的に供給され、良質な中古の流通も増加し業界が繁栄する。こうした最終ゴールを描きつつ、研鑽を重ねていきます。
続いて質疑応答に移った。参列者からは次のような質問が成された。一部、抜粋して紹介する。
――― 定率割引は当初、2021年4月スタートでしたが、2022年4月に変更された理由は。また、対象距離が100キロ以上となった経緯は。
逢沢 新しい仕組みを導入すると、設計に時間と手間と費用がかかる、という説明を受けました。システムを安定的に動かすためには最低でも1年の歳月が必要との主張です。100㎞以上に設定されたのは、通勤の割引距離が100㎞であることが理由との説明を受けました。減収を懸念しているものと思われますが、年間の通行料が2兆3000億円あるうち、二輪が占める割合がどの程度あるのかは把握できていませんでした。
――― 国交省の内部にも5車種区分でいいのか、という議論があるとの話ですが、いつ持ち上がった話なのか。また、それに対する見解をお聞かせ下さい。
逢沢 情報に接したのは昨年暮れです。5車種区分になって30年が経過しますが。時代もクルマの形態も大きく変化しています。こうしたことが発端なのだと思います。
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