公開日: 2024/12/02
更新日: 2024/12/04
電動アシスト自転車という言葉を聞くようになって久しい。初めて国内で販売されたのは1993 年。あれから30年以上が経過したいま、スポーツ性能を高めた、いわゆる「e‐バイク」の人気も高まるなど、市場は大きく変化している。コロナ禍によるアウトドアスポーツの普及や脱炭素意識の高まりに加え、バッテリー性能の向上などが後押しした。現在はヤマハやパナソニックなどの大手メーカーが市場をけん引している。
e‐バイクは、9年前から国内でリリースされるようになった製品。従来の軽快車(いわゆるママチャリ)のイメージではなく、スポーツ性能の高い自転車を電動アシスト化したものであり、アップダウンの多い地域をはじめ、長距離の移動に適している。昨今は、観光地での移動手段としての利用が増えており、特に、体力の低下により趣味から遠ざかった中高年が使用するケースが多いという。
現在における市場規模だが、経済産業省の統計によると、2023年の電動アシスト車の国内販売台数は80万台を超えている。この数字は軽快車の70万台を上回る実績。また、販売額は軽快車の5倍以上である、750億円を超える規模となった。この実績を見ても、確実に市場拡大しつつあるのが分かる。
では、海外での需要はどうか。自転車産業振興協会のデータによると、ドイツでは2023年時点で電動自転車の保有台数は1100 万台を突破した。ドイツ国内の電動モビリティ市場において、電動自転車は上位を占めるまでに成長。電動自転車の中でもマウンテンバイク(MTB) の人気は高く、電動自転車内の売上割合を見ると、電動MTBブームが起きた2021年から2023年まで首位を維持している。
またイギリスでは、e‐バイクのシェアリング事業が盛んになっている。2023年のe‐バイクシェアリング台数は、前年の2倍以上にあたる2万5000台に到達し、初めてアシストなし自転車のシェアリング台数を上回った。同国の自転車シェアリング制度など、共通交通を支援する慈善団体「CoMoUK」の報告によると、2023年9月時点で自転車シェアリング全体の59%をe‐バイクが占めているという。
昨今、海外では持続可能なモビリティに対する関心が高まっている。北米や欧州の人口密度が高い都市部では、自動車の利用が減少し、e‐バイクによる移動が増加。アジア太平洋地域でも、環境に配慮した都市交通への需要が増加しており、市場の大幅な拡大が見込まれている。
話を再び国内市場に戻すが、同じ電動アシスト車でも軽快車と比べ、e‐バイクの価格帯は数十万円と個人用に購入するにはハードルが高い。そのため、気軽に利用できるレンタルやシェアサイクルは、今後さらに普及すると思われる。e‐バイクを所持せず、その都度借りて楽しむという考え方は、日本でも広がっていくことが予測される。
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