公開日: 2021/10/27
更新日: 2022/09/06
自工会二輪車委員会(日髙祥博委員長/ヤマハ発動機株式会社社長)は10月1日、二輪専門誌とメディアミーティングを開催。二輪車のカーボンニュートラルに対する取組みについて説明した。
二輪業界における大きな関心事項の一つとして、内燃機の生産はどうなるのか、というものがある。これについて冒頭、日髙委員長は、カーボンニュートラルには全力で取り組むと前置きしたうえで、
「全ての二輪車が電動化の対象ではない。安価、小型、軽量を追求する一方で電動化に必要な大容量化を実現するのは、構造上の制約があり難しい。だが、国際競争力を強化するためには電動化は不可欠」とした。
続けて通勤、通学、商用、業務用に使用される原付領域においては、ある頻度の充電を前提とすれば、電動化は可能と考えているが、電動二輪車は普及が進んでいないのが現状。また、使われるバッテリーの総量が少ないため、各社が個別仕様で取り組んでも調達は厳しい。こうした状況に対応するため現在、取り組んでいるのが、交換式バッテリーの標準化であると説明した。
一方、レジャー目的での使途が多いスポーツ車は、走行距離が長く電動化はさらに難しくなることが考えられる。ただ、カーボンニュートラルについては2050年までに電動化だけでなくハイブリッド、水素、CN燃料などの技術革新が進むことから、可能性は広がる。こうした新燃料への対応については、個社対応となる様子。
現状、国内における二輪のCO2排出量は国内輸送部門全体の0・4%(2018年実績。2019年は0・3%)であり環境優位性は高い。つまり二輪車に対し新たに環境規制を導入すると、コストの上昇を避けることができないため、ユーザー便益を損ねてしまうことが考えられる。
日髙委員長はこうした状況を考慮し、二輪車委員会では政府や自治体と連携し、できることから着実に推進していく、と今後の進め方について明らかにした。
続いて、電動二輪普及のための実証実験「e(ええ)やん OSAKA」の取組みについても説明。1期あたり3カ月20名の実証実験は、9月で4期が終了。その活動を通じて交換バッテリーの設置インフラ以外の課題が見えてきたという。そのため、当初1年だった実験期間を半年間延長し、10月より5期目を開始している。
従来の被験者は初めて二輪車に乗る人が多く、その結果、ラストマイル領域を超える利用範囲のデータが少なかったという。そのため、今回より原付二種相当の電動車を追加し、広い行動範囲のサンプルデータを収集する、としている。
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