公開日: 2022/05/02
更新日: 2022/09/06
2020年、2021年と、2年連続して中止となっていたモーターサイクルショーだったが、今年は無事に開催された。3月19日(土)から21日(月・祝日)の3日間、大阪府大阪市のインテックス大阪で「第38回大阪モーターサイクルショー2022」。3月25日(金)から27日(日)の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで「第49回東京モーターサイクルショー」。ともに3年ぶりの開催とあって、会場には多くの来場者が足を運んだ。
その年におけるバイクシーズンの始まりを告げるイベントとして、2019年まで毎年、バイクユーザーやバイクファンに親しまれてきたモーターサイクルショー(20112011年は東日本大震災の影響で中止)。
しかし、20202020年、開催を目前に控えながらも新型コロナウイルス感染症拡大により、大阪と東京のモーターサイクルショー(以下、MCS)は中止を余儀なくされた。20212021年もコロナ禍により、ともに中止。
ポッカリと2年間の空白ができてしまったが、2021年9月、「ウィズコロナ時代に相応しいイベント様式での開催を目指す」と、東京モーターサイクルショー協会(以下、東京モーターサイクルショー=TMCS) が発表。大阪モーターサイクルショー2022運営事務局(以下、大阪モーターサイクルショー=OMCS)も同年10月、運営事務局を開設するとともに出展者の募集を開始した。そして、2022年3月、3年ぶりのMCSが大阪と東京で開催された。
それだけではない。2020年に初開催予定だった3つ目のMCSである「第1回名古屋モーターサイクルショー」も予定から丸2年経過したものの、4月8日(金)から10日(日)の3日間、愛知県常滑市レントレアの「Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)」で開催。3万6188人が来場した。
取材したのはTMCSの初日、3月25日(金)。会場前に設置された「第49回東京モーターサイクルショー」のパネルを見た時、久しぶりに春の訪れを感じた。
TMCSの会場となったのは、東京都江東区にある「東京ビッグサイト」。会期は、『まん延防止等重点措置』の解除から間もない3月25日(金)から27日(日)の3日間。
25日は10時から13時までがプレスデーで、各メーカーのプレスカンファレンスが行われ、13時から一般公開。金曜日に取材するのは初めてだったのだが、13時になった時の入場者の多さには驚いた。予想としては、平日だから人はそれほど多くないだろうと思っていたのだが、外を見ると長蛇の列。このことからも、二輪業界関係者のみならず、ユーザーやファンの人たちにしてみても待望の開催となったものと思う。だが、来場者に対して、マスク着用、体温チェック、手指消毒などを呼びかけたほか、換気、会場内通路の拡幅、展示車両や商品のまめな消毒、入場者数制限を行うブースもあるなど、3年ぶりに開催されたとは言え、まだコロナ禍が収束したわけではないことを実感したイベントでもあった。
また、それは入場者数にも現れていたように思える。2019年に開催されたTMCSの来場者数は3日間で15万人に迫る14万9542人。今年は3日間で12万3439人と前回比17%のマイナス。曜日ごとに見ても、前回を上回った曜日はない。密を避けられる乗り物として、特に趣味の領域で注目を集めているバイク。その一大イベントなのにどうして、と思う人もいるかもしれないが、前回と今回は同じ状況ではない。やはり、人の集まるイベントはまだ避けたいという人もいるだろうし、そういう声も実際にユーザーから聞いている。むしろ、その状況下でも12万人以上の人が足を運んだ、とも言えるのだ。
入場者数の減少は、OMCSも同様。2019年は3日間で7万3038人と7万人以上だったが、今年は3万3781人にとどまった。OMCSの開催は3月19日(金)から21日(月・祝日)と、会期としては週末と祝日という絶好のタイミングだったのだが、『まん延防止等重点措置』の解除前。そのことが入場者数に大きく影響したものと思われる。
でも、これも、その中でも3万人以上が足を運んだのだから、入場者数の減少は喜ばしいことではないが、必要以上に悲観的になることでもないように思う。単純に、まだまだ、自由にイベントを楽しむ状況や心境に完全には戻っていない、ということ。それでもMCSが開催されたことによって、コロナ前の日常が戻りつつあるのを感じられたのも確かだ。
一般公開の時間と同時に、会場内の人がグッと増えたTMCS。入場者制限を行なっているブースでは、1時間を超える入場待ちの列ができていたほどだ。それもあり、前回よりも入場者数が少ないと感じることはなく、平日でも人が多いという感すらあった。また、人数の制限を実施していたブースでは、2019年以前よりも、ゆったりとじっくりとバイクを見る・またがることができた。以前にはなかったブースに入るための待ち時間ができた反面、制限があったからこそのメリットもあった。これは、バイクをしっかりと確認したい人にとっては、プラスのポイントだろう。ただ、待ち時間が長いのは来場者にとってマイナスなのは間違いのないこと。そこはウィズコロナ時代のイベントとして、今後の改善に期待したいところだ。
今年、TMCSに出展した企業や団体は、全部で153者。内訳は、メーカーなどの車両関連が29者、パーツ・アクセサリー関連が90者、その他出版や関連団体などで34者。
全体を見たときに人が集まっていたブースは、各バイクメーカー。ホンダは、開催前に「HAWK11(ホーク11)」の先行特別映像を公開したが、全体像を見せないというMCSへの期待感を高める演出をしており、それもあってか、ブース前には入場待ちの人が何重にも列をなしていた。人数を数えたわけではないが、入場待ちの列を見た感じでは、取材した中の時間帯で最も注目の高かったブースはホンダだったように感じる。もちろん、ヤマハにもカワサキにもスズキにも入場待ちの列ができており、ホンダがずば抜けていた、ということではないが。
そのホンダで、多くの来場者が目を向けていたのが、先ほど名前をあげたホーク11のほか、「Dax125(ダックス125)」だ。 このダックス125の見た目は、1969年に発売されたモデルをしっかりと踏襲したもの。大きさは発売当初のダックスと比べて、全長で260mmほど長くなっているが、またがってしまえばコンパクト。昔のダックスを知る人は、またがっても大きさを感じるのだろうが、名前は知っている、写真では見たことがある、というレベルの人であれば、何の違和感もないだろう。TMCS直前の3月24日には、このダックス125を7月21日に発売することが発表されており、会場では女性がまたがっている様子が見られた。
ヤマハブースでは、「YZF-R7」の人気が高かった。ヤマハブースに隣接したワイズギアブースには、同車のカスタム車両が展示してあり、またがることも可能となっていた。そこにも人が途切れることなく、友人と連れ立って交互にまたがり、写真を撮り合う様子も見られた。
カワサキブースでは「Ninja H2 SX SE」や「Z900RS 50th Anniversary」の注目度が高かった。Z900RSは、50代以上と思われる初代を知る人たちからだけではなく、若年層からも注目されており、幅広い年齢層に支持されていることが入場者からも感じられた。
スズキブースでは、「KATANA」や「Hayabusa」のほか、発売から間もない「GSXS1000GT」も人気が高かった。意外と言っては失礼かもしれないが、カタナやハヤブサに女性がまたがる姿を何度か目撃した。いずれも女性ユーザーはさほど多くないという印象だったので、自分が乗らなくても、実は興味のある1台ということなのかもしれない。
このほか、BMWモトラッドブースでは、電動モビリティの「CE04」、6気筒エンジンの「K1600シリーズ」。ハーレーダビッドソンブースでは、「CVO」や「ローライダー」などは老若男女問わず、展示車両にまたがる姿が見られた。
また、メーカー以外で一例を挙げると、JAFがこの1月から運用を始めたばかりの、バイクを牽引する二輪アタッチメントを装着したレッカー車を展示。車両本体だけではなく、用品やパーツ、サービスに至るまで、二輪に関連する様々なモノとコトが一堂に会したイベントとなった。また、ウィズコロナ時代における、二輪イベントの在り方の方向性も示したイベントだったように思える。
【ヤマハ発動機販売株式会社】
石井 謙司 社長 「バイクの“感動体験”を共有」
昨今、二輪車を取り巻く環境が大きく様変わりしてきました。新しいライフスタイルの広がりによって、パーソナルコミューターとして、二輪の有用性や利便性が大きく見直されたのかなと思います。また、一人でも楽しめるアウトドア・レジャーということで、ツーリングが人気となっています。特にスポーツバイクの販売が大きく伸びています。それと、新規で免許を取ってバイクに乗ろうという方が増え、特に20代を中心する方が増加しているのが特徴。こうした今のバイク人気を一過性のブームで終わらせることなく、長くバイクを楽しんで頂くために、私たちはやることがたくさんあると思っています。バイクによる感動体験の共有、走る機会の提供、バイクを一緒に楽しむ仲間と出会う機会の創出、運転への不安の払拭などに積極的に取り組んでいきます。
ヤマハブースのテーマは『Go withYOU』。お客様とヤマハのつながり、お客様とバイクのつながり、人と人のつながり、これらを大切にしたいという思いをブーステーマとしました。
【BMW MOTORRAD】
佐伯 要 ジェネラル・マネージャー、中根 知彦 シニア・マーケティング・マネージャー
「国内販売数5866台を達成10年前の実績の2倍に」
昨年、初めてのMモデル「M1000RR」、大人気の「GS」の40周年記念モデル、アクティブ・クルーズ・コントロールを搭載した「R1250RT」など、BMWモトラッド史上最多となる16のニューモデルを発売しました。一方で、半導体不足や物流の混乱の影響もあり、車両の供給不足に悩まされていますが、それでも国内販売数を更新する5866台の登録台数を記録しました。10年前と比較して、実に2倍以上の実績です。
今年のハイライトを紹介します。今回展示している「CE04」は「Cevolution」に続く電動スクーター第2弾です。最高出力31kwのパワフルなモーターを搭載することによって、停止状態から時速50kmまでの加速がわずか2.6秒。もう一つ、今年のハイライトが新型の「K1600」シリーズ。同シリーズの特徴は、BMWの誇る並列6気筒エンジン。この『シルキーシックス』のスムーズな性能をさらに洗練し、ユーロ5にも排出ガス規制にも対応。また、今年は過去2年間、開催を断念していた「BMWモトラッドデイズ」が復活します。皆様と白馬でお会いできるのを楽しみにしております。
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