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2023年新車国内出荷台数 ~原一、10万台を割り込んだが原二の躍進で37万9800台と前年比3.0%のプラス~

公開日: 2024/02/16

更新日: 2024/02/16

2023年の新車国内出荷台数は国内4メーカー合わせて37万9800台(速報値・二輪車新聞社調べ)。原付一種が前年比で約3割減となる9万4300台と10万台を下回ったが、原付二種が前年比で約5割増となる15万0400台と大きくジャンプアップ。また、小型二輪は前年比マイナスとなったが、軽二輪が同プラスとなり、全体としては前年比3.0%増という結果となった。

ホンダの原付二種は11万台突破。1社だけで原付一種全体の出荷台数をオーバー

ホンダの原付二種は11万台突破。1社だけで原付一種全体の出荷台数をオーバー
ホンダの原付二種は11万台突破。1社だけで原付一種全体の出荷台数をオーバー

これまで、新車国内出荷台数(以下、出荷台数)における最大のボリュームゾーンは原付一種クラスだった。だが、多くの二輪業界関係者はそう遠くない将来、原付一種と原付二種の出荷台数が逆転するであろうことを予測しており、それは過去の出荷台数の推移からも明らかであった。そして2023年、ついに出荷台数における最大のボリュームゾーンは原付二種クラスへと入れ替わったのだ。

2023年の出荷台数は、全体で37万9800台。原付クラスの内訳は、原付一種が9万4300台。2022年が13万1340台だったので、前年比28.2%もの大幅ダウンとなり、ついに10万台の大台も割り込んでしまった。一方、原付二種クラスの出荷台数は15万0400台。同クラス初の15万台オーバーとなる見込みだ。昨年が9万5654台だったので、同47.8%の大幅アップとなった。じわじわと台数が近づき台数が逆転するというのではなく、昨年は約3万台の台数差があったものを一気に抜き去り、5万台以上も引き離した。原付二種は、それだけ勢いのあるクラスだと言える。

その好調な原付二種クラスを牽引したのはホンダ。15万台のうち、実に11万台強がホンダ車で、同社1社だけで、原付一種クラスの出荷台数を超えているのだ。車種ごとの台数で多かったのは『CT125・ハンターカブ』。この一車種で1万8600台となる。このほか、『クロスカブ110』が9200台。台数増の要因としては、コロナ禍で人気の高まったキャンプ需要が挙げられる。現在はブームも落ち着いてきたが、動画やSNSでの投稿は群を抜いている。バイクそのものを楽しむだけではなく、レジャーの足としても活用されていることがうかがえる。この2車種以外でも、カブシリーズ全体が相変わらず高い人気を誇っている。

ヤマハ、スズキ、カワサキも前年比ではプラス実績。ホンダが牽引したクラスであることは間違いないが、全メーカーともに好調だ。

ヤマハが3モデルを新しく投入するなど原付二種の注目度はさらにアップ

ヤマハが3モデルを新しく投入するなど原付二種の注目度はさらにアップ
ヤマハが3モデルを新しく投入するなど原付二種の注目度はさらにアップ

この2クラスには昨年大きなトピックが発表された。それは警察庁が12月21日に公開した『二輪車車両区分見直しに関する有識者検討会』の報告書だ。『令和2年排ガス規制』が各クラスに適用されるなか、原付一種に関しては継続生産車への適用が2025年11月まで先延ばしになっていた。しかし、排ガス規制に適応できる原付一種の開発はコストの問題などで困難なことから、排気量を125cc以下にして最高出力で原付一種と二種を区分することについて検討されていた。それをまとめたものが、公開された報告書。

結果をいえば、排気量125cc以下で最高出力が4kW以下に制御された二輪車を『新基準原付』とし、道交法施行規則などが見直される。

ヤマハは現在、ホンダに原付一種のスクーターを委託生産しているが、これを廃止して新基準に対応したエンジンを搭載したヤマハ製のモデルを日本市場に投入予定であることを、昨年12月の記者発表でヤマハの日髙社長が明らかにしている。新基準原付の市場投入は来年であるため、今年の出荷台数に数字が反映されることはないが、今後を占う意味でも動向には注視しておきたい。

ヤマハはさらに、昨年のモーターサイクルショーで125ccの3モデル『XSR125』『MT-125』『YZF-R125』を発表。ネオレトロなXSR、ネイキッドモデルのMT、フルカウルモデルのYZF、それぞれキャラクターの違う3モデルは、昨年10月以降に発売されている。この原付二種クラスは大排気量のバイクに乗るユーザーのセカンドバイクとしても以前から人気が高い。選択肢がますます増えることで、より注目度が高まるのではないだろうか。今年も原付二種は目の離せないクラスとなりそうだ。

ホンダ『レブル250』が強い軽二輪クラス。人気にかげりが出た時、どうなる

ホンダ『レブル250』が強い軽二輪クラス。人気にかげりが出た時、どうなる
ホンダ『レブル250』が強い軽二輪クラス。人気にかげりが出た時、どうなる

原付二種クラスと同じく、前年比でプラスとなったのが軽二輪クラス。6万7800台で前年比12.8%の増加。この台数はコロナ禍でバイク人気が高まった2020年、2021年とほぼ同じ台数。2014年からの10年間を見ても最高台数となっている。

出荷台数ではなく販売台数でのデータだが、販売ランキング1位はホンダ『レブル250』。軽二輪クラスで唯一1万台オーバーの1万2724台。2位のホンダ『PCX160』が5892台なので、ダブルスコア以上だ。どれだけレブルの支持が高いか、この数字だけでも分かるというもの。実際、X(旧ツイッター)やインスタグラムをはじめとしたSNSを見ても、レブルを見かけることは非常に多い。一時期に比べ沈静化してきてはいるが、カスタムベース車としての人気も女性人気は根強い。レブルは、2023年を含めて6年連続して販売ランキング1位となった。

また、ホンダはレブルのほか、販売ランキングの6位までを独占しており、10位までに7車種を送り込んでいる。販売シェアも前年から15.5ポイント上昇して59.0%となった。

軽二輪クラスで気がかりなのは、レブル人気が落ちた時のことだ。強力な牽引モデルがあるのは人の目を集めるのにはいいのだが、そこへの興味が薄れてレブルに向いていた目が離れた場合、バイクに向けられた目を引き留めておくモデルや提案がなければ、バイク以外のモノやコトに関心が移ってしまうかもしれない。そうなってしまったら、また興味を持ってもらうのは難しくなる。その点については、店の特徴やニーズの傾向などに合わせて常に考えていかなければならない。これについては、これからのヒントになるような情報があれば、随時掲載していく。参考になれば幸いだ。

前年比1割減ながら、数字の上では今世紀2番目の出荷台数となった小型二輪クラス

前年比1割減ながら、数字の上では今世紀2番目の出荷台数となった小型二輪クラス
前年比1割減ながら、数字の上では今世紀2番目の出荷台数となった小型二輪クラス

次に小型二輪クラス。6万7300台で同11.0%の減少。2022年の出荷台数が7万台を超え、2020年から毎年約2万台ずつ上乗せしてきたので2023年の結果に期待がかかったが、さすがにそこまで調子良くはいかなかった。

ただ、1割減少したとはいえ、2022年の数字が高かったので、台数だけを見れば過去10年間で2番目の実績。結果は決して悪いものではない。その証拠に、販売台数は9万1400台と21世紀で2番目の好実績なのだ。それでもやはり、伸びが鈍化して前年比でマイナスになったのは気になるポイントであることは間違いない。それだけに、ユーザーの動向やニーズの傾向には注意しておきたい。

ちなみに、販売ランキングを見ると、401cc以上のクラスではカワサキ『Z900RS』、251から400ccまでのクラスではホンダ『GB350』が1位となった。両車種とも人気のモデルだが、レブル250のような1車種に人気が集まるという状態ではないので、このクラスは安定した人気というか、一定の需要が見込めるクラスであることが分かる。

さて、これは小型二輪クラスでということではないが、今年は例年以上に電動バイク(ハイブリッド・水素エンジン含む)に注目が集まることが予測される。かれこれ10年ほど前だっただろうか。「今年は電動バイク元年」と言われていたことがある。だか、今年はこれまでとはちょっと様相が異なる。

例えばカワサキ。この1月13日、原付二種クラスに『Ninja e-1』『Z e-1』、電動バイク2機種を投入した。価格はともに100万円を超えており、他の原付二種モデルと同列で語れるものではないが、スポーツタイプの電動バイクが国内4メーカーから市販され、ついにそれで公道を走ることができる。これまでとは違い、大きな一歩だと言えるだろう。さらに、カワサキは発売時期などの詳しい情報はまだ明らかにしていないが、エンジンとモーターのハイブリッドモデル『Z7 Hybrid』の国内導入を昨年11月に発表している。

カワサキだけに限らず、4メーカーがどのような動きを見せるのか、電動化需要はどうなっていくのか。そして、アフターコロナ後のユーザーニーズはどう変化していくのか。また来年には新基準原付も登場する。今年は今後の流れを見極める上で重要な1年となることは間違いない。



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