業界トピック日本二普協

日本二普協、「二輪車の安全運転を考えるシンポジウム」開催

公開日: 2025/10/30

更新日: 2025/11/04

日本二輪車普及安全協会(以下、日本二普協)は9月11日、「二輪車の安全運転を考える」をテーマとする第4回シンポジウムを開催した。当日は、本田技研工業の谷一彦さんや日本自動車連盟(以下、JAF)の菅原一樹さんら4名の講師による講演とパネルディスカッションを実施。二輪車・用品メーカーや警察関係者など、約100名が参加した。

議論を重ね、さらなる安全運転普及活動の展開を目指す

髙橋亮専務理事
髙橋亮専務理事

今年で4回目の開催となる日本二普協のシンポジウム。今回は千葉県警察本部交通部理事官の石山孝明さん、山梨県立北杜高校教頭の坂本篤さん、本田技研工業二輪・パワープロダクツ電動事業統括部エキスパートエンジニアの谷一彦さん、JAFロードサービス部技術課の菅原一樹さんの4名をゲストに迎え、講演とパネルディスカッションを行った。

冒頭、日本二普協安全本部長の荒井龍介さんは、このシンポジウムを通じて、ユーザーが二輪車を安全に、楽しく、そして長きに渡りバイクライフを送るにはどうすればいいか、皆さんと共有したい。そして、あらゆる角度から議論を重ね、さらなる安全運転普及活動を展開していきたい、とシンポジウムの趣旨について説明した。

続いて、日本二普協の髙橋亮専務理事が挨拶に立った。

「交通事故、特に悲惨な死亡事故を1件でもなくすよう、関係各位の助けをいただいているが、『2050年死亡事故ゼロ』に向けては、より一層の尽力が必要だと認識している。今回のシンポジウムを通して、安全啓蒙から、関係団体が連携した安全啓蒙活動へ昇華、そして安全啓発活動が社会やライダーの目に留まるだけでなく、その先の行動変容に繋げられるよう、新たなアイデアなどを生み出していきたい」

講演では、まず千葉県警察本部の石山さんが、「電動モビリティに係る交通安全対策」をテーマに、同県における取り組みについて講和。外国人に対し、各国の言語で啓蒙チラシを制作し配布していることや、新規販売事業者の把握および、指導も行っていることなどを紹介した。

次に北杜高校教頭の坂本さんは、「高等学校における二輪車安全運転教育指導」をテーマに講演。単なるルール教育だけでなく、自分自身の未熟さを自覚する機会も重要、との考えから、生徒個々の振り返りとして「事故・違反者反省会」を実施していることなどを説明した。

続いて本田技研工業の谷さんは、「ホンダ二輪車安全技術への取り組み 先進ブレーキ編」をテーマに、コンビブレーキやABSといったブレーキシステム開発の経緯などについて紹介。またホンダでは安全目標として、ホンダ車が関与する交通事故の死者数を2030年に2020年から半減、2050年にはゼロを目指していることに言及。今後の展望については、次のように述べた。

「これまで取り組んできた、先進ブレーキやエアバッグ、ボディプロテクターといった技術の適用拡大に加え、次のステップとして、安全安心ネットワークに関する技術の開発を継続していく。ITS(高度道路交通システム)における車々間通信、路車間通信、緊急通報などの技術開発も進め、これらを持って、2030年以降の死者数ゼロを目指していきたいと考えている」

写真左から石山孝明さん、坂本篤さん、谷一彦さん、菅原一樹さん
写真左から石山孝明さん、坂本篤さん、谷一彦さん、菅原一樹さん

JAFの菅原さんは、「二輪車のロードサービスと二輪アタッチメントの開発について」をテーマに講和。昨年度の救援件数は2020年度比で、四輪が約7.6%の増加であったのに対し、二輪は約31.2%(約2万2000件増)と、需要が高まっている状況について示唆した。また、高速道路における二輪車救援の出動理由1位が「燃料切れ」であることを挙げ、運行前確認の重要性を説いた。さらに、二輪アタッチメント開発の経緯については、「ライダーからの救援要請が高まっている状況を踏まえ、ロードサービスカーの主力であるレッカー車で迅速に二輪車を牽引搬送できるよう、アタッチメントを開発。その結果、二輪車の牽引搬送に対応できるクルマを約2.5倍増やすことができた」とも述べた。

講演後に行われたパネルディスカッションでは、ゲスト4名による討論を実施。ブレーキの適切な掛け方をはじめ、二輪アタッチメント導入によって機動力がどれくらい向上したのかなどについて説明が行われた。また日本二普協の髙橋専務理事は、交通事故をなくすという目標に向け、現在抱えている課題や、連携によって解決できることがあるか質問。これに対し、各専門分野の登壇者がそれぞれの立場から回答を述べるなど、活発な意見交換が行われた。

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