公開日: 2025/02/12
更新日: 2025/02/13
レンタルバイクの車両数が伸びている。全国レンタカー協会では、毎年3月末時点でのレンタカー車両数データを公開しているが、それによると2024年の車両数は2019年の倍以上になっていることが分かった。いまや、レンタルバイクはバイクを楽しむ手段のひとつとして完全定着した感がある。
愛車に乗りバイク仲間と、あるいはソロで遠出を楽しむ。これが一般的なツーリングの概念だろう。そこに変化を与えているのが『レンタルバイク』の存在だ。
「バイクを実際に所有したうえでツーリングなどに出掛ける、という楽しみ方だけではなく、所有はせずに乗りたい時にレンタルして楽しむ、など、所有の有無ではなく、純粋にバイクに乗って楽しむことを目的としたお客様が増えてきた、という印象です」(ホンダモーターサイクルジャパン・以下HMJ)
増えてきた、ということは、以前は違ったということ。ホンダが『HondaGOバイクレンタル』をスタートしたのは2020年。最初は「ニューモデルを試したい」というユーザーが多かったという。
これは、バイクのレンタルサービスを行っている販売店から聞いた話。店に「モンキー125を借りたい」という若いユーザーが数人来店し、それぞれ色違いのモンキーを借りてツーリングを楽しんだという。彼らは全員、軽二輪以上のバイクを所有していた。つまり、レンタルバイクを借りるのはバイクを所有していない人、ではないのだ。バイクを所有していても、レンタルバイクでツーリングを楽しむというユーザーが少なからずいるのは事実。もちろん、ツーリングユースだけではなく、さまざまな使い方がなされている。
「レンタルした理由を聞くと、『バイクの保管場所がないから』『気になるバイクがあるから』『試乗車のないお店が多いから』などの声が多いですが、『中には全ラインアップに乗ってみたい』とか、『バイクの練習で』というリターンライダーや初心者の方もいます」(二輪販売店)
提供する側の提案なのか、利用する側の要望なのか、あるいは双方なのか。それは分からないが、あらゆるシーンでレンタルバイクを見るようになってきたのは確かだ。
全国レンタカー協会では、毎年3月末時点でのレンタカー車両数を公開している(原付二種以下除く)。そのデータを表したのが、グラフ1。バイクが大きな注目を浴びたコロナ禍を中心とした、その前後6年間のデータだ。
グラフを見ると、2019年から2024年までの伸びが著しいことが分かる。2019年が2852台だったのに、2024年には5759台と、2倍強になっている。
「レンタル事業を開始した2020年から2021年にかけて上昇。レンタルで二輪車を借りることが定着化してきているようで、安定した利用件数で推移しています」(HMJ)
「現在、コロナ禍の時に比べて貸出件数は減っていますが、コロナ禍前よりも認知度が高まったためか、コロナ前の2019年よりも多く貸し出しています」(二輪販売店)
男女比率や中心となる年齢層はどのような感じなのだろうか。自工会の『2023年度二輪車市場動向調査報告書』では、二輪車購入者の平均年齢は55.5歳で、女性比率は6%。これと同じなのだろうか。
「男女比率は、男性85%・女性15%です。中心年齢層は40~50代ですが、20代が増えてきています。しかも女性の場合、一番多く貸し出している年齢層が20代なのです」(同)
ホンダでは20~30代の利用が約45%。免許保有比率や二輪車を購入している年齢層と比べると、かなり若い。
YouTubeなどではバイク系インフルエンサーがレンタルバイクでツーリングなどを楽しむ姿をよく見かけるが、そうした動画が好影響を与えている側面もあるようだ。
「動画などを見て参考にしている人が大多数。特に女性ユーザーは、バイク女子の人たちの動画を閲覧していることが多いですね」(同)
二輪業界は若年層や女性のさらなる取り込みが継続課題だが、レンタルバイクはそこに訴求できているのだ。既にレンタルバイク事業を行っている店はどのような提案ができるか、まだレンタルサービスを行なっていない店ではサービス開始を検討してみるのもいいだろう。データからも分かるように、レンタルバイクはいまや、バイクを楽しむ手段のひとつになってきているのだから。
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