公開日: 2024/12/24
更新日: 2024/12/26
普段、駅構内や電車内でよく見かけるのは、日本語と共に、英語や中国語、韓国語が表記された標識や電光掲示板だ。アナウンスも多言語で流れるなど、外国語は身近なものとなっている。そんな中、東京メトロでは、ヤマハ株式会社の開発した駅構内のアナウンスを多言語で文字表示できるサービス「みえるアナウンス」を導入する。
同サービスは、増加傾向にある訪日外国人や聴覚障がいのある方などに対し、より分かりやすく情報を提供するのが目的だ。2024年1月の段階で、上野駅や浅草駅など東京メトロ7駅で試験導入。今後、2025年11月に開催予定の「東京2025 デフリンピック」を見据え、同年4月より東京メトロ全駅で展開していく。
みえるアナウンスは専用アプリ不要で駅構内のアナウンスを日本語・英語・中国語・韓国語に文字化するサービス。駅構内に設置された専用パネル「トリガーボード」に、利用者のスマートフォンをかざすかQRコードを読み取ると、駅係員用のアプリ「おもてなしガイド for Biz」が起動。放送したアナウンス内容をスマホの言語設定に対応した言語で表示する仕組みとなっている。
この技術は、ヤマハが開発・提唱する、音のユニバーサルデザインの実現を目指す「SoundUD」の取り組みの一環として開発したものを活用している。今後は東京メトロ全駅に拡大し、トリガーボード設置数を増やすなど、利便性を高めていく。
多言語表記はここ数年、訪日外国人の増加に伴い、より多く取り入れられるようになった。2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催により、日本に対し興味関心を持つ人々が増加。コロナ明けにはビザ発給要件の緩和などもあり、観光目的の訪日外国人は増え続けている。日本政府観光局の統計調査によると、2024年10月の訪日外客数は331万2000人と、前年同月比で31.6%増加。また、同年1月~10月までの累計は3019万2600人となり、1964年の統計開始以来、過去最速で3000万人を突破した。
その一方で、意思疎通の難しさが現在課題となっている。2023年11月~2024年2月にかけて行われた国土交通省観光庁の調査によると、訪日外国人が旅行中で困ったこととして、「施設等のスタッフとのコミュニケーション(英語が通じない等)」が22.5%、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」が13.4%と、全体の約3割が言語の壁に困ったと回答。説明不足による誤解が生じ、トラブルに発展することもあるという。
この先、みえるアナウンスが導入され、東京メトロで訪日外国人などに効果がみられれば、JRなどの鉄道会社に導入される可能性がある。また、ショッピングモールなどの施設での活用も考えられ、様々な場所で利用されていくのかもしれない。今後のサービス導入による言語の壁の解消が期待される。
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