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自動二輪車、原付ともに交通事故での死者数が増加。販売店がユーザーにできることとは?

公開日: 2024/07/30

更新日: 2024/08/09

2023年における二輪車乗車中の死者数が2022年よりも増加した。このペースで推移すると、必要以上に「バイクは危険」と思われかねない。そこで、各メーカーの安全運転に関する取り組み、販売店の取り組みなどについて、その一部を紹介していく。

前年からの死者数増加率は自動二輪車乗車中が14%、原付乗車中が27.2%

前年からの死者数増加率は自動二輪車乗車中が14%、原付乗車中が27.2%
前年からの死者数増加率は自動二輪車乗車中が14%、原付乗車中が27.2%

しばらく40万台に届かなかった二輪の新車総需要台数が3年連続して40万台以上をキープ。現在は2020年や2021年のように、前年比で数万台プラスという状況ではないが、2022年、2023年も横ばいで推移している。コロナ禍以前である2019年の総需要台数と比較すると、2023年は約7万台増えている。

これはコロナ禍に端を発したバイク人気とはいえ、喜ばしいプラスの一面と言えるのだが、マイナス面もある。それが事故だ。

表1は2013年からの二輪乗車中の死者数推移をまとめたもの。2013年の死者数は自動二輪車乗車中と原付乗車中を合計して761人。そこから徐々に減少してきていたが(2016年は前年比増加)、総需要台数が増加傾向となった2020年に死者数が増え、そこから2年連続して減少したものの、2023年でまた増加。2022年よりも自動二輪車乗車中で48人(14.0%)増、原付乗車中は25人増え、比率だと3割近い27.2%増にもなっており、全体でも16.8%増加した。負傷者を含めた死傷者数においても、2023年は2022年よりも増加している。

単純に人数だけの比較なら、2013年より全体で253人少ない。2013年以降の数字で見ても下から3番目で、悪い数字ではない。ただ、前年よりも16.8%増えたというのは喜ばしいことではないし、これ以上増加させないためにも、何かしらの対策が必要になってくるのではないだろうか。

広いスペースがなくてもできる、販売店の安全運転への取り組み

広いスペースがなくてもできる、販売店の安全運転への取り組み
広いスペースがなくてもできる、販売店の安全運転への取り組み

もちろん、安全運転に関して何もしていないということはない。各メーカーや二輪関係団体がライディングスクールなどを開催しているほか、独自で安全運転に向けた取り組みを行っている販売店も決して少なくない。

ライディングスクールを主催したり、二輪車安全運転指導員の資格を取得してライディングスクールのインストラクターを務めたりしている店もある。

「二輪車安全運転指導員は、各警察や業界団体などの開催する安全運転講習会で、実技講習や座学を通して乗り方の指導などを行います。資格取得に関しては、各県の交通安全協会に問い合わせください」(日本二輪車普及安全協会)

また、店が企画するツーリングでも、走る楽しさを知ってもらうだけではなく、安全な乗り方を休憩時などにレクチャーしているという話も聞いている。もっと身近なところでは、納車やメンテナンスなどでの来店時、店の駐車場でユーザーに乗り方のコツを教えたりなど、乗ることに対する不安を取り除いてあげる取り組みをしているところもある。広いスペースがなくても、できることはあるのだ。

ちなみに、各メーカーの安全運転に関する取り組みの一部を紹介しておく。ホンダでは『HondaGOバイクレッスン』を交通教育センターレインボー埼玉などで開催。ヤマハは安全普及活動『ヤマハライディングアカデミー(YRA)』の一環として『ヤマハバイクレッスン』を全国各地で開催。スズキは30歳以下を対象にした『U30スズキセーフティスクール』を各地の自動車学校で開催。カワサキは全国のカワサキプラザが主催するライディングスクール『カワサキプラザ・セーフティライディングスクール』を開催。

ヤマハのYRAについては、レッスン開始時にはクラッチ操作すらぎこちなかった参加者が、最終的には公道ツーリングをこなすまでになるという姿を実際に確認している。

二輪乗車中の死傷者増加は、バイク離れを引き起こしかねない大きな課題だ。店単位でも課題解決に向けて何かできることがあれば、積極的に取り組んでいくことがユーザーを守ることにつながる。二輪車安全運転指導員の資格にチャレンジしてみてもいいだろう。また、安全運転に関する様々な情報をユーザーに伝えていくことも大切なことのひとつだ。

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