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3分でわかる中古車ビジネスの“ツボ” 来店・再来店につなげるアイデアとは?

公開日: 2025/05/14

更新日: 2025/05/15

例えば、行きつけの町中華に新しい調理スタッフが入ったとする。その人が作るラーメンを初めて食べる時、「今までと同じ味かな?」と思ったりすることはないだろうか。こういった不安は、飲食店に限らず、どの業種にも当てはまる。技術を売りにしている二輪販売店も同様だ。

百聞は一見にしかず。言葉ではなく、動画や写真で技術力アピール

百聞は一見にしかず。言葉ではなく、動画や写真で技術力アピール
百聞は一見にしかず。言葉ではなく、動画や写真で技術力アピール

これは、過去に取材で聞いた話だ。ユーザーが修理の依頼で来店した際、若いスタッフにその修理を任せようとしたところ、「若い人だと少し不安。いつもの人にお願いできないだろうか」と言われたという。

そのスタッフは、若いと言っても二輪整備士免許は当然、取得している。その店に就職してから数年が経つうえ、経験も積んできている。それでもそのユーザーは、今までと違う人が担当するということと、新しい担当が若いということに若干の抵抗を感じたようなのだ。

その時は、従来通り元のスタッフが担当することで了承を得たというが、誰が担当してもユーザーに安心・納得してもらえるよう考えたのが、若いスタッフにはレストアを担当させるというアイデア。作業の様子をSNSにアップし、どのスタッフでも安心して任せられるということをアピールしたのだ。少しでも多くの人の目に触れるよう、ハッシュタグもいろいろつけて動画を公開。徐々にだが効果が現れ、「動画の人にバイクを見て欲しい」という人も来店するようになったという。

今は、スマホでさまざまな情報をキャッチするのは特別なことではない。SNSをどう効果的に使うか、どう戦略的に使うか。店を知ってもらうにはそれが最も大切になってくる。前述したようにハッシュタグをつけてさまざまな検索に引っかかるようしておくのも、そのためのひとつの手段である。どれだけ動画を作って公開しても、検索に引っかからなければ、偶然見つけた人にしか見てもらうことができない。

この店の例にもあるように、SNSをうまく使えば店やスタッフへの不安感を減らすことができるうえ、来店促進につながることもある。動画を公開するだけではなく、どうやったら見てもらえるのかも意識しておきたい。

「たまにはボクに会いにきてくださいね」という声掛けで、ユーザーの警戒心を解く

※写真はイメージです
※写真はイメージです

次は、地域密着型の二輪販売店のアイデアを紹介。この店には、日常の足としてバイクに乗る原付一種と原付二種のユーザーが多く、店側からアクションを起こさないとなかなか点検やメンテナンスを受けてくれないという。乗りっぱなしになって、ブレーキの効きが悪くなっていたり、オイルがかなり汚れてしまっていたりなど、よろしくない状態のバイクも中にはある。かといって、メンテナンスや点検のことを何度も言うのは「お金儲けのため?」と思われて、妙に警戒されることがあるので逆効果だという。

そこで、ユーザーにかける言葉を工夫。「たまにはボクに会いにきてくださいね」と言っているのだ。

時間のある時に来てもらい、世間話をしながらバイクをチェック。実際、世間話と無料のタイヤチェックだけで終わることもよくあり、それで『お金儲けじゃない』ことが理解してもらえるという。バイクの調子が悪い時にだけ、その部位のメンテナンスや交換を行っているのだ。

この「会いにきてくださいね」という声かけに変えてから、ユーザーから警戒されることは激減したとのこと。また、ユーザーのバイクも長持ちするようになり、中には新車で買ってから15万km以上も走った原付二種ユーザーもいたというのだから驚きだ。裏を返せば、それだけ長い付き合いができているということでもある。そのユーザーが新しいバイクに乗り換えた時は、もちろん、その店で購入。メンテナンスなどで、今も付き合いを続けている。

メンテナンスや点検の重要性はおそらくユーザーも十分承知している。でも、本当にその交換が必要なのかが分からない。だからこそ、警戒心を解き、安心して任せてもらえる環境作りがポイントとなるのだ。

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