公開日: 2025/10/22
更新日: 2025/10/23
ホンダは10月16日、都内で新基準原付の発表会を開催した。発表されたのは、以前から巷間噂されていたディオとカブ、クロスカブ。これらをベースに改良が施され、「ディオ110 Lite」「スーパーカブ110 Lite」「スーパーカブ110 プロLite」「クロスカブ110 Lite」として発表された。
発売日はまずディオが11月20日に先行発売される。続いてスーパーカブとクロスカブシリーズは、12月11日に発売となる。
詳細発表に先立ち、ホンダモーターサイクルジャパンの室岡克博社長は開発の意図について、排ガス規制の基準を満たす50ccエンジン搭載車の生産販売が困難な状況下、2024年には418万台の原付一種が保有されている、とし、この移動手段を守るべく50cc超125cc以下のエンジンの最高出力を4・0kW以下に抑えた二輪車を新たに原付一種の車両区分基準に加えるという制度区分の改正要望を行ってきたことに言及。その結果、法改正が行われ、新基準原付の生産に至ったことを明らかにした。
ディオ110 Liteは空冷4ストローク単気筒OHCエンジンを搭載。最高出力は3.7kW(5.0PS)、最大トルクは7.6N・m。これに対しスーパーカブ110 Liteとスーパーカブ110 プロLite、クロスカブ110 Liteは、最高出力3.5kW(4.8PS)、最大トルクは6.9N・mの空冷4ストローク単気筒OHCエンジンを採用している。
同一エンジンでありながら、出力とトルクに違いがあり、双方とも4.0KWに満たないが、これは110ccベースから出力を抑えるという生産方法が用いられたため。既存の50ccと比較した時に最適な使い勝手となる出力を考えたうえでのことだという。その一方で、ディオ50と比較すると、出力・トルクともに大幅にアップ。これにより比較的スムーズな加速性能を実施している。
その他、ディオ110 Liteについては、14インチの大径ホイールをはじめ前後輪が連動するコンビブレーキ、さらにはシート高をディオ110よりも15mm低く設定した745mmの専用ローシートを採用している。このシートはディオ110とほぼ同等のウレタン素材を使用。互換性もある。
カブシリーズについては、前後輪にキャストホイールとチューブレスタイヤを標準装備。前輪にはディスクブレーキを装着し前輪のみに作用するABS も搭載することで、制動時の安心感を高めている。
「Lite シリーズ」という名称は、「シンプルに余計なものは加えず必要なものだけで構成した」という意味に基づくもの。外観からは110モデルと見分けが付きにくいため、フロントカバーに「Lite」のロゴを配している。原付免許で乗れるバイクであることを広めていきたい、としている。
「Lite シリーズ」は全国3700店の正規取扱店での販売となる。スーパーカブ110 Liteシリーズは、年間販売計画6500台に対し1700台の先行受注。DIO110 Liteは9000台に対し6000台の注文を受けていることを明らかにした。税込価格は以下の通り。
●ディオ110 Lite/23万9800円
●スーパーカブ110 Lite/34万1000円
●スーパーカブ110 ProLite/38万5000円
●クロスカブ110Lite/40万1500円
Q. 新基準原付の出力制限は4kwだが、110ccエンジンをどのように制御したのか。
A. 手法としては空気量、燃調を機械的・電気的に制御した。リミッターは60kmで効く。インジェクションなのでコントロールユニットでの燃調制御となる。
Q. 常用域・低中回転域のトルクは、従来の50ccに比べ違いを実感できるのか。
A. 低回転域のトルクはかなり増えている。原付一種としての最下点、最もよく使う回転域に合わせた。トルク特性にはこだわっている。体感できるのは坂道発進。スロットルを開けるとグッと前に出る。「この特性はいいよね」と社内でも高評価が得られた。
Q. 生産国はどこか。また、デリバリーについては即納可能なのか。
A. カブは日本、ディオはベトナムで生産している。納期は、すでに販売店から先行注文を受けている台数は出す予定。ただ、ユーザーの販売店に対する注文はどれくらい入るのかは見えていない。そのため即納とは言い切れない状況。お待たせしないように努力する。
Q. 原付に変わるカテゴリーとしては、特定小型原付や電動アシスト自転車という選択肢があるが、今回のLiteシリーズの搭載は内燃機関だ。このメリットをどう考える。
A. 新基準原付は別の棲み分けだと考えている。キックボードに対し片道30キロの移動は求めないはず。せいぜい買い物レベルだろう。対する内燃機関は片道30キロで考えられる。そこに分がある。EVについては航続距離や充電対応がある。そこをカバーできるのが内燃機関のメリットだ。
Q. ディオの販売計画は9000台に対し先行受注が6000台。これは想定通りなのか、それとも多いのか。
A. 想定よりも多いと思う。50cc原付の駆け込み需要があったので、当初はそんなにないと思っていたが、実際は多かった。販売店の理解が進んでいる証であると考えている。
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