公開日: 2026/10/13
更新日: 2026/10/16
カスタマーハラスメント、通称『カスハラ』が問題視されるようになったのは、いつ頃からだろうか。調べてみると、2010年代からカスタマーハラスメントという言葉が使われ出し、過度な要求をしてくる、いわゆるクレーマーが各種メディアで取り上げられるようになった。現在、ニュースやさまざまなSNSにおいて、「こんなお客さんが来た」「理不尽なことを言われた」など、カスハラに関係することは毎日のように見かけるまでになっており、深刻化の度合いが増している。
カスハラが社会問題としてクローズアップされる中、厚生労働省は昨年7月に労働施策総合推進法(正式名称/労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)の一部を改正する法律を公布。そして今年10月、『カスハラ対策の義務化』を含む改正労働施策総合推進法が施行された。
これは決して対岸の火事ではない。対象となっているのは、企業の規模や業種を問わず、労働者を1人でも雇っている会社。つまり、従業員を抱える二輪販売店も含まれているのだ。
二輪販売店でカスハラというと、接客応対がまず浮かぶと思うが、ユーザーやこれからユーザーになる人との接点は店の中だけではない。問い合わせなどのメールや電話も接点だ。実際、メールで被害を受けたという話もある。
あるユーザーから、ネットに掲載していた在庫車両に関する問い合わせメールが届いた。その時はすでに違うユーザーと商談を進めていたため、「商談が不成立になりましたらご連絡します。遅くとも●月●日には結果が出ますので、その時にまだ車両をお探しでしたら話を進めさせていただければと思います」 と返信したのだが、その期日前から何度も商談を催促するメールが届くようになった。その都度、先に商談していたユーザーの結果がまだ出ていないことを知らせていたのだが、徐々に「無能」「バカなのか」などの言葉が混じるようになり、対応していたスタッフがもうこれ以上は手に負えないと感じて店のオーナーに相談。オーナーは、そのユーザーが店の顧客になるとトラブルを引き起こす可能性が高いと感じたことから、お断りする形で決着したという。
カスハラとは、『1 / 職場において行われる、顧客、取引の相手方、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者の言動であって』『2 / その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより』『3 / 当該労働者の就業環境を害すること』
この3つを全て満たすものと定義されており、対面だけではなく電話やSNSなどネット上において行われるものも含まれている。
改正労働施策総合推進法が求めているカスハラ対策の義務化において、どのような措置を必ず行わなければならないかは、以下の通りとなっている。
■事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
■相談体制の整備
■事後の迅速かつ適切な対応
■対応の実効性を確保するために必要なカスタマーハラスメントの抑止のための措置
■そのほか併せて講ずべき措置
これらの措置を怠ると刑事罰はないものの、助言・勧告・指導や企業名の公表などの行政措置が行われる他、従業員がカスハラにより精神疾患などになった場合は労働契約法の安全配慮義務違反に問われることもある。
この10月に合わせて、しっかりと準備し、万全の体制を整えている販売店もあるだろう。しかし、もしまだ準備が十分ではないという販売店は、カスハラ対策の義務化を所轄する厚生労働省のホームページを確認し、必要な措置をチェックするのが良いだろう。
もう、「お客様は神様」という時代は完全に終わったのだ。
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