公開日: 2026/10/27
更新日: 2026/10/30
自工会は9月17日、都内のホテルでメディアを対象に記者会見を開催した。前回に引き続き今回も会見は2部構成で行われた。前半は「新7つの課題」のうち、自動運転に関する進捗状況を説明。実用化に向けたロードマップを発表した。後半は正副会長7人が登壇。佐藤会長が「新7つの課題」解決に向けた取り組みの進捗などについて説明を行った。
自工会が掲げるのは、全てのヒトとモノが安全・安心に、自由に移動できる自動運転社会の実現。キーワードは「事故死ゼロ」と「移動の自由」。これが自工会の最上位目標だ。共通する課題は「インフラ技術の進化」「社会基盤の整備」「市場浸透施策」の3つ。これを国際標準化につなげる。
ポイントは競争領域と協調領域の区分け。自動運転のコアとなるAI活用や自動運転技術による自律性能向上については、各社が競争領域として取り組んでいる。一方の協調領域は、インフラ協調、社会基盤整備、市場浸透の3つ。競争と協力部分を分け社会実装を加速させる、としている。
1つ目の共通課題は、「インフラ協調による安全性向上・交通流円滑化」。自動運転車両の自律機能に加え、安全性向上、交通円滑化に向け道路インフラや通信ネットワーク、公共情報と連携し、情報管制PFを構築する。
2つ目の共通課題は、「社会信頼基盤の整備」。市場運用で得た事実を検証し救済、事故調査、安全改善などを官民の管理によって回す。
3つ目の協調領域は「技術の市場浸透」。「安全な運転を実現する」では、安心して選べる性能を定義し、正しく使える環境を整える。「社会で支える」は、効果を独立した評価主体が検証・公表する仕組みに加え、購入支援や税・保険との連動など乗り換えの後押しが有効となる。「運転をやめても移動を守る」は、移動サービスに親しみ財源と共同基盤の整備で地域の足を維持する。所管が多岐にわたるため、省庁横断の官民会議の場が必要となる。推進体制については、理事会直下に自動運転プロジェクトチームを設置することで対応する、としている。また、高度道路交通システムの普及・発展を目指す一般社団法人・NPO法人であるITS Japanとも連携を深化させる。
続いて第二部。冒頭、佐藤会長は複数のトピックスについて説明した。1点目は自動運転。「事故死ゼロ」と「移動の自由」の二つの軸をぶらさずにモビリティ社会をつくるという観点で、ロードマップを定めた。中長期的には、自動運転で「安全安心」「移動の自由」を担保するための社会システムをどう作るかという議論になる。最終的には、国際的な動きと調和をさせながら取り組んでいくべきこと。日本の立ち位置をしっかり示し関係構築を行うことが重要、とした。
2点目は「水素大動脈構想」。これは国、地方自治体、モビリティ側、インフラ事業者の4つの歯車が同時にかみ合っていないと実現できないもの。量を増やし水素コストを下げ、他産業への普及につなげることが必要。自動車が需要を作り出し、日本が経済合理性のあるエコシステムを作っていく。
3点目はJapan Mobility Show Bizweek2026 について。今年はB to B のイベントとして、10月13日から4日間、CEATECと共同開催する。「あなたが動けば、世界が動く」をテーマに、自動車産業の枠を超え、約200社の多様な企業やスタートアップ、大学などと「新7つの課題」も下敷きにしながら協調を模索するイベントとする。
Q. 自動運転について、情報関連プラットフォームを構築した上で、社会システムとして 2028年から実装するということだが、かなり急ピッチな展開だ。日本の自動運転は、海外と比べ周回遅れという指摘もある。
A. 日本の交通環境は、信号や高速道路設計、高度道路交通システムなど他国に比べて特殊性が高い。技術については、決して遅れていることはなく、また劣ってもいない。ただ、それを社会実装するところに課題がある。まずは社会認知を高めていくことが必要。個社の努力はもちろん必要だが、自工会としての役割は、その基盤そのものの認知を高めること。スピード感をもって社会実装に取り組むことが重要。
A. 日本は交通事故や交通安全に対する意識は非常に高いレベルにある。この強みをさらに高めていく。また、地域の足の問題など様々な社会課題もある。技術を開発し、これをいかに早く実装するか。そのための仕組みや社会システムなどの構築を急ぐ。
Q. 二輪車における「交通死亡事故ゼロ」の取組みと二輪車の自動運転に関する競争領域にどう関わっていくのか。
A. 社会的基盤の確立については、四輪も二輪も同じカテゴリーだ。技術面のハードルは、二輪はその特性上自立しないので、四輪よりハイレベルな自動運転技術が必要。ただ、交差点での出合い頭をどう認知させるか、四輪側はどこに気付きを起こすか、などの技術的な課題がある。自工会としてはそこを中心に取組む。事故ゼロに向けた二輪の取組みとしては、実用趣味領域や一般ライダー、高校生、通勤者向けの教育を進めている。一方、安全装備の普及についてはヘルメット胸部プロテクターの装着、運転に適したウェアの装着、腹部プロテクターの装着など、教育啓蒙啓発を積極的に進めている。8月19日の「819の日」には、4000名近い人が来場した。来場者には展示物等を通じ安全に対する取組み姿勢の理解促進に努めた。こうした取組みを地道に行いながら、事故死者数ゼロを継続的に目指すのが自工会のスタンスだ。
Q. 競争領域においても AIの活用はあると思うが、最近アメリカでAIの暴走懸念により開発を促進すべきか抑制すべきかという議論が出ている。自動運転の開発にはAIは欠かせないものだが、この問題を自工会としてどう見ているのか。
A. 各社ともAI導入については全力で推進している。一方でAIの安全性担保についても十分に認識している。これはAIの中だけではなく、自動車全体での重要なテーマ。AIを使わないということではなく、その能力を見極めつつ、どう自律性を高め、同時に安全性を確保するか。この両立が重要だ。
A. AIを一つの武器として車両性能の向上に活用する。これが一つだが、フロンティアAIの出現により、脅威は高まっている。自工会でも議論を行っているが、攻撃に対していかに防御するのか、クルマがハッキングされないための仕組みをどう構築するのか、開発のプロセスにおいてソフトウェアに対する秘匿性をいかに高めるのか、が課題。行動が分析されることでクルマの脆弱性が表に出る、という危険性もある。フロンティアAIによる被害を受けることを想定した上での自動車業界としての構えをどうするか。これについて現在、議論を始めているところだ。
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