公開日: 2022/09/09
更新日: 2022/09/09
古くはアイドマ(AIDMA)の法則、2000年代に入るとアイサス(AISAS)の法則。これは消費者がモノを買うまでの『消費行動の過程』を表した法則だ。聞いたことがある、という人も多いだろう。例えば、アイドマなら、『アテンション=注意』『インタレスト=興味』『デザイア=欲求』『メモリー=記憶』『アクション=行動』。商品の存在を知り、興味を持ち、欲しいと思い、記憶して、購入する。購入に至るには、この段階を経る、ということ。
ちなみにアイサスの法則は、ネットの普及によって消費行動の過程に変化が起きたことに対応させたものだ。アテンション=注意、インタレスト=興味、サーチ=検索、アクション=行動、シェア=共有。それをさらに進めたアイセアス(AISCEAS)もある。
さて、これらの法則からも分かるように、消費行動には段階がある。今、まさにこれからの商品として、認知や興味を広げようとしているのが電動モビリティ。もちろん、すでに電動モビリティを利用しているユーザーはたくさんおり、認知度や興味の高さはそれなりにあるとは思う。しかし、電動モビリティは事故や違反などネガティブな報道が目に付き、マイナスイメージを持っている人もそれなりにいるように感じられる。
アイドマで言えば、『欲求』の段階前で足踏みしているという印象がある。そのような時、安全性や安心感の訴求だけではなく「こんな時に使える」「こんな時に便利」など、電動モビリティのメリットや可能性を提案していくことも大切だ。
その機会の一つとなったのが、8月6日(土)と7日(日)の両日、千葉県千葉市にある幕張メッセで開催された『アソモビ2022inMakuhari(以下、アソモビ)』。これは『アソビ×モビリティ』をテーマとしたイベントで、会場にはキャンピングカーやアウドドアレジャーをもっと楽しくするアイテムの数々が並び、6日が3668人、7日が4756人、合計8424人が会場に足を運んだ。
アソモビの『モビリティ』は基本的にクルマのことなのだが、二輪に視点を移し、「キャンプ場でこういうのがあったら、もっと楽しいよね」という提案を行った企業がある。二輪の電動モビリティメーカーであり、JEMPA(ジェムパ=一般社団法人日本電動モビリティ推進協議会)の設立メンバーでもあるSWALLOW合同会社(スワロー)だ。同社の電動キックボード『ZERO9』『ZERO10X(原付二種)』のほか、先行販売されていた着座タイプの新製品である電動モビリティ『Fiido(フィード)』を正式発表するとともに展示した。
「電動キックボードだと『転倒するのが怖い』という声を頂いていました。フィードは座って乗るタイプで足付きが良く、電動キックボードが怖いという方も、安心して乗って頂くことができます」(スワロー代表社員/金洋国さん)
このフィードはリヤカーを接続することができる。フィード単体では運べないようなちょっとした荷物でもリヤカーをつなぐことで運搬できるというユニークな構造を持つ(リヤカーは参考出品)。また、子ども用のサドル(参考出品)をセットすれば子どもを前に載せて走ることも可能。電動モビリティというと非力なイメージだが、フィードはパワーも十分にあるのだ。
キックボードタイプもフィードも試乗可能で試乗コースも用意されていたのだが、ブースの位置は会場の奥。試乗する人はどれだけ来るのだろうと危惧していたのだが、イベントがスタートしてみると、人が途切れる瞬間がなかなかないほどだった。 驚いたのは、試乗者に占める女性の比率。見ていた限りでは、試乗者の半数近くが女性。
「アソモビ」は家族連れやペット同伴、カップルでの来場者が非常に多く、バイクイベントで見られるような男性数人のグループは少ない。夫婦でブースに訪れ、ご主人が試乗した後、奥さんも試乗する、というケースが多々見られた。試乗後のスタッフとの会話を聞いていると「こっち(フィード)なら、電動キックボードのような怖さがない」という声もあり、正式発表されたフィードの手応えも上々の様子。また、スタッフの説明を前のめりで聞く来場者も数多く見られ、『デザイア=欲求』の段階はもうすぐそこまで来ている、そんな印象が強く残ったイベントだった。
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