公開日: 2023/07/11
更新日: 2023/07/14
昨年11月、正式発表前にメディアへ公開された「CL250」。当時、跨ることができなかった車両に、ついに、バイクジャーナリストの小林ゆきさんが跨り、試乗インプレを行ってきました!
「レブル」がプラットフォームの車両ですが、全然違うジャンルのバイクとして新しくラインナップに加わりました。ホンダのCLシリーズとは、デュアルパーパスというオン・オフ両用カテゴリーの車両です。
今回シリーズに加わった、CL250もオフロードメインとして開発されたというよりは、普段使いの延長上に、例えばツーリング先のキャンプ場で、最後にダートがある時に不安なく走れるようなことをイメージして作られました。
現在走っている試乗コースはアスファルトの一般道ですが、第1印象は本当にシンプルでオーソドックスなストリートバイク。
ですが、オフロード寄りの外観ということで、まず気になるのがシート高。790mmということですが、だいぶ起きた姿勢になるように作られているので、視線の高さがとても気持ちいいです。高いところから見下ろしながら走っている感覚になります。
その理由はシートの固さ。見た目はふかふかしてそうですが、実際に座ってみると結構固めです。ライダーが座り込んでも沈み込みがあまりないので、790mmならではの高さを感じます。最近のHONDAはかなりシート開発に力を入れていて、固さや左右エッジのラウンドなど、細部までこだわって作っているので、CL250のシートの固さは、恐らくオフロードも乗れる車両として狙って作られたのだと思います。
エンジンはレブルと共通の、HONDAのオーソドックスな250cc単気筒エンジン。とはいえ、味付けはだいぶ変えてあり、エンジン内部のパーツも違うものを入れていたりするそうなので、ドコドコ感ありきの、トルクフルさを感じます。ダートに行ったらトルクで地面をつかんで蹴り出しそうな感じのエンジンです。
現在、制限速度低めのところを高めのギアで走っていますが、だいぶ粘りのあるエンジンだと思います。足回りはフロントが19inc、リアが17incということで、やや太めのタイヤを履いていて、先ほどカーブした時に、グリップをしっかり感じるハンドリングでした。このタイヤの太さや形状がグリップ感のあるコーナリングに寄与しているのだと思います。
ストリートスクランブラーとしてオン・オフ両用のジャンルですが、都心のアスファルト道路を走ってみると、非常にオーソドックスな走りでした。250ccであっても、色々な意味でエンジン、足回り、ハンドリングもスゴくシッカリ感があるんですよね。なので、いわゆるモトクロッサーベースの純粋なオフロードを目的としたバイクとはちょっと方向性が違うのかな。どちらかと言えばストリート重視なので、逆に言うとオートバイのベーシックなところが学べそうなバイクでした。パワー感ないんじゃないのとか、トルク感どうなのって疑問に思っている方、排気量の先入観はもう捨ててください! 最先端250ccバイクの一段上質な走りを感じられる1台です。
また、アクセサリーの種類も豊富で、ナックルガードやメーターバイザー、アップタイプのフェンダーなどカスタムする楽しみもあります。そして車体は、シートが固い分、見た目よりもまたがって走っている時の方が断然大きく感じるので、大型バイクを走らせているような感覚になります。アップタイプマフラーや大径フロントホイールなど、今までの歴史を踏まえてスクランブラーのエッセンスは入っていますが、どちらかと言うとストリートでしっかりベーシックで走りそうな1台なので、購入を考えている方はぜひ参考にしてください!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
◎小林ゆきブログ
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