公開日: 2024/03/26
更新日: 2024/04/02
最新テクノロジーやデジタル社会に関連するニュースを扱うメディアサイト「ギズモードジャパン」は1月29日、電気自動車タイヤの消費スピードに関する記事を公開した。これによると、EV車のタイヤ交換はエンジン車のおよそ1/4〜1/5(1万3000〜1万6000km)の期間で実施するケースも珍しくないという。なぜEV車はタイヤの消費が早いのだろうか。
その理由は主に2つある。まず1つ目は、EV車の車重。これが重くなる要因は、モーターを動かすバッテリーにある。EV車はエンジン車に比べ、部品点数は少なくなっているが、航続距離を維持するためにバッテリーが大型化しており、その分車重が重くなっている。2021年9月にNPOアジア金型産業フォーラムが明らかにした内容によると、EV車は同クラスの車格でも、エンジン車よりも平均して約240~460kg重いという。
続いて2つ目は、EV車の特長である急加速。アクセルを踏むとすぐに100%のパワーを出すことができ、アメリカのメーカー「テスラ」が販売する『モデルSプラッド』は、わずか2.1秒で停止状態から時速100kmの最高加速を実現している。
これらの特長により、EV車のタイヤは摩耗が早くなっているのだ。また、タイヤへの負荷は路面に伝わるダメージの増加にも結び付く。そのため、EV車は道路の消費を早めることも問題視されている。
EV車についてはアメリカのネブラスカ大学が昨年10月、ガードレールへの衝突実験を実施している。その結果、EV車が道路脇の柵に衝突した場合の衝撃エネルギーは、エンジン車等と比べ20〜50%増加する可能性があるという。つまり、歩行者の重症化および死亡リスクを高めている、ということにもなる。
近年は、ブリヂストンやミシュランなどのメーカーがEV車専用タイヤを開発。航続距離を伸ばすために、ゴムの使用量を減らすなどしてタイヤの軽量化を進めたほか、構造を改良して乗り心地や運動性能、耐摩耗性能を向上させている。
二輪業界においては、2022年の東京モーターサイクルショーで、ダンロップが電動バイク用コンセプトタイヤ「MC507 FOREV」を初公開。また、ミシュランは現在、電動スクーター用のタイヤを複数ラインアップしている。二輪においては、EVモデルと内燃機モデルで車重にあまり差がないため、電気自動車のようにタイヤの交換スピードに関する問題は確認されていない。ただ、今後EVモデルがさらに普及すれば、新たな課題が生まれてくる可能性も考えられる。
本来、環境負荷が低いと言われてきた電気自動車だが、いまでは“本当にエコなのか?”という論争も起きている。とにもかくにも、電気自動車ユーザーには、車両の特性を把握しつつ、定期的にタイヤの状態をチェックし、適切なタイヤ管理を行うことが求められている。
人気記事ランキング