公開日: 2024/06/07
更新日: 2024/06/12
日本自動車工業会(自工会)は2年に1度、二輪車市場動向調査を行っているが、先頃、2023年度の調査結果が発表された。これは新車購入ユーザーの特性や車両の使用状況、今後の購入や保有の意向などについて調査し、需要の質的変化の見通しに役立てることを目的としている。今回はFGI調査(グループインタビュー)を実施したことで定量、定性両面からユーザー動向が判明した。一部、ポイントを抜粋し紹介する。
二輪車の国内需要は、1982年度の328万台をピークに減少し、2015年度以降は30万台規模で推移。だが、2021年度には40万台に回復した。いわゆるバイクバブルである。2023年5月にコロナが5類感染症に移行した後は、コロナ前の水準に戻りつつある、という意見が支配的。ブームをブームで終わらせないためにも、新たな策が求められる。
こうした状況を踏まえ、今回の調査では、施策のヒントやEV車の認知度向上、普及促進検討のための基礎データを得ることを目的に、二輪車販売店へのユーザー意識、ユーザーのバイクライフや考え方についての分析、EV二輪車に対する意識やニーズ、ユーザーの受容性の分析など、3つのテーマからなるトピック調査を行っている。なお、回答方法は書面およびWeb回答で有効回答数は4554となった。
二輪車をめぐる諸環境
二輪車の普及状況と人口推移
コロナ禍以降、需要台数・保有台数とも回復傾向に
バイクの需要台数は2004年度以降では2019年度の36万台を底に上向き、2021年度には40万台を突破。2024年度の水準に戻し、以降は40万台をキープしている。保有台数は減少傾向が続いていたが、2022年度には2万4000台ほど上昇に転じ、1031万1000台となった。
免許取得者の推移
免許取得者数、コロナ前の水準上回る
新規免許取得者数の推移では、原付は緩やかな右肩下がりの傾向が続いている。2020~2021年度はコロナの影響から9万6000人前後へとわずかに増えたが、2022年度は9万3000人弱と下げた。表組にはないが、直近の調査結果では2023年度実績は93万人と1400人強減少している。普通二輪、大型二輪免許は、コロナ禍前から変化が生じていた。ここ10年では17年が22万9000人で底となり、そこから上昇カーブを描いた。コロナ禍真っ只中の20年度からは一気に伸び21年度には31万1000人となった。そこを頂点に下落に向かい、22年度には30万人となった。23年度についてはグラフには出てないが、27万人と3万人減少している。また、種別による差異はない。
二輪車ユーザーの特性
●運転者特性(属性別購入二輪車)
オンロード軽二輪以上の購入割合が高いのは20~50代男性
最も比率が高いのは「スクーター原付第一種」の25%。次いで「スクーター原付第二種」が18% 、「ビジネス原付第二種」が13%、「オンロード小型二輪」が12%と続く。オンロード区分としては排気量計で31%を占める。男性ユーザーは20代~50代が「オンロード」、40代~60代では「スクーター原付第二種」の比率が高い。女性ユーザーについては20代で「オンロード軽二輪」が最も高い。それ以外の年代では「スクーター原付第一種」が突出している。
使用状況
●使用実態(用途)
「買い物」「ツーリング」がほぼ同数で、最多ツーリング需要は軽二輪以上で増加
使用用途を見ると、全体では「買い物・用足し」(51%)、「ツーリング」(50%)、「街乗り」(42%)が高い。男性は「ツーリング」「街乗り」が女性より高く、女性は「買い物・用足し」「通勤・通学」が高い。グラフはないが、購入二輪車別では、スクーターの原付第二種までは「買い物・用足し」「通勤・通学」の需要が高く、軽二輪以上になると、「ツーリング」需要も増えてくる。
ツーリング相手
「一人で」が最多。コロナ禍の影響大?
ツーリング相手は、コロナ禍の影響からか「一人で」の83%がダントツ。次いで「バイク仲間」が28%、「友人・知人」が20%と続く。性別で見ると、女性は「一人で」が54%と最も高いが、「夫婦・恋人」の50%、「家族」の21%については男性より高い。
需要構造の変化
●購入状況(新規ユーザーの購入理由)
新規購入理由は「趣味として楽しみたい」がトップ
全体では「二輪車を趣味として楽しみたい」「身軽に動ける」「行動範囲が広くなる」という回答が多い。購入二輪車別では、スクーターは「移動の時間短縮」等が多く、オンロードやオフロード軽二輪は「趣味として楽しみたい」「二輪車に憧れていた」「趣味を楽しむことに適していた」「二輪車はカッコいい」が中心。男性は「趣味として楽しみたい」傾向が強く、女性は「行動範囲が広くなる」など実用的な理由が多い。コロナ禍を経て趣味として楽しむことを目的に、新規で二輪車を購入したユーザーが増加傾向にあることが確認できる。
購買行動
●購入プロセス(車両を購入するまでに入手した情報源 ※複数回答)
トップはメーカーのWebサイト。次いで販売店の現車
情報源は「メーカーのWebサイト」が45%、「販売店での実物」が38%、「動画サイト」が35%。男性はWebサイトと二輪車専門誌、女性と70代以上は「販売店の実物」や「販売店の店員の話」が中心。10代~30代の若年はWebとSNS、50代は「カタログ・パンフレット」も多い。オンロードとオフロードはWebサイトや「二輪車専門誌の記事・広告」、「SNS」「販売店での試乗」など多様な情報源からの収集が目立つ。輸入車は「販売店での試乗」の件数が国産よりも多い。試乗車の有無も関係しているものと思われる。
(購入二輪車期待と満足)
購入二輪車への満足度は全項目とも期待値を上回る
全体の満足度は85%だが、男性20代の97%、オンロード小型二輪(251~400cc)の94%が最も高い。オンロードはどの排気量帯でも90%以上と満足度が高い。逆に満足度が低いのは、女性70代以上の63%、同60代の79%や男性70代以上と女性20代の76%、スクーター原付第一種の78%となった。
(二輪車の駐車問題)
都市部ほど駐車に困った経験多数
出先や自宅周辺で「駐車で困った経験がある」という回答は、全体の37%。居住地域では都市部ほど高く東京23区は67%で最多。駐車で困った場所については、「駅周辺」の65%、「繁華街」の61%が多い。東京23区は上記2つに加え「オフィス街」「住宅街」「自分の学校・職場周辺」「自宅周辺」もその傾向が強い。
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