公開日: 2020/06/25
更新日: 2022/08/26
10月1日より消費税率が10%へと引き上げられ、同時に消費税軽減税率制度が実施される。だが、いまだに線引きが曖昧との声が多い。難しいのはイートインとテイクアウトの解釈。そこで今回は、その線引きを中心に見てみることにする。
軽減税率とは、特定商品の消費税率を低く設定し、消費を喚起するための措置。主に低所得層の生活に配慮した政策とされている。
対象品目は「酒類及び外食を除く飲食料品」と「新聞の定期購読料」の2つだが、分かりにくいのは前者の線引きについてだ。飲食料品は、テイクアウトや宅配ピザなどの出前は8%。対するイートインやケータリングといった出張料理は10%となっている。
解釈が難しいのは、「購入した商品をどこで食べると税率が変わるのか」についてだ。例としてよく取り上げられるのは、テーマパークやフードコートでの飲食。前者の場合、売店のベンチだと10%となり、園内で食べ歩いた場合や園内のベンチで食べた場合は8%となる。また後者の場合、各店舗で購入した商品をフードコート内の席で食べると10%となり、購入した商品を持ち帰って食べると8%となる。
さて、ここからが本題。フードコート内で食べるつもりが、満席のためやむを得ず外の席で食べたとする。その場合、わずかな額ではあっても、10%を支払った人は損をしてしまう。一方、持ち帰るつもりで8%を支払ったが、その後、気が変わりフードコート内で食べたとしたらどうか。この場合は2%分得したことになる。この場合、店側がその人から差額分を徴収することは、まずないだろう。この問題を防ぐためにも、税率によって容器を変える、あるいは店側が税率を統一するなどの措置が求められる。
そんななか、牛丼店の「すき家」は先頃、次のような対応を発表した。牛丼並盛(税込350 円)は、軽減税率制度導入後も税込350 円と価格を据え置く。店内飲食だと本体価格319 円+消費税10%とし、持ち帰りでは本体価格325 円+消費税8%とすることで、税込価格を同一とする。
税率引き上げによる年間増税額は約4兆4000 億円。1人当たりの負担額は約2万7000 円で、1世帯当たりだと約6万2000円という調査結果もある。軽減税率の対象となるのは、主に飲食料品であることは先にも述べたが、ペットボトルの水であれば、中の水のみが対象となるのであって、ペットボトルやラベルの印刷、飲料を運搬するトラックの送料などは10%となる。つまり物価の上昇も容易に想像できるというわけだ。
海外の軽減税率事情を見てみると、アメリカのある州では「バナナは非課税だが皮をむいたら課税」とされる。これは皮をむく作業に人が関わるから、というのが理由だ。
軽減税率の実施が家計にどのような影響を及ぼすかは推測の域を出ない。だが、キャッシュレス支払いに関するポイント還元も実施されるなど、複雑化していることは否めない。かく言う二輪業界も、ポイント還元対象であるため9月現在、ポイント還元の仕組み作りに入っている。二輪業界のキャッシュレス決済時ポイント還元の詳細については、次号掲載する。暫くは目が離せなさそうだ。
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