公開日: 2024/07/29
更新日: 2024/08/02
KADOKAWAは出版のみならず、動画サイト「ニコニコ動画」を運営する子会社ドワンゴを傘下に抱え、通信制学校の「N高等学校」や「S高等学校」を運営するなど、幅広い分野へと進出している。今回の事件は、ドワンゴが運営するサービスが標的となった。
公開された情報についてはドワンゴに関するものが中心であり、一部サービス利用者の個人情報や取引先情報、全従業員の個人情報などが含まれている。また、運営する通信制学校「ドワンゴ学園」の在校生や卒業生、保護者の個人情報も一部流出しており、KADOKAWAは対象者に個別に連絡している。さらに、サイバー攻撃による被害に対応すると同時に現在、流出したデータの信ぴょう性についても調査を進めている。
KADOKAWA グループに対しサイバー攻撃を仕掛けたと主張するハッカー集団「Black Suit」は6月27日、ダークウェブ上に犯行声明を出し、契約書やサービス利用者の情報など1・5テラバイトのデータをダウンロードしたと主張。7月1日までに金銭を支払わなければデータを流出させると脅迫していた。
流出したデータについてKADOKAWA は7月12日、SNSや匿名掲示板で悪質に情報を拡散された件数が470件を超えると発表した。同社は削除要請や発信者の情報開示請求を始めており、特定した人物には刑事告訴などを含めた法的措置に向け準備を進めていると警告している。
サイバー攻撃による被害はKADOKAWAだけにとどまらない。全国の自治体や企業から印刷業務を請け負う「イセトー」は5月26日、ランサムウェア被害を受け社内の情報を盗み取られたことが発覚。6月には犯行グループ「8Base」による犯行声明が発表され、個人情報を含む内部情報が公開された。7月11日までに、愛知県豊田市や福島県などの自治体と企業の顧客・個人情報が、約90万件流出した恐れがある。現在は専門家と連携し調査を進めている。
近年、政府機関や企業などの重要なインフラ機能を標的としたサイバー攻撃が深刻化している。日本では22年4月に、警察でサイバー特別捜査隊を発足。24年にはサイバー特別捜査部に拡大し、被害の未然防止や対処するための対策に取り組んでいる。
サイバー攻撃は日常生活を混乱させ、大切な個人情報が漏洩する危険がある。ネットに公開されれば口座などを不正利用される恐れがあり、自分は大丈夫だと思って悪用に気づくことができず、大きな被害へとつながる可能性がある。決して他人事だと思わず、不正利用がないか定期的に確認したり、パスワードを変更するなど、1人ひとり危険意識を強く持つことが求められる。
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