ウェア・用品類ビジネス注目

安全と安心の提案で、バイクに乗り続けられる環境づくりを

公開日: 2024/11/04

更新日: 2024/11/15

バイクのウェアや用品の企画・製造・販売を手掛ける株式会社ヒョウドウプロダクツが『バイクに乗ることへの不安調査』を行い、結果を公開した。それによると、大切な人がバイクに乗ることに対して、「とても心配」「やや心配」との回答が8割強であった。周囲の理解や賛同がなければバイクに乗り続けることは難しい。コロナ禍でバイクが注目されたが、そのユーザーにこれからもバイクを楽しんでもらうには周囲の不安を少しでも取り除く提案をしていくことが重要だと言えそうだ。

大切な人がバイクに乗ることに不安を感じているという回答が8割強

[調査期間]2024年5月21日(火)〜2024年5月22日
[調査方法]リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(http://www.perizma-link.com/press)によるインターネット調査
[調査人数]1,000人 [調査対象]調査回答時に家族や恋人がバイクに乗ると回答したモニター
[調査元]株式会社ヒョウドウプロダクツ(http://www.hyod-products.com/[モニター提供元]ゼネラルリサーチ)
[調査期間]2024年5月21日(火)〜2024年5月22日 [調査方法]リンクアンドパートナーズが提供するPRIZMA(http://www.perizma-link.com/press)によるインターネット調査 [調査人数]1,000人 [調査対象]調査回答時に家族や恋人がバイクに乗ると回答したモニター [調査元]株式会社ヒョウドウプロダクツ(http://www.hyod-products.com/[モニター提供元]ゼネラルリサーチ)

趣味としてバイクに乗るライダーの多くは、バイクに乗ることが「楽しい」「爽快だ」「スッキリする」といったプラスの感情を抱いているものと思われる。だが、親や奥さん、ご主人、あるいは彼氏や彼女など、バイクに乗って出掛けていく人を見送る側の気持ちはどうだろうか。

その一端を垣間見ることができる『大切な方がバイクに乗ることへの不安』に関する調査を株式会社ヒョウドウプロダクツ( 以下、ヒョウドウ)が実施。家族や恋人がバイクに乗る人を対象としたインターネット調査で、調査人数は1000人(回答者もバイクに乗る人かどうかは不明)。その設問と回答をいくつか紹介する。

まずは、グラフ1の『あなたのパートナーやお子さまなど、大切な方がバイクに乗ることをどう思いますか?』。最も多かったのが「やや心配」の46.7%。「とても心配」の37.2%、「あまり心配ではない」の13.5%と続き、「まったく心配ではない」は2.6%にとどまる。

同設問への回答をまとめると、バイクに乗ることが「心配」と答えたのは「とても心配」「やや心配」を合わせた83.9%に達している。

販売店にとって、この8割強という数字は実感として多いのだろうか、それとも少ないのだろうか。ある販売店では、自店のユーザーがバイクを趣味として楽しんでいることを、ユーザーの家族に理解してもらうため、家族ぐるみのイベントを開催している。これにより、どんな店に行っているのか、どんな人たちとバイクを楽しんでいるのか、ということを家族は肌で感じることができる。つまり安心感が得られる。

こうした活動をすでに行っている販売店であれば、8割強は高い数字だと思うかもしれない。これは感覚の問題なので、高いか低いかは判断の難しいところだ。

事故に巻き込まれたり転倒に対する『心配』が高い結果に

事故に巻き込まれたり転倒に対する『心配』が高い結果に
事故に巻き込まれたり転倒に対する『心配』が高い結果に

では次に、「心配」の内容を見てみよう。それが、グラフ2の『「とても心配」「やや心配」と思う理由を教えてください(複数回答可)』という設問。73.3%でトップとなったのは「転倒等で怪我をするかもしれないから」。「事故に巻き込まれるかもしれないから」が72.1%と僅差で続き、次が62.9%で「車のように衝撃を吸収する装備がないから」と続く。これは、比率は別としても、想像通りの回答と言える。

バイクは体がむき出しの乗り物なので、転倒や事故になれば何かしらのケガを負う可能性は高い。さらにバイクはスタンドをかけていないと倒れてしまうので、ちょっとしたことでバランスを崩しても倒してしまうこともある。X(旧ツイッター)ではたびたび「立ちごけ」がトレンドになるほど、発生頻度は決して少なくはないのが分かる。

しかし、軽い立ちゴケ程度なら体は無傷で済むのかというと、そうとは言い切れない。数か月の重傷を負ってしまったという話は聞かないが、足首やヒザを捻ってしまった、ヒザやヒジを擦りむいてしまったなどはよく聞く話だ。

各都道府県の交通事故多発交差点が分かる『全国交通事故多発交差点マップ』

各都道府県の交通事故多発交差点が分かる『全国交通事故多発交差点マップ』
各都道府県の交通事故多発交差点が分かる『全国交通事故多発交差点マップ』

では、その「心配」について、送り出す側は、バイクに乗る人に対し、何をしてもらっているのか。『あなたのパートナーやお子さまなど、大切な人がバイクに乗る際に必ずしてもらうことはありますか?』の内訳をまとめたものが、グラフ3。

最も比率が高かったのは「行き先を教えてもらう」で57.6%。次に「安全性の高い装備を身に着けてもらう」の47.7%、そして「帰宅時間を教えてもらう」の40.5%と続く。

1位と3位は、どこに行き、いつ帰るのか。これはバイクに限らず、出かける時の基本情報だ。目新しい手法ではないが、ツーリングを主催している販売店の例を紹介する。どこで休憩し、目的地に何時に着くなどの行程を記した「旅のしおり」を参加者に配布しているところがある。そこまでしなくても、ツーリングの休憩地点や目的地の情報を参加者のスマホに送るだけでも、どこに行くのか分かる。それを参加者が家族に転送すれば、情報の共有化になる。

このほか、日本損害保険協会では、ネットで『全国交通事故多発交差点マップ』をホームページ上で公開している。サイトに掲載されている日本地図の都道府県名をクリックすると、その都道府県内で交通事故が多発している交差点ワースト5を知ることができる。ツーリングルートからその地点を外してあるのを伝えることで、参加者やその家族に与える安心感が違ってくるだろう。また、ツーリングではなくても、そのような情報の掲載されているサイトがあることを知らせておくだけでも、ユーザーの危険回避につながるかもしれない。

ちなみに、令和5年(2023年)は、東京都の池袋六ツ又交差点と大阪府の長居交差点がともに人身事故件数19件で全国ワースト1となっている。このマップは、検索サイトで『全国交通事故多発交差点マップ』と入力すれば、すぐに見つかる。

安全性の高い装備の必要性は感じているものの、予算は5万円以内

安全性の高い装備の必要性は感じているものの、予算は5万円以内
安全性の高い装備の必要性は感じているものの、予算は5万円以内

グラフ3で2位となっていた「安全性の高い装備を身に着けてもらう」に関しては、ヒョウドウの得意分野。同社は、プロテクター装備のウェアのほか、ベストタイプの『エアバッグシステム・AIR-BOOST』の製造・販売も手がけている。

同製品の価格は税込5万4890円。もしもの時に命を守ってくれる値段としては高くはないだろう。しかし、グラフ5の『そのようなウェアの価格として払える額を教えてください』の回答において、約8割が5万円以下と答えているので、やや高い部類に入る。この設問では約半数の48.9%が「3万円以下」と答えている。「5万円以下」が31.7%。

ヒョウドウ以外のバイクウェア関連ブランドからも、バイク用エアバックが発売されているが、プロテクター装備のウェアに比べると、まだ価格はやや高めという印象がある。ただ、以前よりは手頃になってきている。グラフ4にあるように、『安全性が高まるウェアをできるだけ身に着けてほしいと思いますか?』という設問では、「とても思う」が47.6%、「まあ思う」が44.0%と、『思う』が91.7%と9割以上になる。必要性は十分に感じてはいるが、出費はなるべく抑えたいというところだろうか。

もちろん、エアバッグシステムじゃないとダメではなく、プロテクター装備のウェアでも身を守ることはできる。以前は、プロテクター装備のウェアというと、プロテクターの入っているところの通気性が悪かったりして、ウェアを脱ぐとそこの部分だけ汗で濡れているということもあった。胸のプロテクターが2分割になっているものだと、ウェアを脱いでTシャツになった時、やや恥ずかしい汗のあとだったりもした。

また、プロテクターが厚くて固く、ゴワゴワして動きにくかったり、外から見てもプロテクターの形が丸わかり。バイクに乗っている時はいいが、降りて歩く時のファッションにはあまり向いていないモノもあった。けれども、近頃はプロテクターも進化。薄くてしなやかでありながら効果は以前のものと同等以上で、プロテクターも目立ちにくいという製品もどんどん出てきている。価格も手頃なモノも増え、5万円以下でいくらでも探せるようになっている。例えば、ヒョウドウをはじめとした有名ブランドでも3〜4万円台からプロテクター標準装備のウェアをラインアップ。プロテクター別売の場合でも、例えば、女性に人気のあるエースカフェロンドンのウェアは、プロテクター一式と合わせても4万円かからずに揃えることができたりするのだ。

前述の『全国交通事故多発交差点マップ』もそうだが、エアバッグやプロテクター装備のウェアに関する情報提供や提案は、ユーザーを守るだけではない。ユーザーの家族や恋人に安心を与えることにもつながるのだ。

コロナ禍でバイクが人気となったが、バイクに乗って出掛けていく人を送り出す人たちの不安を少しでも取り除いてあげる。そのための提案などは『バイクに乗り続けるための環境づくり』として販売店でもできることの一つなのではないだろうか。



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