公開日: 2025/02/28
更新日: 2025/03/04
ホンダは1月28日、二輪事業に関する今後の取り組みについて説明会を開催。全世界における電動二輪車の年間販売台数目標を400万台とし、30機種の電動モデルを投入することを目指し、戦略的に電動二輪車の市場投入を進めていく、と発表した。
説明会には執行役 二輪・パワープロダクツ事業本部長 兼二輪事業統括部長 加藤 稔氏、執行職 電動事業開発本部 二輪・パワープロダクツ電動事業統括部長 三原 大樹氏の2名が出席。まず、2024年度の販売台数は、世界シェア約4割となる2020万台の見通しであることを発表。このうちインド、インドネシア、タイ、ベトナムなどアジアでの販売台数が全体の85%(1717万台)、日本、欧州、米国は6%(120万台)をそれぞれ占め、2024年暦年の販売台数は、37の国と地域で過去最高を記録したことを明らかにした。
二輪事業の今後の展開
グローバルでの二輪需要は、最大市場であるインドを含めた南西アジア、インドネシア、フィリピン、ブラジルを始めとする中南米などのグローバルサウスと呼ばれる地域を中心に、さらなる伸長を見込んでいる。それに伴い二輪車の全体市場は現状の5000万台規模から、2030年には電動車を含め6000万台規模に成長する見通し、としている。
カーボンニュートラル達成に向けたさまざまな取り組み
2040年代に全ての二輪製品のカーボンニュートラル実現を目指し、ICE(内燃機関)の進化にも継続的に取り組みつつ、環境戦略の主軸として二輪車の電動化を加速させる。
電動二輪車普及に向けた取り組み
2030年のグローバルでの電動二輪車の年間販売台数目標を400万台、2030年までには30機種の電動モデルの投入を戦略的に進めていく、としている。この達成に向けて、2024年を電動二輪車のグローバル展開元年と位置付け、電動二輪市場への参入を本格化。10月には、インドネシアで交換式バッテリー「Honda Mobile PowerPack e: (モバイルパワーパック イー)」を搭載した「CUVe:」、固定式バッテリーを搭載した「ICON e:」の電動グローバルモデルを発表した。CUV e: は、欧州・日本を含む20か国で販売する。
電動二輪車保有コストの低減
電動二輪車を3年間保有した際にかかる総費用が、ICE車と同等となる価格帯での販売を目指し、2028年にインドで電動二輪車専用工場を稼働させる。多くのモデルでモジュールを共通化し、組み合わせることで多彩なモデルを生産する。バッテリーについても、二輪車の特性にあった仕様の構築、安定調達に向けて、バッテリーメーカーと協働して準備を進めている。
製品における環境負荷低減
電動車に加え、二輪車ならではの幅広いニーズや使用環境に対応しつつカーボンニュートラルを実現するため、ICE車の環境負荷低減にも継続的に取り組む。燃費改善によるCO2削減に加え、ガソリンやエタノールなどの混合燃料に対応するモデルとして、ブラジルで導入実績のあるフレックスフューエルモデルの適用地域の拡大を進めている。インドでは他社に先駆けてフレックスフューエル対応の「CB300F」を投入するなど、地域のエネルギー事情に合わせた商品展開を図っている。
Q. インドにEV専用工場を稼働させる理由は。
A. インドには大きな市場があることが最大の理由。南部の都市ベンガルールの既存工場の敷地内に設ける。まずは100cc4kw相当のコミューターから。グローバルへの輸出も考えている。
Q. グローバルでの電動二輪車年間販売台数目標を400万台としているが、市場をどう分析する。
A. 市場の大幅な拡大は期待できないが、トーンダウンはしていない。高付加価値需要は見込める。排気量で言うと、125ccから160ccにステップアップする人へのシフトが必要。インドではスクーター市場が拡大している。ベトナムの女性比率は44%だが、インドは5%しかない。今後、女性が乗るようになれば、スクーター市場はさらに拡大するだろう。
Q. インドに次ぐ成長市場は。
A. 人口の伸びているフィリピン。ホンダ車のシェアは55%でナンバーワンだ。ただ、ベトナムやタイと違い併売店が多い。ネットワークをどうするかがポイントだ。
Q. 国内市場を戦略的に下支えするものはあるのか。
A. 50ccバイクの生産が10月で終了する。新基準原付はプライス面においてもシュリンクするだろう。二輪人口も減るので、ベテランライダーが最後の買い替え時期を迎える。そうなると、対象は若い人。国内の二輪免許取得者はコロナ前を上回っている。ただ、為替の影響もありプライスが上昇した。リーズナブルな製品を提供したい。
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