販売店取材注目

【販売店取材】Attractive 後田吾郎 代表(東京都新宿区)<後編>

公開日: 2025/06/17

更新日: 2025/06/19

二輪業界での勤務経験がないまま、バイクショップを開業した後田吾郎社長。心掛けているのは、時間を要する整備でも可能な限り当日中にユーザーへ納車すること、そして、基本的にどんな依頼でも断らないこと。同氏は現在、車両販売や整備、カスタムといった業務に加え、メディアの手伝いや「56RACING」の運営など、多岐にわたる活動を展開。バイク便・デリバリーライダーを中心に、多くのユーザーにとって替えの利かない存在となっている。

自賠責・任意保険に加入したナンバー付車両を30台も用意

後田社長は初めてのユーザーにも無料で代車を貸し出す
後田社長は初めてのユーザーにも無料で代車を貸し出す

アトラクティブでは、自賠責保険と任意保険に加入し、ナンバーを取り付けたバイクを30台も用意している。このうち、取材時は25台をレンタルバイクとして貸出。そして、残りの5台は代車をとして扱っているというが、その使い方に特徴がある。車検の際に貸し出すだけではないのだ。

「バイクが壊れてしまい買い替えに来た人、当日中に整備が終わらない人、さらには、トラブルに見舞われバイクの引き取りが必要になった人には、初めての方でも代車を無料で貸し出しています。理由は単純で、お客さんはバイクに乗れないと困ってしまう。また、貸し出す期間は長くても1週間程度なので、その分で儲けようとは思わないからです。ランニングコストはかなり掛かりますが、それ以上に、親切な対応を通じてお客さんになっていただくことのほうが重要だと考えています」

レンタルバイクと代車は、デリバリーライダーに販売している前述の4車種を中心に用意。例えば、2ストロークのDIOが故障してしまったユーザーに、代車としてタクトを貸し出すと、同じ原付一種なのにこんなにも性能が違うのかと驚かれ、そのまま購入に至るケースも多い。またロードサービスを利用したユーザーは、その手厚い対応から、神奈川県など遠方に住んでいても、その後も通い続けてくれるという。

そんな後田社長の対応に対するユーザーの声は、グーグルの口コミから確認することができる。「バイクを購入した訳でもないのに、困った時はいつも最善な方法をとことん考えてくれて、親身になってくれます。私が知る限りでは日本で一番親切なバイク屋さんだと思います(原文ママ)」という投稿が、同氏の顧客対応の手厚さを物語っている。

Attractiveの看板には「バイクの事なら何でもやります!」と記されている
Attractiveの看板には「バイクの事なら何でもやります!」と記されている

またアトラクティブは、冒頭で触れたが、「バイクの事なら何でもやります!」と謳っているため、カスタムの依頼も多い。ただ、その中には変わった依頼も数多くあるという。インジェクションのECU が壊れてしまったので、キャブレターに変更して欲しい、ウイリーバーを付けていたバイクのサスペンションを交換したら、サスペンションタンクが付かなくなってしまったのでなんとかして欲しい等々。これらの依頼に対し、後田社長は外注業者も活用しながら対応している。

「違法車両や電動バイクを除き、基本的にはどんな依頼でも引き受けています。ウチに来るユーザーは、他店で断られてしまった人も少なくありません。彼らのなんとかして欲しい、という切実な思いに応えたいのです。私がバイクショップを経営していて最も嬉しいと感じるのは、お客さんに感謝されること。だからこそ、困っている人を助けるのは当たり前、と考えているのかもしれません」

アトラクティブの年間売り上げは最高で8000万円。このうち9割が整備やカスタム代であったという。ユーザーの期待に応える決意が、同店の看板に記された言葉に表れているのだ。

2012年、中野真矢さんと「56RACING」を発足

56RACINGの卒業生、小田喜阿門選手と名越哲平選手との1枚。現在は助監督としてチームに携わっている
56RACINGの卒業生、小田喜阿門選手と名越哲平選手との1枚。現在は助監督としてチームに携わっている

車両販売や整備、カスタム、ロードサービスなど幅広いサービスを通じて、多くのライダーを支え続けている後田社長だが、二輪業界以外にも意外な仕事を受け持つ。なんと、テレビ番組の手伝いも行っているのだ。

その番組とは、BS11で放送されている「大人のバイク時間 MOTORISE(モトライズ)」。とある縁がキッカケで、モトライズの制作に関わっていた知人から、撮影現場にバイクを運んで欲しいと打診されたのだ。これを快諾した後田社長。現在はバイクを運ぶのみだが、以前は万が一に備えてメカニックとしてロケにも同行していたという。

さらに、このモトライズの業務を通じて、ある人物と出会い、それが後田社長をロードレースの世界へと再び引き戻すこととなる。その人物とは、モトライズに出演する元MotoGPライダーの中野真矢さん。親交を深める中で後田社長は、中野さんからレーシングチームの立ち上げに携わって欲しいと、思いがけない誘いを受けたのだ。

「中野さんから、二輪業界に恩返しをしたいので、若いライダーを世界に送り届けるようなチームを作りたいと熱い思いを語られた時、私はものすごく感銘を受けました。ただ、メカニックを担当して欲しいと言われた時は、もっと凄腕の人を招聘できるだろうと、驚きを隠せませんでした。けれども中野さんは、レースの世界を知っているバイクショップのメカニックがいいんだと言ってくれたので、引き受けることにしたのです」

中野さんと後田社長が立ち上げたチームこそ、数多くのトップライダーを輩出している「56RACING」だ。後田社長は2012年のチーム発足から7年間メカニックを担当。所属ライダーが使用する、レーサー車両の制作も手掛けていたという。現在はアトラクティブの経営もあるため、助監督として、鈴鹿サーキットやモビリティリゾートもてぎで行われるレースの応援に駆けつけるなど、チームを支え続けている。

店舗裏口は入居前の建物の風情を残し、あえてレトロな看板を設置。旧車を持ち込み撮影する人もいるという
店舗裏口は入居前の建物の風情を残し、あえてレトロな看板を設置。旧車を持ち込み撮影する人もいるという

車両販売、整備、カスタム、ロードサービス、さらには車検や買取・処分など多岐にわたるサービスを通じて、多くのライダーをサポートし続けている後田社長。バイクを販売するだけの店にはなりたくなかった、と語る同氏は、上述のようにメディアの手伝いやレースチームの運営なども行っている。その理由については、複数の柱を持つことで、例え1つの柱が傾いても、他の柱で支えることができるからと話す。

「創業以来、1日たりともお客さんが来店しなかった日はなく、暇だと感じたことがないのが自慢です」と、思いをストレートに語る後田社長。同氏の兄貴肌な人柄は、多くのユーザーを惹きつけるのだろう。数多のバイクショップが店を構える東京において、アトラクティブは多くのライダー、特にバイク便・デリバリーライダーにとって最後の頼みの綱として、その存在感を放ち続けているのだ。

前編はコチラから!!



販売店取材記事一覧注目記事一覧

【東京都】アトラクティブの店舗情報詳細 | 選べる、見つかる BDSバイクセンサー

【東京都】アトラクティブの店舗情報はこちらから。気になっていたお近くのバイクショップの最新ニュースや整備事例をチェック!関東の新車・中古バイク情報はBDSバイクセンサー

簡単シンプルで探しやすい!バイク・パーツ検索はBDSバイクセンサー

人気記事ランキング

50cc時代に幕。2025年4月1日、『新基準原付』スタート!

道路交通法施行規則が改正され、4月1日より適用される。これにより、原付一種にしか乗れないユーザーで...


「日本維新の会オートバイ議員連盟総会」開催

日本維新の会オートバイ議員連盟は6月13日、参議院議員会館で総会を開催した。当日は、オートバイ政治連...


廃車予定だった「スーパーカブ50」再生への道! キャブの分解/清掃で希望が見えたか!?

オーナーが修理を諦めていたスーパーカブ50カスタム(2002年式)を、BDSテクニカルスクール井田講師が修理...


二輪免許取得者数33万6943人でコロナ前の水準に戻る。年齢別ボリュームゾーンは20~24歳

二輪免許の取得。これは免許区分に関わらず、バイクに乗る、という意志の表れである。つまり、この数字...


世界的に拡大する電動アシスト自転車市場、日本の国内販売台数は80万台超と“ママチャリ”以上

電動アシスト自転車という言葉を聞くようになって久しい。初めて国内で販売されたのは1993 年。あれから...


2024年キャッシュレス決済比率は42.8%。導入の課題は決済手数料分のコストをいかに確保するか

かつて“現金大国”と呼ばれた日本だが、いまや財布を持たなくても不自由なく生活できる時代となりつつあ...


2024年新車国内出荷台数、約32万台でコロナ禍以前の水準に

2024年の新車国内出荷台数は32万0300台(二輪車新聞調べ・推定値)となり、コロナ禍以前の水準となった...


【751cc以上編】BDSバイクセンサータイプ別ランキング

BDSバイクセンサーのタイプ別ランキング(751cc以上)では、サイト内のすべてのメーカー・排気量の一ヶ...


3分でわかる中古二輪車ビジネスの“ツボ”「私はここを見ています」車両をチェックする時のポイントとは?

コロナ禍以降、バイク人気が上向きになっている。やがて、それらの車両は、廃車まで乗るという人のバイ...


オフ車選びに悩んでいる方必見! 人気オフロードバイク足つき比較

HONDA「CRF250L」、YAMAHA「WR250」「セロ-250」、KAWASAKI「KLX230」! 250ccクラスのオフロード車4台...