公開日: 2025/09/23
更新日: 2025/09/23
日本自動車工業会と日本二輪車普及安全協会は8月19日、「アキバ・スクエア」(東京・秋葉原)で『8月19日はバイクの日 HAVE A BIKE DAY 2025』を開催した。今までは12時から17時までの開催だったが、今年は14〜20時とこれまでよりも遅い時間設定。会場はオープンスペースながら空調が適度に効いており、また、20時までなので会場には仕事帰りと思える人の姿も多数、見られた。
今年の8月、「観測史上」という言葉を何度見聞きしただろうか。8月5日には、群馬県の伊勢崎で観測史上最高気温となる41.8度を記録。東京都心においても、8月18日から27日まで35度以上の猛暑日が10日間も連続。これも、観測史上初の記録であり、結果的に東京都心ではこの8月、月間の猛暑日が18日にも及んだ。
そんななか、今年も8月19日の“バイクの日”に『8月19日はバイクの日 HAVEA BIKE DAY 2025(以下、バイクの日イベント)』が東京・秋葉原にあるUDXビル2階の「アキバ・スクエア」で開催された。同施設は、屋内スペース1010㎡、屋外スペース280㎡、合計1290㎡の広さを持つイベントスペース。バイクの日イベントが開催されるのは、今年で3年連続となった。
場所は同じだが、変化が見られたのは開催時間。2023年は13〜16時(3時間)、2024年は12〜17時(5時間)。今年は開始が遅くなり、14〜20時。その分、終了も後ろ倒しとなり、イベント全体も3年間で最も長い6時間となった。
前述したように酷暑ともいえる厳しい暑さとなった8月だったので、バイクの日イベントのスタートが12時から14時になっても暑さはしのげないと感じるかもしれない。確かに、スタート時間だけの比較ならそうかもしれないが、開催時間を通してみると屋内スペースには適度に空調が効き、陽射しを感じる時間帯でも過ごしやすく、特に日が沈んでからの時間帯はかなり過ごしやすくなっていた。
イベントの終了時刻が20時となったこともあり、会場には仕事帰りと思われる人の姿も見られた。ただ、アキバ・スクエアはJR秋葉原駅まで徒歩2分と近いものの、駅前立地ではないことから、通りすがりにイベントを見ていく人の数は、2022年に東京・有楽町の「有楽町駅前広場」で開催した時のほうが多かったという印象だ。
また、来場者の層も昨年とは大きく違っていた。昨年は、ミュージカルなどで活躍している人気俳優が複数出演していたので、「これは、バイクイベント?」と感じるほど若い女性が多かった。今年は、モーターサイクルショーなどのバイクイベントと同じような感じで、女性2割ほどといったところだろうか。それでも、一昔前と比べれば女性の数が増えてきているので、ゆっくりとではあるが、若い人や女性にも趣味としてのバイクが浸透してきているのが実感できる。
会場は、屋外・右にゲスト着用のウェア類が飾られた『アパレル展示コーナー』、中央に国内4メーカーの『レースマシン展示コーナー』、左に『カーボンニュートラルモデル展示コーナー』。屋内・右にメインステージ、奥が国内4メーカーの車両展示スペース、左が『ゲーム体験コーナー』と『ヘルメット・プロテクター安全訴求ブース』、左奥が『地方自治体紹介コーナー』の他、『東京都ブース』『日本二普協ブース』『白バイ展示・警視庁ブース』というレイアウト。
開場は14時だが、ステージイベントのスタートは14時30分。2部構成となっており、第一部が14時30分〜17時。第二部が17時30分〜20時。2部ともYouTubeで生配信されており、ザックリと言えば第一部が少しおかたい内容、第二部がカジュアルな内容となっていた。
第一部・第二部とも、スタートはトライアルライダー・黒山健一氏による『トライアルデモ』。昨年もそうだったが、バイクの日イベントにおけるトライアルデモの最大のポイントは、手の届きそうな距離で一流ライダーのテクニックを堪能できるというところ。会場のステージという狭いスペースで繰り広げられるジャックナイフやウイリーなど派手なテクニックは迫力満点だ。
惜しいポイントを挙げるとすれば、席の用意がなかったので立ち見となり、ステージ全体が見えたのは前の数列の人だけだったのでは、というところ。バイクってこんなに自由に扱えるんだ、こんなに楽しい乗り物なんだ、ということがストレートに伝えられると同時に、来場者の目を惹きつけていたコンテンツだったので、もっと多くの人がステージ全体を見渡せるような工夫は、是非とも次回開催の際には欲しいところ。
続いて第一部では、イベントのオープニングとして日本自動車工業会副会長兼二輪車委員会の設楽元文委員長(ヤマハ発動機・代表取締役社長)をはじめとする関係者の挨拶があり、その後に警視庁の女性白バイ隊『クイーンスターズ』の隊員と警視庁のマスコットキャラクター『ピーポくん』による交通安全啓発ステージが行われた。続いて、小池百合子東京都知事のビデオメッセージ、宮城光氏・河西啓介氏・MC梅本まどかさんを迎えた『ライダーの安全運転とマナー向上に関するトークステージ』、アライヘルメット・ヒョウドウプロダクツ・RSタイチといった用品・ウェア類のメーカーが参加した『ヘルメット&プロテクターの重要性を語るトークステージ』、埼玉県小鹿野町・静岡県浜松市・愛知県豊根村の見どころを紹介する『地方自治体トークショー』、この日1回目のバイク関連グッズが当たる『抽選会』が行われた。
第二部のトライアルデモに続いて行われたのは『バイク×ファション・スペシャルトークステージ』。二輪ジャーナリストの相京雅行氏、俳優の市川知宏さん、モトクロスライダーの川井麻央さん、声優の難波祐香さん、タレントの平嶋夏海さん、モトブロガーのMotovlogger Siroさんの計6名がゲスト。MCは第一部にも登場した梅本さん。雨の日のバイクファッションやバイクに乗る時のファッションのこだわりについてトークが展開された。ゲストが多かっただけに、ステージ前には多くの人が集まっていた。
これまでのバイクの日イベントになかった異色のコンテンツと言えるのが、ステージ上でカスタムペイントのヘルメットを仕上げるという『バイクカスタム&アートセッション』。出演していたのは、『HAVE A BIKE DAY』というフレーズの生みの親であるイラストレーター・加藤ノブキ氏、ヘルメットペインターとして知られる増永修治氏。加藤氏とMC梅本さんが色使いやデザインに関するトークを展開していく中、増永氏が淡々と黙々と作業を進めていく。その作業を見つめる来場者。約30分という制限時間の中で、見事にヘルメットが完成。このヘルメットは、最後に行われたこの日2度目となる抽選会で超目玉賞品となっていた。
その後は、『ミュージックライブ』。まずは、バイク乗りでもあるシンガーソングライターの花野さんが自身の出身地でもある静岡県浜松市のことを歌ったオリジナル曲「はままつのうた」など3曲を披露。2人目は第一部のトークステージにも登場した河西啓介氏。同氏は『MOTO NAVI』など雑誌編集長を務めた経歴をもち、編集者/モータージャーナリスト/音楽アーティストなどをマルチにこなすクリエイター。ライブではオリジナル曲「HIBARI」の他、カバー曲も含めて3曲を披露し、約30分、会場には2人の歌声とギター1本による生演奏(「はままつのうた」はカラオケ音源使用)が響いた。
仕事帰りにフラッと寄ってみたというTOMさん(60代・埼玉県在住・125ccスクーター所有)にバイクの日イベントの感想を聞いた。
「他のバイクイベントのように、いかにもバイク乗りという見た目の人ばかりが来ているわけではないのがいいですね。展示車両は少ないけど全部にまたがれるし、バイク系インフルエンサーのトークショーも見られるし、生演奏だって聴けちゃうし、抽選会では景品も当たっちゃう(笑)。欲を言えば、座れる場所があるともっとバイクと音楽が楽しめるのかも、と感じました」
バイクの日イベントの目的のひとつが『バイクの素晴らしさをより多くの人たちにご理解していただく』こと。成長の伸び代はまだまだありそうなので、今後、一層楽しんでもらえるイベントになっていくことに期待したい。
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