公開日: 2022/07/27
更新日: 2022/09/06
2022年現在は「第三次アウトドアブーム」と言われている。日本国内に限らず、コロナパンデミックに襲われた全世界で、三密回避の手段の一つとして、アウトドアは注目された。環境問題への関心が高まったことも、人々を大自然に向かわせる要因となっている。
1990年代の第一次、2010年からの第二次ブームと決定的に違うのはSNSの普及だ。インフルエンサーから様々な情報を入手できるようになり、未経験者でも気軽にキャンプフィールドに踏み出せるようになった。アウトドア人口増加に合わせ、国内外の新ブランドが多数市場に参入し、あらゆるキャンプ用品の低価格化が進んだ。流行の潮流はファッションの世界にまで変化をもたらしている。既に「日本のアウトドアブームはカルチャーに昇華した」と評する専門家もいる。
SNSがブームを牽引する状況は現在のバイクブームと類似している。「バイクを購入した先にユーザーが欲するものは何か?」クルマもファッションも続々とアウトドア市場に参入する中で、二輪業界も傍観してはいられない。
そんな状況の中、クルマ・バイクに次ぐ第三の乗り物、「誰でも運転できる、新たなアウトドア・アクティビティ」として注目を集めているのがATV(All Terrain Vehicle)全地形対応車なのである。
操作はバイクとほぼ共通でありながら、四輪のATVは転倒の危険が少なく、子供や女性でも安全に楽しめる。つまり、ファミリーでバイク感覚を共有できるという利点を持っている。エントリーモデルのキムコのMXU50Rは2スト50cc、ミッションをCVTとしてアクセルワークに集中できる。二輪駆動だが駆動方式にチェーンを使用し、ダイレクトなグリップ感と悪路での走破性を実現しているのだ。
現在のバイクブームの中で継続的に人気のカテゴリーが、各地で開催されているエンデューロレースだ。コンペティションモデルの魅力もさることながら、大自然を走破するというアウトドア要素はライダーの心を捉えて離さない。エントリー開始後、数百台の枠が五分で埋まるほどの人気なのでる。レース会場での資材運搬や救護業務にATVは以前から活躍し、認知されている。
日本国内では一部のモデル以外は公道走行不可のATV。ユーザーは運搬の手段が必要になる。キムコのベーシックモデルのMXU150X(排気量150ccの4ストベーシックモデル)を例に挙げるなら全幅950mm、全長1775mm。乾燥重量はわずか175kg。一般のトランポであれば十分積載可能なサイズである。
ATVで大自然を満喫する感覚は、他のアクティビティやオフロードバイクとは一線を画すもの。運転操作はバイクに準じているので、免許取得年齢に達する前にバイクの運転を実体験できる利点もある。家族やパートナーにバイクの楽しさ・爽快感を理解してもらう絶好の機会となるはずだ。
新たなアクティビティとして、バイクの入り口としてATVは二輪業界に爽快なアウトドアの風を運んでくれるに違いない。
人気記事ランキング