公開日: 2023/07/27
更新日: 2023/07/28
宮城県柴田郡にある『太陽の村』の駐車場で30年続くイベントがある。それが、『仙南旧車の集い』だ。1950年代から1960年代の貴重な車両が並ぶほか、旧車ファンにとって宝の山と言えるようなガレージセールも行われる旧車イベントで、この6月11日、第56回目の仙南旧車の集いが開催された。
モーターサイクルショーやモーターショーのような大規模なイベントではないが、歴史を重ね、長く愛され続けているイベントがある。
宮城県柴田郡にある自然休養村『太陽の村』で毎年開催されている『仙南旧車の集い(以下、旧車の集い)』が、まさしくそれだ。今年も6月11日(日)に開催された。
この旧車の集いがどういったイベントかというと、文字通り『旧車』のイベント。旧車というと、カワサキの『Z1』や『Z2』などを想像するかと思うが、メグロのバイクをはじめとした1950年代や1960年代のバイクが主体となり、太陽の村の駐車場に並べられる(1970年代以降のバイクや2サイクル車両もあるほか、四輪の展示等もある)。車両の展示(一部は販売車両あり)のほか、ガレージセールも行われるなど、パーツを入手するのが難しい旧車に乗るユーザーにはありがたいイベントとなっている。
さて、『第56回 仙南旧車の集い』だが、天気はあいにくの雨模様。この日、駐車場に並べられた二輪車両は10台ほどにとどまったが、それでも写真を見ると分かるように、メグロ『Z7』、ホンダ『スポーツカブC110』『スポーツカブC115』『ドリームCL72』など、どれも今ではほとんど見ることのできない貴重な車両ばかりだ。
「いつもなら、観にくる人が1日を通して500名くらい。東北のお客さんだけではなく、ツーリングがてら北関東などから来られる方もいます。展示車両も50台ほどになるんですが、今日の天気だと少ないですね」
こう話すのは、旧車の集いを主催する『仙南旧車の集い事務局』を兼ねる山形県山形市にある『オートクリニックROMAN』の片山明氏。
さすがに本降りの雨の中、来場する人もまばらだが、片山氏の広げるテントでパーツを求める人の姿が何度も見受けられた。無造作に並べられたクラッチやブレーキのワイヤー類、スプロケット、内部未使用品のタンク、70㏄のカブのエンジンなど、旧車に乗る人にとってガレージセールは宝の山なのだろう。
旧車の集いが初開催されたのは1993年。今から30年も前のことだ。会場もずっと太陽の村の駐車場で行われている。
「最初の3年間は年1回開催。4年目からは年2回開催。今回が56回目です。今日もいらっしゃっていますが、第1回目から参加されている方もいます。また、現在70代でトライアンフの『T120』に乗る方もよく来場されますが、その方はそのトライアンフでの走行距離が40万㎞以上で、今も現役で乗っています。そういう旧車が好きな人たちや、旧車に興味を持って来場される方たちに支えられて続けることができました」
6月11日の様子だと参加者や来場者の年齢層はやや高めに感じたが、どうなのだろうか。
「10~80代までと幅広いです」
確かに、片山氏のテントでパーツを買っていた人の中には20~30代とおぼしき人もいた。イベントを通して何よりも印象的だったのは、相手の年齢層に関わらず、片山氏が来場者の方たちとずっと楽しそうに話していたこと。天気が雨だろうが関係なく、片山氏の周囲は少年のような笑顔の人たちであふれていたのだ。これが30年も続いてきた理由なのだろうと感じた。
最後に今後のことについて話を聞いた。
「これからも体の続く限り、旧車の集いは継続していきます。第57回目の開催も決まっており、今年の11月5日の日曜日。場所も、もちろん、太陽の村の駐車場。現在の目標は、第100回目の開催を迎えること。でも、それで終わりじゃない。このイベントを引き継いでくれる後継者も育て、100回と言わず、旧車の集いがずっと続くようにしていきたいですね」
こう話す片山氏の笑顔も、少年のようにキラキラしていた。
人気記事ランキング