公開日: 2024/09/09
更新日: 2024/09/10
2024年上半期(1~6月)における、軽二輪・小型二輪の新車・中古車販売台数データを全国軽自動車協会連合会が公開した。これによると、軽二輪クラスは新車も中古車もマイナス。小型二輪クラスは双方ともプラス。軽二輪と小型二輪の新車と中古車を合計した総需要では0.8%の微減となった。
2024年も、もう9月。今年も残り4か月となった。そろそろ年間を通した市場の動きが見えてくる頃かと思うが、上半期における軽二輪と小型二輪の新車・中古車の販売台数データが全軽自協から発表されたので紹介する。
その前に、まずはコロナ禍直前の2019年からの動きをざっくりとおさらいしておく。二輪業界は、2020年からのコロナ禍でバイクが注目されて人気となり、2019年までと2020年からとでは販売台数の動きが違うからだ。では、実際、2019年からの販売台数はどのような動きだったのだろうか。
2019年以降における軽二輪の新車は、2022年がピークで3万8608台。3万台以上の販売が2020年から5年連続しているが、この3万台以上は2008年以来のことで、2019年よりも1万台近く多い台数だ。2022年から徐々に減少してきてはいるが、それでも2024年は2019年同期比で1000台ほど多い3万0296台となった。
軽二輪の中古はというと、2019年以降で最も多かったのはコロナ禍前の2019年。同年以降では2024年が最も少ない販売台数となっている。コロナ禍でバイク人気が高まったという動きは、軽二輪の中古車には当てはまらないようだが、2006年には10万台以上を販売していたので、キッカケがあれば大きく伸びる可能性はある。
小型二輪の新車は、2020年は前年同期比で6.1%のマイナスとなったが、2021年以降はコロナ前よりも明らかに増加している。これも軽二輪の新車と同じように、ピークは2022年だが、2024年も4万7518台(前年同期比6.6%プラス)と2019年よりも1万4000台弱も高い販売台数となっている。小型二輪の新車販売4万台以上というのは、2007年以来となる。ピークの2022年は5万1035台で、5万台以上の販売となると21世紀初のことだ。
小型二輪の中古車販売台数データは、2022年からしか上半期の台数が確認できないが、そこから3年連続で4万台以上をキープ。新車・中古車ともに軽二輪が前年同期から数字を落とす中、小型二輪は新車・中古車ともに前年同期比プラスで、好調さを維持している。
軽二輪と小型二輪の新車・中古車の販売台数を合わせた総合計は18万1300台。前年同期比0.8%の微減だが、18万台ラインは維持。結果としてコロナ前よりも大きく数字を伸ばしたのは小型二輪。ただ、軽二輪の新車も2022年には2019年同期比で1万台弱
増加しており、2024年も3万台以上を記録。中古車のマイナス傾向が全体に響いているようだ。
以上には、原付一種と原付二種の販売台数が含まれていないが、それらが入るとコロナ禍以前からの動きに対して、また印象は変わってくるだろう。
では、今年上半期の結果はどうだったのか。それをまとめたものが表1と表2。
まずは、軽二輪。新車は3万0296台(前年同期比13.9%マイナス)、中古車が6万1521台(同1.1%マイナス)と、ともにマイナス。新車の中で前年同期比プラスを記録したのはスズキ一社。他は軒並み2割近くの減少となっているが、中でもカワサキは40.7%もの大きな落ち込みとなっている。ただ、カワサキからは昨年10月に開催された『ジャパンモビリティショー』で世界初公開(ワールドプレミア)された『W230』や『メグロS1』が、今年秋、市場に導入予定。大きな話題となった2モデルだけに、今後の動きには要注目だ。『エストレヤ』は今も女性からの根強い人気があるので、W230やメグロS1の登場を待ち望んでいるというユーザーは決して少なくはないだろう。
また、これは過去にも触れているが、軽二輪車クラスでは、圧倒的な強さを誇っているのがホンダ『レブル250』。原付の『カブ』シリーズのように定番バイクと言える存在になりつつあるようにも感じられるが、この先の需要の変化が気になるところだ。ポストレブルの座をどのモデルが継ぐのか、あるいは空白となるのか。それとも、安定した人気を誇る定番モデルとなっていくのか、そこも注視しておきたいポイントだ。
次に、小型二輪。2024年上半期における新車販売台数は、ホンダが前年同期比2.0%、ヤマハが同17.1%、その他が同0.3%とそれぞれマイナスとなっているが、スズキが同1.7%、カワサキが38.1%のプラスとなった。新車全体では、4万7518台で同6.6%のプラス。
マイナスになったとはいえ、ヤマハからひとつのトピックが届いている。それが、5月20日に発売された『XSR900GP』の好スタート。導入から1か月あまりの6月末時点で、販売店受注が1000台を超えたという。
「年間の目標台数は1000台です」(ヤマハ・広報グループ)
つまり、年間の目標をわずか1か月ほどで達成したのだ。受注者の年齢層なども聞いた。
「1980年代のレースシーンを経験しているような、40代後半から50代の方が多く見られます」(同)
XSR900GPは、カワサキの『W230』『メグロS1』同様に、昨年開催された『ジャパンモビリティショー』で日本初公開(ジャパンプレミア)された1台。当時から、往年のバイクファンの間で話題となっており、その年代に“刺さる”モデルだと感じていたが、実際の購入層もその年代が中心となっているようだ。ただ、若い世代に人気がないのかというと、そうでもない。SNSなどでは、年齢を問わず“刺さっている”人を少なからず見かける。そのことからも、年代を問わず、2024年注目の1台であることは間違いない。
5月のXSR900GP発売に呼応するかのように、ヤマハの新車販売台数は5月からプラスに転じている。5月が906台(前年同月比13.7%プラス)、6月が737台(同10.8%プラス)。2か月連続して1割以上の増加を見せている。上半期では2割近いマイナスとなっているが、この2か月の上昇傾向が続けば、年間を通してプラスになることも十分にあり得る。そうなると、他のメーカーが現在のところ、前年同期比で微減にとどめているので、年間を通してみた時に、全体でどういった結果となるのかが楽しみだ。
好調なのはヤマハだけではない。表3を見れば分かるように、輸入小型二輪も前年同期比でプラスマイナスゼロと数字には出ていないが、5台ほど増加。その中でも好調なのがトライアンフ。上半期で2893台を販売し、同18.2%プラスと2割近くも上乗せした。また、トライアンフモーターサイクルズジャパンは会計年度2023年7月から2024年6月の販売台数において、同社初の年間4500台超えとなる4553台となったことを発表している。
2019年度は2062台だったので、わずか5年で約2.2倍伸びたことになる。400ccクラスに投入した『スピード400』『スクランブラー400X』のほか、『デイトナ660』が販売拡大に結びついたという。
これまで、海外ブランドの第2位のポジションはBMWだったが、この上半期は18台差でトライアンフが逆転。ハーレーダビッドソンに次ぐ海外ブランド第2位となった。
他に気になる海外ブランドは、前年同期比でマイナスとなったがロイヤルエンフィールド。とにかく、SNSでの注目度が高い。中でも女性人気が非常に目立つので、下半期に期待したいブランドのひとつだ。
表2に戻るが、小型二輪の中古車は新車同様、上半期はプラスを記録。ヤマハ、スズキ、その他がマイナスだが、ホンダとカワサキがプラス。全体では同3.0%増の4万1965台。小型二輪車の中古車データは2022年からとなるが、その中で最も高かった2022年の4
万2834台から1000台弱ほどしか下がっていない。
新車と中古車を合わせた合計が8万9483台(同4.9%プラス)。2022年と2023年の中間あたりの台数だ。
軽二輪車の新車と中古車、小型二輪車の新車と中古車、それらの中で軽二輪車の新車が1割以上のマイナスとなっているが、他は微減あるいは増加。さて、年間を通してどうなっていくのか、結果を楽しみに待ちたい。
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