公開日: 2024/01/16
更新日: 2024/01/18
二輪販売店の取材をしていると、店主催のツーリングに関する話をたびたび耳にする。その多くは、流行りのグルメ情報や人気のツーリングスポット情報などをチェックしつつ、そこに「ワインディングを走るのが好きな参加者が多い」とか「女性ユーザーが複数名参加する」といった、参加者の情報を加味したうえで企画を進めているが、ツーリングを『ユーザーに楽しんでもらうためだけのイベント』で終わらせてないだろうか?
二輪販売店の取材をしていると、店主催のツーリングに関する話をたびたび耳にする。その多くは、流行りのグルメ情報や人気のツーリングスポット情報などをチェックしつつ、そこに「ワインディングを走るのが好きな参加者が多い」とか「女性ユーザーが複数名参加する」といった、参加者の情報を加味したうえで企画を進めている。情報収集や企画立案にはそれなりの時間を要するので苦労する、という話もよく聞く。
ライディングの楽しさを感じてもらうこと、バイクに乗る機会を創出することなどがツーリングを実施する上での主な目的なのだから、その企画の進め方に何か問題があるわけではない。むしろ、その視点がないとツーリングに参加するユーザーの数が望めず、企画を長続きさせることは難しいだろう。
このように時間と頭を使い、ツーリングを実施しているわけだが、これを『ユーザーにバイクを楽しんでもらうためのイベント』というだけで終わらせてはもったいない、という考えを持っている店もある。どういうことかというと、ツーリングを宣伝の場として捉え、店の『ウリ』や今後力を入れていきたい車種やカテゴリーについて訴求し、販売・売上につなげているのだ。
その店に話を聞いたのはかなり前なのだが、どのようにツーリングを活用したのか。その手法の紹介を交えながら、ツーリングの効果的な実施方法について提案していきたい。
その店の店内には、カスタムペイントが施されたデモ車両が飾られてあった。これだけなら、よく見かける光景だ。しかし、そのデモ車両は店のオーナーのバイクで、ツーリングはそれで先導しているという。
「店に飾っておくだけだと、お客さんから見える角度がだいたい決まっていて、カスタムペイントのここを見て欲しいという部分を見せきれないことがありました。でも、そのバイクでツーリングに行くと、休憩時間にいろんな角度から車両を見せることができるのです」
普段、店でそのバイクを見ていたユーザーからも好反応があったという。そのほか、この店では今後、販売に力を入れようとしているバイクを仕入れ、それに乗りツーリングに行くことも普通にあった。
「試乗するだけでは分からない部分が分かってもらえるんです。例えば加速。お客さんのバイクと私の乗っているバイクの加速の違いは、一緒に走ることで実感できますよね。その後に試乗してもらうと、加速感も体感してもらえる」
店に置いてある自分のバイクでツーリングを先導、あるいはサポートするというのは他の店でも聞く。そこに店の何かしらの狙いを加えることで効果が生まれるのだ。これによりカスタムやカスタムペイント、増車や買換えの需要につながったということであった。
これを応用することは難しくはない。例えば、便利アイテム。スマートフォンと接続でき、スマホに入れてあるアプリなどが操作できるという『スマートモニター』が最近話題だが、これの便利さを伝えるのにツーリングは最適。バイクの振動でスマホが故障することもなくなるし、風雨に直接さらされることもない。アプリが使えるので当然ナビにも使える。お店で機能を説明するよりも実際に使ってみせれば、便利さが理解されやすい。
他のアイテムも同じだ。説明するだけよりも、実際に使用してみせれば説得力が増す。アパレルも、そう。取り扱うブランドのウェアを着てツーリングすれば、バイクに乗るとどう見えるのかが分かる。また、実際に着せてバイクに乗ってもらうことで鏡の前で着ただけでは分からない各部の動きをチェックすることもできる。これだけのことでも、便利アイテムやアパレルの訴求ができるのだ。
ツーリングを宣伝の場として活用するというと小難しく聞こえるかもしれないが、要は自分が使って見せてみる。それだけでも十分だろう。
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