公開日: 2024/02/02
更新日: 2024/02/11
BDS柏の杜会場プレミアムコーナーに出品されたスズキ「RG400ガンマ」ウォルターウルフカラー。ガンマ愛好家からは、排気量から“ヨンガン”と呼ばれるようになったモデルを、バイクジャーナリストの小林ゆきさんが足つきインプレしました。
RGガンマはいわゆるレーサーレプリカ。当時のGB500を模した車両ということでフルカウル、アルミフレーム、セパハン・クリップハンドルと、このままレースに出られるようなバイクになっています。
では細かいところを見ていくと、まずは前後のホイール。当時3本スポークホイールというのは確かまだなくて、それに近いようなデザインで6本スポークのホイールになりました。フロントフォークはアンチノーズダイブの機構が付いていますが、当時最先端だったので、スズキの場合は目立つように金色に塗られています。
そして、エンジンの型式は2ストローク4気筒なんですが、4気筒にも色々あります。シリンダーの配置が横一直線に並んでいる、もしくは縦一直線に並んでいるのを直4と言ったりしますが、ガンマはいわゆる「スクエア4」と呼ばれるシリンダーが四角く並んだ4気筒。スクエアエンジン自体は1920年代ぐらいから既に存在していたんですが、それを80年代に実現させたのがスゴイところですね。
他にもライダー目線でいうとウォルターウルフならではというところで、3連メーターになっています。左からスピードメーター。タコメーター・燃料、水温計になっていますが、全てがアナログメーターで、当時すごく流行った飛行機のコックピットのようなデザインになっています。またメーターはスポンジに埋め込まれるような形になっていて、おそらく理由としては精密機器なので振動を抑えるのと、あるいは軽量化のためでもあったのかなと思われます。
カギにはボルタウルフのダブルが付いていて、ここまでこだわって作っていたのが懐かしいなと思います。また、サスペンションの調整として「リア―ショックアブソーバスプリング」というものが付いており、外付きのアジャスタを回すとスプリング初圧を5段階で調整できます。これは今のバイクに付いていてもなかなか便利な機能ですね。
セルボタンはないのでキックオンリーでございます。実は400ccのストロークのエンジンを掛けのは初めてなので、一抹の不安があります。
では掛けてみると・・・・キック1発! めちゃくちゃ調子がいいですね。物凄く太い音で、4000~5000回転くらいで回していますが反応も良くてアイドリングも安定してます。当時のスズキって3000回転からしかメーターが動かないので、実際のアイドリングがどれぐらいか分かりませんがスゴク安定しています。
続いて、80年代当時のレーサーレプリカがどんなまたがり具合なのか常々気になっていたのでチェックしていきたいと思います!
私のスペックは身長160cmの手足短めです。先ほどガンマの数字を調べたら公式のスペック的にはシート高770mmということで思いのほか低くて、実際横に立ってみると股下くらいの位置にシートがあって随分低い印象があります。そして、もう一つ大事な乾燥重量は158kgということで、最近のバイクに比べたらめちゃくちゃ軽いですね。これにガソリンを入れてバッテリーを積んでって考えてもプラス20kgぐらいなので180kgそこそこだったのではないかなと思います。
ではまたがってみると・・・・細い!小さい!楽ちん!
シートそのものが短くてすごく狭いので、真ん中に座った状態で膝は伸びつつも左足はしっかり母指球が地面についています。セパハンは低いというより狭くて随分絞れている感じがします。イメージとしてはものすごく前傾すると思っていたのですがハンドルも意外と遠すぎず前傾具合もきつくないです。
そして、ステップは結構高い位置でいきなりレーシーな場所にあるので、バックステップというよりはアップタイプというか、しっかり足で踏ん張れます。意外とタンク回りがコンパクトなのに驚きました!
ではまたがったまま車体を起こしてみますが、手が要らないくらい軽いですね!
足の踏み変えはというと、私の短足でもつま先つんつんですが両足が地面に着いています。そのぐらいタンクとシートが細くできてますね。やはりスクエアフォームの利点でもあると思います。ではまたがったままサイドスタンドが出せるかですが、足を伸ばしたらすぐツノにつま先が当たるのでスッとしまえて、出すのもかかとで簡単に出せます。
レーサーレプリカって前傾やポジションがきつくて乗りにくいんじゃないかって思い込んでましたけど、こんなに乗りやすいポジションなんだなってことがよく分かりました!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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サイドスタンドも出し入れ楽ちん!
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