公開日: 2024/04/22
更新日: 2024/05/04
3月22日から24日までの3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで『第51回 東京モーターサイクルショー』が開催された。出展者や出展車両は増加となったが、入場者数は前回よりも2割近くダウン。それでも11万3905人が会場を訪れ、展示車両にまたがったり写真を撮ったりなど、それぞれが思い思いに東京モーターサイクルショーを楽しんだ。
例えば梅や桜の花。例えば真新しいランドセルやスーツ。それらを見ると「春がきた」と感じるが、二輪業界において「今年もバイクシーズンが始まった」と春の需要期到来を告げるイベントといえばモーターサイクルショーだろう。
今年も3月22日(金)から24日(日)にかけて、東京ビッグサイト(東京都江東区)で『第51回東京モーターサイクルショー(以下、TMCS)』が開催された。今回から主催が東京モーターサイクルショー協会から日本二輪車普及安全協会へと変わり、その第1回目となったのが今開催だ。 会場は東京ビッグサイトの西1ホール、西2ホール、西3ホール、西4ホール、アトリウム、西屋上展示場を使用。総出展者数173者(前回166者)、出展車両数619台(同569台)、出展小間数1091小間(同1018小間)と、過去最大規模での開催となった。
入場者数は合計11万3905人(前年実績13万9100人)。出展者や出展車両は増えたが、入場者数に関しては前年比81.9%と2割近く減少した。大阪府大阪市のインテックス大阪で3月15日(金)から17日(日)まで開催された『第40回大阪モーターサイクルショー2024』の入場者数は7万2884人(前回比97.0%)。TMCSほどではないが、こちらも減少した。
TMCSの入場者数が11万人台というのは、2014年の第41回以来のこと。第42回以降は13万人から14万人台をキープし続けていた。多くの業界関係者が昨年実績を上回るだろうと考えていただけに、少々気になる数字ではある。ただ、会場にいると入場者数の減少はあまり感じられず2022年、2023年と変わらない雰囲気ではあった。また、取材は22日に行ったのだが、入場者を見ても、若い年齢層の人や女性も多数見られ、以前と比較し変化は感じられなかった。
さて、国内4メーカーの各ブースを見てみよう。まずは、西2ホールのホンダ。プレスカンファレンスでもステージ上に展示されていた『GB350C』と『CB1000ホーネット』が注目を集めていた。
ロイヤルエンフィールドに見られるようなクラシカルなモデルは、女性からの人気が高くユーザーも多いことから、GB350Cも多くの女性から注目を集めていた。この2台以外では、昨年12月に技術説明会の行われた『E-Clutch(イークラッチ)』のコーナーも人が絶えなかった。プレスタイムでの注目度の高さもさることながら、一般公開された13時以降は、さらに人で溢れ返っていた。
西2ホールにブースを構えていたのがヤマハ。同ブースで年齢がやや高めの人から視線を集めていたのが『XSR900GP』。昨年開催された『ジャパンモビリティショー2023』にも出品されていたが、あの時はハーフカウル。今回はフルカウル仕様(外装キット)となっての登場だ。しかも、『RZV500R』をイメージさせる赤ベースのキットと、『FZ400R』を思わせる青のアッパーカウルのキットがある。RZVとFZ、50代半ば以上の世代にとっては、青春時代を彩ったバイクのうちの1台だろう。そう考えると、年齢が高めの入場者が興味を持つのも納得だ。もちろん、YZFシリーズ、MTシリーズなども展示されており、若い人も女性もヤマハブースを楽しんでいた。
西3・4ホールに出展していたのがスズキとカワサキ。スズキでは、1月に発売されたばかりの『GSX-S1000GX』や『GSX-8R』に人が集まっていた。圧倒的な迫力ボディで、ニューモデルに負けない存在感を放っていたのが『ハヤブサ』。1999年の発売から25年が経とうとしているが、最近は女性ユーザーを見る機会が増えてきており、人気のかげりは感じられない。昨年のJMSと同様に、TMCSでもブース内にフォトスポットが用意されていた。
カワサキでは、Ninjaシリーズのほか、JMSでも展示されていた『W230』や『メグロS1』の注目度が高かった。年齢に関わらず、主に男性が興味深そうに見ていたのが『Z7ハイブリッド』だ。TMCSの少し前、6月15日に発売されることがアナウンスされたことも関係しているのか、スマホやカメラを向けて写真や動画を撮る人がほかの機種よりも高いと感じた。ホンダのイークラッチも写真や動画を撮る人が多かったが、それと同じくらいいたという印象だ。
国内4メーカーのほかにも、海外メーカーや電動モビリティメーカーなどもTMCSに出展。またがったり写真や動画を撮る人などが多かったモデルや人が多く集まっていたブースをいくつか挙げていくと、22日にアンベールされたハーレーダビッドソン『CVOロードグライドST』のほか、トライアンフ『スラクストン ファイナルエディション』、BMWモトラッドのGS系、ベネリの125cc各モデル、インディアンブース、ロイヤルエンフィールドブースなど。足をとめて観入る人が何人も見られたのが、サイドカーを展示していたウラルブース。
二輪メーカー以外では、インカムのビーコムが好調なサインハウスには人が多かった。変わり種というか、「ついにモーターサイクルショーにも進出してきた」と感じたのが、今回初出展となったワークマン。
ワークマンは、いつ頃からだろうか、すでに2~3年ほど前にはウェアの機能性の高さからユーザーの間で話題になっており、実際に購入して愛用しているという声も少なくなかった。そのワークマンが、ホンダの二輪デザイナー監修のレインジャケットなどバイク向け製品の約20アイテムを展示。多くの来場者が手に取り、実際の感触などを確かめていた。
冒頭で入場者数の傾向に変化が感じられなかったと書いたが、「あれ?」と思ったことがある。それは、関係者か一般来場者かは分からないのだが、スカート姿の女性をわりと多く見かけたこと。もちろん出展者ブースのコンパニオンではない。バイクイベントではほとんど見ない姿だ。スカートでは、気になるバイクがあったとしてもまたがることはできないのではないかと思う。だが、考えようによっては、例えバイクにまたがるのには不向きでも普段着でバイクイベントを楽しむ人たちが現れてきているとも取れる。
コロナ禍以降、若い人や女性ユーザーが増え、バイクブーム到来と言われたが、ブームはいつか終わる。いや、すでに終わったという見方も多い。しかし、バイクやバイク文化がライフスタイルに根付いて定着すれば、爆発的に販売台数が伸びることはなくても安定した需要が見込めるようになる。TMCSの入場者数が減ったといっても、まだ11万人以上が入場している。コアユーザーが増えたという見方も出来なくはないだろう。要は来場者の度合い。今のうちに、どうやったらバイクをライフスタイルに根付かせていけるのか。それを業界全体で考え実践していくことが重要だ。
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