公開日: 2024/05/08
更新日: 2024/05/17
日本最大級のバイクオークション会社、BDS柏の杜会場にて出品された極上プレミアム車両。カワサキ「Z1」をバイクジャーナリストの小林ゆきさんが足つきインプレを行いました。
Z1は1973年に発売になった900ccのバイクです。
日本のメーカーは4ストロークの直4のバイクがとても得意で、いよいよ世界に台頭していくぞと60年代に世界グランプリで席巻し、世界は大型車を求めている時代でした。カワサキもH1・H2の2ストロークから4ストロークの4発に変えていく段階でできたのがこの「Z1」。なので、当時のライバル車といえば、ホンダのCB750、900Fあたりだったかと思います。Z1は特にアメリカの市場で非常に売れたモデルということで、日本でいう単車というかオートバイの基本的なデザインというのが今も脈々と続いています。皆さんもご存知のようにゼファーもこのような形になっていたり、後はピクトグラムのベースになったりしていました。
ここからは自分のバイクなので詳しいのですが、GPZ900RやH2にもZ製作の方がかかわったという話を聞いたことがあります。そして日本では、「Z2」といって排気量を750に落としたモデルが売られていましたけれども、その辺のカワサキの技術っていうのは今も脈々と継がれています。
実は私、何十年か前にZ1・Z2に1回だけ乗ったことがあります。当時、大人向けのバイク雑誌と言われていた「CLUBMAN」という雑誌の編集者だったんですが、その時の同寮に半ば強制的に乗せられました(笑)
やっぱり古いバイクですし、タイヤがとても細いとか大きいとか、クラッチ重いんじゃないかなとか先入観があったんですけれども、きっちり整備されたZに乗ってみました。ちょっと都内を走っただけでいたが、今でも鮮明に覚えているのがシルキーな感触。エンジンも滑らかで、そして足回りがこれぞバランスされているという感覚で非常に扱いやすかった覚えがあります。
それから何年経ったかわかりませんが、久しぶりにまたがってみたいと思います。
私のスペックは身長160cm、手足は同じ身長の方の平均より4cmずつ短いという短腕短足です。
今回用意していただいたZ1は初期型らしく、一体いくらするのかちょっと恐ろしいのでなるべく丁寧に触りたいと思います(笑)。どうやらシートは張り替えてあり、年式もそれなりに古いのでサスペンションの動きなんかも当時と同じという訳ではないと思いますが、それを踏まえてまたがっていきたいと思います!
まず横に並ぶと、ハンドルがこんなに高い位置にあったっけ? というくらい高いのと、タンクの位置も何となく今時のバイクより高い位置にあるんだなという感じですね。
では早速またがっていきます! 意外と高い位置にステップがありますね。何となくバックステップ気味の位置にある感覚。バイクの真ん中にも座った状態で、しっかり右足はステップを踏んでいて、バイクを支えている左足は親指の母指球がしっかり地面に着いています。
膝も少し曲がっているのでこのまま車体を起こしてみると・・・やっぱり軽いですね! 今時のこういったビックネームっていうのは、スペック的に重いと思うんですが、Z1は乾燥重量250kgを切っていたので、こんなに高い場所にタンクがあるのに凄く軽く起こせます。足だけで起こせるような感じの重さです。
では足の踏み替えチェックをしてみます。シートの滑り具合はノーマルシートではないので参考までなんですけれども、シートの形も綺麗に丸くラウンドしているのですっと足を踏み替えられます。
そして、ハンドルの位置が絶妙なところにありますね。踏み替えの時に私の脚だと一瞬両足が全く付いてない滞空時間があるんですが、その時に重心があまりにも高かったり、ハンドルをつかみにくい位置だとぐらぐらする時があります。ですがZ1に関してはハンドルが適度に高く、手前に引けていて、近すぎず遠すぎず、支えやすくて角度もいいですね! まっすぐ過ぎず絞られ過ぎず、ちょうどいい。
サイドスタンドもヒゲが出てるので出し入れ楽ちんです。そして、またがっていて思ったんですが、ハンドルと自分の座っている位置にそれなりに距離があるので、自分がビッグバイクに乗っているんだという雰囲気を作ってくれていると感じました!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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サイドスタンドの出し入れも楽ちん
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