公開日: 2024/11/04
更新日: 2024/11/13
二輪販売店がバイクの修理やパーツ交換、カスタムなどを手掛けたら必ず発生するもの、それが工賃である。これは当たり前のことだが、「サービス」とは技術力の提供であるため、基本的にはここが重要な要素であり、収益の源でもある。
二輪販売店がバイクの修理やパーツ交換、カスタムなどを手掛けたら必ず発生するもの、それが工賃である。これは当たり前のことだが、「サービス」とは技術力の提供であるため、基本的にはここが重要な要素であり、収益の源でもある。
そのことをユーザーがどれくらい認識しているかは分からないが、店側は作業依頼を受ける時、作業工賃については、ユーザーにどのタイミングで伝えているのだろうか。想定できるものを列挙してみる。
まず一つは、見積もりを出すケース。工賃と部品代などが分かれて記載されていて、何がいくらなのかが一目で分かる。見積もりは出すが、内訳については、あまり細かく記載されていないケースもあるだろう。総額は分かっても、どういう作業を行って、何にいくらか掛かるのかが分からないものもある。見積もりはなく、作業依頼を受けた段階で、「だいたい〇〇くらい」と口頭で伝えるか、もしくは伝えず、請求の段階で初めて金額を伝えるというケースも考えられる。この場合、ユーザーが事前確認するか否かによって状況は変わる。
一つ言えるのは、パーツの取り付けのように、作業内容が明確で時間が読めるものと、修理のように、見て(開けて)みないと分からないようなものとでは、状況が異なる。後者の場合、正確な見積もりは出せないのが当たり前。もし、金額を記載しそれを上回った場合、ユーザーに理解を求める必要があり、場合によってはトラブルに発展することもあるだろう。
あるユーザーはこう語る。
「事前に聞いていた『〇〇円ぐらい』を大きく超えた金額を請求されたことが何度かありました。その時に思ったのは、その金額の根拠です。その店は確実な仕事をしてくれるいい店なので、作業内容には何の不満もありませんでした。私が求めるのは納得性、つまり、そうなった理由、それだけなのです」
こうした状況を招かないようにするためには、どうすれば良いのだろうか。これについて販売店Aは、かつてユーザーに「どんぶり勘定ですね」と言われたことがキッカケとなり、内訳が分かる見積もりを必ず作業前に渡すようにしたという。
「“どんぶり勘定”という言葉を言われてハッとしました。それがいままでの商慣習だったのです。まわりの商売を見渡した時、そんなところはあまりない。仕事で使う軽トラを買う時も、何も言わなくても見積もりは出てきます。それを機にガラッと対応を変えました。まずは工賃表をパウチし商談テーブルに置いています。どんな作業をしたら工賃はいくら、とひと目でわかるモノを用意しています。見積もりの時は、これがベースになることを伝えています。また、ホームページにも掲載するようにしました。もちろん、工賃を明確にできないものについては、“目安”であることも明記しています」
同店では対応を変えたことでトラブルは減少し、ユーザーの納得性も高まったという。
参考までに、四輪業界について見てみよう。日本自動車整備振興会連合会(日整連)では、「標準作業点数表」という工賃を算出する際の基準を作成している。工賃は、この標準作業点数に1時間当たり工賃(レバーレート)を掛けることで算出される。1年間にリリースされた車両やフルモデルチェンジされた車両(一部二輪車含む)の定期点検および一般整備の標準作業点数が記載されているのだ。
時間工賃は店によって変わる。これは当たり前のこと。店が賃貸物件なら家賃が掛かり、自社物件であれば、固定資産税などの税金が掛かる。当然、人件費もある。こうした要素が工賃決定に影響するわけだが、だからといって、工賃の明示は別問題。やはり、ユーザーに安心感を与え、スムーズなコミュニケーション、スムーズな売買を心掛けるためには、工賃の店内明示や見積もり上での詳細説明が求められるのは間違いない。また、金額を確定できない場合は、目安である旨を事前に必ず伝えることは欠かせないだろう。
ユーザーからよく聞く疑問に、「仕事の早い人、遅い人の誰がやっても同じなのか」というものがある。これは同一であるのが一般的。だとすれば、そのことを伝えるのも安心感を与える一つの方法だろう。
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