公開日: 2024/12/17
更新日: 2024/12/18
今年も、もう12月。2024年の大きなトピックの一つと言えば、普通二輪免許で乗れるクラスにハーレーやトライアンフが参入してきたことが挙げられる。業界的には大きな話題となったが、ユーザーはどう受け止めたのか。現時点で分かっているデータやユーザーの声、SNSでの反響などを紹介する。また、海外メーカーの販売状況や、国内メーカーを含めた軽二輪クラスと小型二輪クラスの9月までの販売状況も合わせて見てみよう。
ハーレーダビッドソンやトライアンフと言えば、大型バイクのイメージが強い。その2社が昨年10月と今年1月に、相次いで普通二輪免許(MT)で乗ることのできるモデルを発売した。それが、ハーレーの『X350』(『X500』も同時発売)と、トライアンフの『スピード400』『スクランブラー400X』。双方とも発表と同時に大きな話題となり、日本への導入が待たれていた。
ただ、問題はここから。どれだけ話題になろうとも、販売台数があまり多くなかったとしたらユーザーの支持が少なかったということになるので、結果的に「業界内で話題になったモデル」というだけで終わってしまう。
では、前述の3モデルはどうだったのだろうか。表1は今年上半期(1~6月)における小型二輪(251cc~400ccクラス)の販売台数ランキング。ハーレーのX350は851台で5位、スピード400はスクランブラー400Xと合わせた台数だが725台で7位。3車ともしっかりと、ベスト10以内に入ってきている。
また、表1では15位中、5位、7位、10位、11位、12位、15位が海外メーカーなのだ。
ここで、取材で得た情報やSNSで確認できたものなど、いくつかユーザーの声を紹介する。
「6月に横浜で行われたブルースカイヘブンに行ってきました。X350が発売されたのは知っていましたが、350ccだしパラレルツインだし、期待はしていませんでした。でも、本物をみたら、想像以上にカッコよくて気に入りました。自分のバイクを売ってまで乗ろうとは思いませんが、X350は価格も手頃だし、レブル250に乗っている妻に『レブルを売ってX350にしない?』と打診しています(笑)。妻もX350はカッコいいと言っているので、もしかしたら乗り換えるかもしれません。もちろん、そうなったら内緒でカスタムしちゃいますけどね(笑)。妻はその辺は詳しくないので、カスタムしても気が付かないかな、と」(埼玉県・40代・会社員)
これは好意的な意見だが、その逆の声も聞ある。
「自分としては、X350は『なし』ですね。やっぱりハーレーは、『This is アメリカン』ってイメージだし、エンジンもVツインの鼓動感が欲しい。重くてデカくてドコドコ走る。自分にとってのハーレーはそんな感じです。でも、乗ったことはないので、一度、試乗してみたいです。ハーレーとしては『なし』ですが、一つのバイクとしてみた場合、X350に興味はある。トラッカースタイルは好きですから」(埼玉県・50代・会社員)
この、「ハーレーとしては、なし」という声は、言ってみれば、ハーレーというメーカーには確固としたイメージがあるということでもある。そのためか、X350は発表された当時から取材やSNS等でさまざまな賛否両論を見聞きしてきたが、否定的な人でも「ハーレーとしては認められないが、バイクとしては興味がある」という声の割合は少なくなかった。
X350(X500含む)は発売1か月の時点で受注数が1000台を突破するなど、好調な出足を見せた。それが販売台数5位という結果に表れているものと思われる。
次はトライアンフの2モデルに関する声を紹介する。
「20~30代の頃、バイクに乗っていました。あれから20年以上乗っていませんでしたが、4年前、コロナ禍をキッカケにバイクに再び乗り始めました。ただ、これは趣味としてではなく、会社までの往復。妻からも、125cc以下と言われていたのでPCXに乗っています。しかし最近、妻から『高速に乗れるバイクに乗っていいよ』と許しが出ましたので、いろいろと探しています。還暦を過ぎたので、重くて大きいのはキツいし、今は速さもそれほど求めていない。肩肘張らずに乗れて、ちょっとオシャレ。そんなバイクに乗りたいと思っているので、スピード400とスクランブラー400Xが候補となっています。ホンダ『GB350』も気になりますが、ちょっと人気が高すぎる。趣味として乗るならあまり人と同じバイクに乗りたくないですね。スピード400は街乗りが気持ちよさそうだし、スクランブラー400Xはどこでも走っていけそう。2台とも夢の広がるバイクで、しかも価格も大型バイクと比べると格段に安くて手の届く範囲。また、車検があるので、乗りっぱなしにならずに済みますし」(埼玉県・60代・会社員)
SNS(Xから抜粋引用)の声も紹介しよう。
「ちょうど良いサイズ感で、足つきはツンツンだけど軽いから気にならない」「スピード400を試乗した。カーブからの立ち上がりも良く車体が軽いのでキビキビ動いてくれる。加速もいいので思わず声を上げてしまった。うん、欲しい!」
ほかにもいろいろあるが、おおむね好意的に捉えられているようだ。
表2は、日本自動車輸入組合(JAIA)が毎月発表している輸入小型二輪車新規登録台数のデータ。こちらは1月~10月までのものとなっている。これを見ると、ハーレーは前年比3.1%のマイナスだが、トライアンフは23.8%もの増加。トライアンフは昨年度(トライアンフの会計年度の関係で2023年7月~2024年6月)、年間販売台数が4553台となり、トライアンフモーターサイクルズジャパンの最高記録を達成しているが、この勢いがあれば今年度は5000台の達成も十分に可能な範囲だ。海外メーカー全体では、前年比1.1%のプラスとなった。
海外メーカーだけではなく、国内メーカーも合わせるとどうなのか。全軽自協では軽二輪と小型二輪の新車販売台数データを発表しているので、それぞれ9月までの累計を出したものが表3 。小型二輪全体では前年同期比1.8%マイナスだが、『その他』『ヤマハ』『カワサキ』がプラスとなった。
上半期における401cc以上の販売ランキングを見てみても、依然としてカワサキ『Z900RS』が圧倒的な強さを誇り、1位を獲得している。251cc以上をまとめると、1位がカワサキ『エリミネーター/SE』、2位もカワサキで『Z900RS』、3位がホンダ『GB350/S』。小型二輪クラスにおけるカワサキの強さが光る。
今回の特集では軽二輪には触れていないが、9月末時点で新車販売台数は前年比17.4%マイナスと、2割近くの減少となっている。車種別販売台数ランキング(表組未掲載)を見ると、1位がホンダ『レブル250/Sエディション』、2位もホンダ『PCX160』、そして3位までもがホンダ『ADV160』。以下、5位までホンダの車種が続くなど、ホンダが上位を独占している。6位にやっとスズキ『Vストローム250』が入る。
国内メーカーも含めた2024年の結果は後日改めてお伝えするが、二輪車新聞社やJAIA、全軽自協のまとめたデータを見ると、原付一種クラスと小型二輪クラスは前年と同等以上、原付二種クラスと軽二輪クラスはマイナス傾向というところだろうか。データの上であと3か月、何かしらの動きがあるかどうか。
今年の需要に影響は出ないとは思われるが、イタリアのミラノで11月7日から10日にかけて開催された『EICMA(エイクマ)』でホンダが世界初の電動過給機付き新型V型3気筒エンジンを発表。ハーレーやトライアンフの普通二輪免許で乗れるモデルもそうだが、今までになかったモノが流れを少し、時には大きく変えるというのはたびたび起きている。他メーカーからも意欲的なモデルが発表されている。少し元気のない軽二輪クラスにおいては、カワサキから『W230』『メグロS1』が11月20日に発売された。これら中から、ゲームチェンジャーとなるモデルや新技術が出てくるのか、期待したい。
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