コラム

米不足と価格高騰が続く「令和の米騒動」問題、解決に向け日本政府は備蓄米21万トンを市場に放出

公開日: 2025/03/26

更新日: 2025/04/02

2024年夏頃から米の価格上昇が続いている。スーパーでは米が5キロあたり4000円を超える値段で販売されるなど、価格は高騰している。日本全域で米が不足する事態に陥っている「令和の米騒動」の解決を目指し、日本政府は備蓄米21万トンを市場に放出することを決めた。

3月10日にはJAなどの集荷業者を対象とした備蓄米15万トンの入札を実施し、3月下旬にはスーパーなどの店頭に並ぶ見通し。小誌が発行される頃にはすでに流通しているものと思われる。市場に流通する米の量を増やすことで、急騰する価格の正常化を目指す。 

備蓄米とは、米の生産量が大幅に減った場合に備えて、法律に基づいて国が保管している主食用の米。これまでは不作や災害などの緊急時にのみ放出されてきたが、今年1月に制度の改正が行われ、流通に問題があった時にも放出できるようになった。主食米不足による備蓄米の放出は今回が初めてであり、それだけ日本にとって大きな問題ともいえる。

米の買い占めで価格高騰。高額転売なども相次ぐ

米不足による価格高騰により、販売店や飲食店に米を販売する卸業者なども苦しい状況に置かれている。農林水産省が公開した相対取引価格の推移によると、令和6年産の全銘柄平均価格は60キロあたり2万5927円と、前年産の1万5358円に比べ69%上昇。出荷業者と卸売業者などの間の取引価格としては比較可能な1990年以降、過去最高価格を記録した。

ここまで価格が急騰した要因の一つとして、流通業者による買い占めが挙げられる。米の流通状況を見ると、2024年に国内生産された主食用米が約679万トンと前年より約18万トン増加する一方、集荷業者の集めた米が約216万トンと前年より約21万トン減少。市場に多く出回るはずの米が市場に出ておらず、政府は業者が米を高く販売するため流通を停滞させているものと見ている。問題解決のためにも、流通量を増やし市場価格を低下することが必要となる。

備蓄米の放出により流通改善が期待されるが、後を絶たないのは価格高騰に目を付けた個人・業者による米の高額転売。現在、フリマサイトでは国産米の出品が増加しており、10キロ5000円の米を1万円で売りに出す人もいる。さらなる値上がりを期待し大量に買い込む人も多いが、中には米の保管に関する知識のない人もいる。そのため衛生面においても不安が残る。

転売騒動では過去に、コロナウイルスの影響で品薄状態となったマスクやアルコール消毒液などが高額転売されたことは記憶に新しい。また、トイレットペーパーなどが不足するという誤った情報が世間に広がった時にも、転売目的の大量購入が発生するなど、さまざまな問題が起きている。米不足のいま、政府による対策だけでなく消費者もまた、間違った情報に流されず、冷静になって物事を判断することが重要となる。高額転売に惑わされないことが、迅速な事態の収束に繋がるのだ。

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