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【販売店取材】有限会社エルドラード浜松 和田篤 代表取締役社長(静岡県浜松市)<前編>

公開日: 2025/03/26

更新日: 2025/03/27

静岡県内にYSP浜松、YSP袋井、YSP静岡東の3店舗を展開する有限会社エルドラード浜松。このうち浜松店と袋井店は指定工場となっており、年間約900台の車検をこなすなど、同社の経営に大きく寄与している。また和田篤社長は、独自のメンテナンスパックや、プロライダーによるオフロードレッスンなど、充実のアフターサービスを展開。ユーザーのバイクライフを手厚くサポートしながら、ヤマハ車の魅力を伝え続けている。

YSP2店舗で指定工場の資格を保有年間車検台数は、実に約900台

YSP浜松店
YSP浜松店

ヤマハ発動機のお膝元、静岡県磐田市に隣接する浜松市と袋井市。この2市の他、県庁所在地である静岡市の3市にYSPを展開する有限会社エルドラード浜松。陣頭指揮を執るのは和田篤社長だが、同社には現在の3拠点体制となるまでに、いくつかの紆余曲折があった。

有限会社エルドラード浜松は1989年、和田社長の父親で現会長の茂氏が設立した販売店である。茂氏はかつて、エルドラードコーポレーションという企業が運営する二輪販売店「YSP浜松」に勤務していた。茂氏は同店の立ち上げに携わっており、オープン後も店長として運営を担当。責任者としてのキャリアを積むにつれ、同氏はいつしか一国一城の主となることを思い描くようになった。そんな状況と軌を一にして、エルドラードコーポレーションのオーナーから茂氏に譲渡の話が持ち上がった。同氏はここを先途とオファーを快諾。こうして今度はオーナーとして、YSP浜松を運営することとなった。

当時はまだまだ二輪需要も旺盛な頃。時代の後押しを受け、売上は右肩上がりで推移した。独立から20年ほど経過した頃、茂氏の頭の中には、新規店構想が持ち上がった。ちょうどそのタイミングで、YSPを開業したいというバイクショップのオーナーと出会い、同氏はその人物を雇用。新店オープンは現実のものとなり、静岡市内に「YSP静岡東」をオープンした。この進撃はさらに続く。2019年、かつて勤務していたエルドラードコーポレーションが運営していた「YSP袋井」の買収について打診を受け、快諾した。こうして茂氏は自身の代で静岡県内にYSPを3店舗展開することとなったのだ。

YSP浜松店とYSP静岡東店
YSP浜松店とYSP静岡東店

現在、エルドラード浜松の指揮を執る和田社長が二輪業界で働き始めたのは、26歳の時。大学卒業後は社会人としての経験を積むため、産業機械の部品メーカーに就職した。そして26歳の時、家業を継ごうと考えていることを茂氏に相談。すると同氏からは一度、他のバイクショップで経験を積むことを指示されたという。

「父の紹介もあり、京都の二輪販売店に就職させていただきました。同店では当時、国内4メーカーやトライアンフなどを取り扱っていました。流行り出したばかりのトライクも扱うことで、他社にはない独自のスタイルを確立。お客さんを囲い込むビジネスを行っていました。私は販売をメインに担当していましたが、お客さんと信頼関係を築くことがいかに重要であるかなど、ものすごく多くのことを学びました」

和田社長は4年間経験を積み30歳の時、家業に就いた。当時は役職もなく、1からのスタート。会長の息子だからと特別扱いを受けることはなく、接客や整備はもちろんだが、洗車や店内清掃など何でも行ったと言う。こうして、一生懸命ひたむきに仕事に取り組んだことで、他のスタッフからの信頼も勝ち取った。そして、入社から10年を経た40歳の時、社長に就任した。

和田社長は普段、浜松店で執務にあたっている。また月に2回、袋井店と静岡東店に足を運び、各店の店長やスタッフとミーティングを実施。直近の反省点や翌月の売上目標などを確認しているという。

スタッフのモチベーションと満足度を上げ、サービス向上

空間を贅沢に使った開放感溢れる展示を行っているYSP浜松
空間を贅沢に使った開放感溢れる展示を行っているYSP浜松

エルドラード浜松の昨年の販売台数は、全店合わせて1000台弱。内訳は浜松店が約500台、袋井店と静岡東店がそれぞれ約250台となっている。新車と中古車の割合は8対2。排気量では小型二輪が最も多く全体の5割を占めており、軽二輪が3割、原付一種と二種が2割ほどだと言う。この大型車両が高い割合を占める理由について、次のように説明する。

「401cc以上は人気のXSR900やMT-09をはじめ、ラインアップが充実しています。けれども、400cc以下は排ガス規制によって、人気であった「セロー250」「SR400」「ドラッグスター400」が生産終了となってしまった。いまはラインアップが限られているため、大型モデルの販売比率が高まっているのです」

現在、ヤマハの251cc~400ccの新車ラインアップは、「MT-03」「YZF-R3」「トリシティ300」の3モデル。この現状について、和田社長は思いの丈を打ち明ける。

「ミドルクラスのバイクはエントリーライダーからの購入が多い。さらに、彼らは初めてバイクを購入した店を慕ってくれる傾向にある。そのようなお客さんがウチにも多くいますが、いまはミドルクラスのモデルが限られているため減ってしまった。また、原付や軽二輪モデルからのステップアップだけでなく、大型モデルからのクラスダウン時に、ヤマハ車へ乗り換える方も減ってしまっています。販売店としては、まずはミドルクラスを購入していただき、ステップアップしてもらうことで、お客さんと長い付き合いをすることが理想。だからこそ、ヤマハにはミドルクラスの新モデルを出して欲しいのです」

二輪用品も充実している
二輪用品も充実している

エルドラード浜松ではバイク購入後、ユーザーに対して独自に行っている取り組みがある。それは、納車時に撮影した記念写真やお礼状と一緒に、スタッフの対応などについて回答してもらうアンケートも発送しているのだ。このアンケートでは、スタッフの接客態度や店の雰囲気がどうであったかといった質問の他、「担当スタッフへのひと言」という項目を設けている。これにより、ある効果が生まれていると話す。

「アンケートに答えていただけるのは2、3割ですが、中には特定スタッフに対するお褒めの言葉を書いてくれる方もいる。そのような時は、こういった声が届いているよ、と名前が挙がったスタッフに必ず見せています。アンケートは店の品質改善に繋げるために行っていますが、スタッフのモチベーションを上げる効果もあると思っています」

また、和田社長は2021年より年に1回、全店のスタッフ1人ひとりと面談を実施している。面談ではプライベートに関することは一切聞かず、仕事をしていて困っていること、普段言いにくいことなどについてヒアリング。さらに、「いつも頑張ってくれてありがとう」「ウチにはあなたが必要」といった感謝の言葉も必ず伝えているのだという。その結果、店長などから「意欲的になった」「最近元気がなかったけどちょっとずつ良くなってきた」という声が聞かれるようになったため、面談を行うこともスタッフのモチベーションアップに繋がっていると語る。

さらに、和田社長が最も力を入れているというのが福利厚生の見直し。基本給のベースアップや、2桁だった年間休日日数を3桁に増やすなど、働く環境を整備し続けている。

「スタッフが満足してくれれば、お客さんに対してより良いサービスを提供できると考えています。そうすれば、お客さんはそのスタッフを慕ってくれ、最終的にはエルドラード浜松のファンになってくれると思うのです。お店のファンを増やすためには、まずはスタッフの満足度を上げることが重要だと考えています」

和田社長はスタッフのモチベーションと満足度を上げることで、さらなるサービス向上へと繋がる好循環を生み出しているのだ。

後編はコチラから!!



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