公開日: 2025/07/02
更新日: 2025/07/09
コロナ禍によるバイクブームの再燃をキッカケに、一時的ではあるが若者ライダーが増加した。二輪業界に限った話ではないが、若者を取り込むことは、業界の持続的な成長にとって不可欠である。今回は大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーに来場したユーザーを対象に行ったアンケート結果から、若年層(20代以下)のバイクへの興味・関心度について検証していく。
3月28日~30日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催された「第52回東京モーターサイクルショー(TMCS)」。来場者数は合計で11万8812人(前年比104.3%)と、賑わいを見せた。
このTMCSを主催する日本二輪車普及安全協会(日本二普協)は6月2日、来場者を対象に行った「東京モーターサイクルショー来場者調査」の結果を発表した。アンケートではTMCSの満足度をはじめ、各イベント・ショーの評価、再来場意欲、バイクへの興味・関心度などを調査。サンプル数は1276件に上ったが、そのうちの46%(556件)を20代以下の若年層が占めた。そこで今回は、この若年層のアンケート結果に注目。自工会の二輪車情報サイト「MOTOINFO(モトインフォ)」が大阪・東京・名古屋モーターサイクルショーで、20代以下のユーザー72人に実施した調査結果と合わせて、若年層のバイクへの興味・関心度について検証していく。なお、日本二普協とモトインフォの各質問は、ともに複数回答可となっている。
まず、日本二普協の「保有免許と保有バイクに関して」という質問。保有免許は自動二輪免許取得者が一般(全体)は57%、若年層は56%と、ほぼ同数となっている。けれども、これを踏まえた上で保有台数について見てみると、自動二輪以上は一般が68%、若年層は50%という結果であった。また、『持っていない』と回答した割合は一般が22%に対し、若年層が35%となっている。
モトインフォの「バイクに乗る、もしくは乗り続ける上で直面する困難は?」という質問で、最多となったのは『バイク本体購入費(36点)』。次いで、『維持費(29点)』、『保管場所(21点)』、『バイク用品費用(19点)』と続く。これらの結果より、免許は取得したものの、経済的な理由やライフスタイルの変化などにより、バイクの購入および維持に至らない若者が一定数いると推測できる。つまり、購入したくてもできないユーザーが多いのだろう。
続いて、日本二普協の「今後購入したいバイク(複数回答可)」について。自動二輪以上の車両購入意欲が一般は76%であるのに対し、若年層は79%となっている。このことより、前述のようにバイクを持っていない割合は若年層のほうが高かったが、購入意欲はむしろ高い傾向にあることが窺える。
さらに注目したいのは、若年層は一般よりも自動二輪車普通を選ぶ割合が6%高い、という結果になっているところ。モトインフォの「バイク購入の際の決め手は?」という質問では、『デザイン(51点)』が最多。それに『価格(33点)』、『性能(29点)』、『タイプ(21点)』、『ブランド(14点)』と次ぐ。この中でデザインと回答したユーザーからは、「とんでもない価格でなければ、購入方法は何とかできます。それよりも、見た目やデザインが『カッコいい』って思えるバイクかどうかが重要です」といったコメントも寄せられている。
これらの結果より、若年層は速く走ることをさほど重視していないことが分かる。“速い=カッコいい"という考え方は、今日において希薄になっているのは明らかだ。
ここまで、若年層のバイク所有状況や購入意欲に関する結果を見てきたが、彼らはどのようにバイクに興味を持ったのだろうか。日本二普協のアンケートで最も多かったのは、『家族・友人・知人の影響(31%)』。次いで、『1人で行動したいと思ったから(30%)』、『キャンプやアウトドア・レジャーに良いと思ったから(11%)』、『アニメや漫画・ゲームの影響(9%)』と続く。この結果は、家族や友人などの既存ライダーから、バイクの魅力を発信してもらうことがいかに重要であるかを示唆している。販売店においては、新規ユーザー獲得のために、紹介割引などの特典を積極的に活用するのも効果的かもしれない。
日本二普協のアンケートに回答した若年層の94%が、TMCSへの来場によってバイクへの興味・関心が高まったとも回答している。調査対象がMCSの来場者であるため、元々バイクに興味があることは想像できるが、それでも潜在ユーザーは決して少なくはないものと考えられる。彼らの高まった興味をいかに持続させ、実際にバイク購入へと繋げるかが、二輪業界における喫緊の課題であり、新規顧客開拓の大きな鍵となっている。前述の若年層がバイクを選ぶ最大の決め手が「デザイン」であることを踏まえ、今後、メーカーがどのようなモデルを市場に投入するかにも注目したい。
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