公開日: 2025/06/24
更新日: 2025/06/25
京都や大阪、北海道など、人気の観光地を歩けば、すれ違うのは外国人観光客ばかり…。近年、日本固有の文化に触れつつ様々な名所へと足を運ぶ外国人が増加している。レンタカーを利用する外国籍ドライバーも多く見られるようになったが、一方でトラブルや事故も問題となっている。特に今年5月には、「外免切替」を利用したドライバーによる高速道路の逆走や、小学生4人をひき逃げする事件が立て続けに発生。度重なる事故を受け、政府や警察庁はこの見直しを検討している。
「外免切替」とは、海外で取得した運転免許を日本の運転免許に切り替えることができる制度。交付の条件として、交通ルールに関する学科試験と車の運転技能を確認する実技試験を受験し合格する必要がある。本来は、海外在住の日本人が一時帰国する際に利用する制度として想定されている。
外国人が日本で運転するためには、「ジュネーブ条約」に加盟する国が発行している国際運転免許証を取得するのが一般的な方法。しかし、条約の加盟国でなければ利用できないという条件がある。そのため、加盟していないベトナムや中国の人が、取得しやすい「外免切替」を多く利用している。警察庁の運転免許統計を見ると、2015年には3万3687人だった取得者が、2024年には7万5905 人と約2.3倍に増加していることが分かる。
このように、多くの人が利用する「外免切替」だが、政府や警察庁が問題視する要因の1つに、知識を確認するための学科試験の難易度が低く、合格しやすい点が挙げられる。日本国内で運転免許を取得するために受ける本免試験では、学科だけでも全95問が出題され、100点中90点以上を取らなければ合格できない。一方、「外免切替」で出題される問題は全10問。○×形式で回答し、7問以上を正解すれば合格できる。どちらも車の運転免許を取得するための試験であるにもかかわらず、「外免切替」のほうが簡単な試験内容なのだ。
また、「外免切替」の2023年平均合格率を見ると、運転技術を見る実技試験は29%と高くはないが、学科試験は約90%と、その差は明らか。つまり、日本の交通ルールを深く理解せずに運転する外国人が増加していることが考えられる。
そのほか、制度を利用するための申請に、一時的な滞在場所の住所を使用することができてしまうことも問題視されている。観光客がホテルの住所を使用して免許証を取得した実例もある。今や制度を利用することで、普通に免許を取得するよりも簡単に外国籍の人が取得できる状態となってしまっているのだ。
政府や警察庁には、様々な問題を抱える外免切替制度の早急な見直しが求められている。特に、事故を増やさないためにも、今まで以上に交通ルールを理解してもらうことが重要だろう。これは自動車だけの問題ではなく、二輪車も同様だ。バイクレンタルは多くの店で取り扱われており、外国人が利用するケースもある。四輪だけの問題とは思わず、二輪業界でも外国人に対する交通ルールの周知が求められる。
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