公開日: 2022/05/30
更新日: 2022/09/06
ラストワンマイルで活躍するモビリティとして注目を集め、徐々に普及が進んでいる電動キックボード。けれども、4月19日に改正道路交通法が成立して以降、同モビリティの在り方について多くの人から疑問の声が上がっている。これはなぜか。
電動キックボードの車両区分は現在、国から特例を受けたシェアリングサービス用は「小型特殊自動車」に位置付けられており、速度が15km/h以内に制限され、ヘルメットの着用は任意となっている。一方、個人所有の場合は「原付」の扱いで、ナンバープレートやウインカーなどの保安部品を必要とし、ヘルメットの着用は義務となっている。
けれども、2024年夏頃に施行される改正法により、この規則が大きく変わろうとしている。「最高速度20km/h以下」「長さ190cm×幅60cm以下」などの条件を満たす電動キックボードは、“特定小型原動機付自転車”という新たな車両区分に位置付けられるのだ。ただ、現在所有している電動キックボードが“特定小型原動機付自転車”になるわけではない。
特に問題視されている点は、「16歳以上は免許が不要」「ヘルメット着用は努力義務」「最高速度6km/h以下の制御とそれに連動する表示を行えば、自転車走行レーンのある歩道も走行可能」という3つの規則。SNS上では、「より気軽に乗れる」といった賛成意見がある一方で、「免許不要は危険すぎる」「いままで以上にトラブルが増えるのではないか」といった反対意見が多くを占めている。
この背景には、社会問題になりつつある電動キックボード利用者による交通違反の増加がある。警察庁は2月25日、昨年9月〜12月までの3ヵ月における、電動キックボード利用者による交法違反件数(告知・指導警告等の合計)を発表。その結果、全国で304件あったことが分かった。その内訳は、整備不良が113件(37%)、無免許が69件(23%)、通行区分違反が66件(22%)、その他が56件(18%)であり、交通ルールの周知が早急の課題となっていることが明らかとなった。
SNS上には、電動キックボードによる交通事故のシーンがまとめられた動画も投稿されている。これを見る限り、事故の原因は利用者の交通違反だけでなく、同モビリティの設計にもあるように感じる。タイヤが小さいため段差に躓いて転んだり、思うように曲がれずに歩行者に衝突したりと、操作性にも課題があるようだ。そのため、電動キックボードのシェアリングサービスを行うLuupは、同モビリティの利用に関するルールの周知に向けた啓蒙活動だけでなく、交通安全講習も実施している。
電動キックボードは便利なモビリティだが、一つ間違えば大きな事故を招く可能性が十分にある、という意識を持つことが求められる。今後、利用者のマナーに対する注目は、より一層高まることは間違いない。
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