公開日: 2022/06/29
更新日: 2022/09/06
ヤマハは6月8日、時速20km未満で公道を走る電気自動車による移動サービスと車両の総称である『グリーンスローモビリティ』に関する協業契約を、日本自動車連盟(JAF)と締結したことを発表した。ヤマハは車両の提供とサービス、JAFは全国に広がるサービス網と自治体との連携の活用、それぞれの『強み』を生かした協業となっている。また、同日、2社はメディア向けに「オンラインレクチャー」を実施。今回の協業契約について説明した。
ヤマハでは2014年から、低速モビリティの『グリーンスローモビリティ(GSM)』に取り組んできた。このGSMがどういうものかというと、「グリーン=電気自動車で環境に優しく」、「スロー=時速20㎞未満で公道を走る」、「モビリティ=移動手段」というもので、簡単に言えば、ゆっくり走る電気自動車。GSMはそれを活用した移動サービスと車両を総称したものである。これまでにヤマハでは70回以上にわたり、GSMの社会必要性などを検証する実証実験を全国各地で行ってきた。
そして6月8日、ヤマハは日本自動車連盟(JAF)との間において、GSMの今後の展開に関する協業の契約を締結したことを発表した。これに併せて、ヤマハとJAFはメディア向けにオンラインレクチャーも実施。ヤマハ、JAFともにそれぞれ2名ずつが参加し、協業契約の締結に関して説明を行った。
JAFというと、もしもの時の緊急対応「ロードサービス」が誰でもパッと浮かぶものと思われる。だが、それ以外にも個人のライフスタイルや社会の変化に対応すべく、「会員優待サービス」「交通安全への取り組み」「モータースポーツ振興」「コミュニケーション」にも取り組んでおり、それにロードサービスを加えて『JAF5つの柱』として掲げている。この会員優待サービスの中に、項目の一つとして『地域振興』が含まれており、ヤマハとの協業は、この地域振興の一環となるものである。
「地域振興は2010年から取り組みを始め、2022年3月現在、646の地方自治体と観光協定などを結んでいます。現在全国の市町村数は1718、それと東京23区を基礎数と考えると、およそ3分の1。活動としては、JAFの広報誌『JAFメイト』の地域ドライブページに各自治体の情報を掲載、ホームページ上でドライブコースを公開。JAF主催のイベントなども各自治体と共同して実施しています」(JAF・野口浩寿氏)
もう、お気付きの人もいるかと思うが、この協業はそれぞれの『強み』と『強み』を掛け合わせたもの。ヤマハはGSMの製造や導入・サービスのノウハウを持っている。JAFは、全国に広がる支部ネットワークを持ち、646もの自治体と観光協定を締結。逆に言えば、それぞれがそれぞれの欲しいものを持っているということ。
「JAFでは、脱炭素社会に向けて地域振興や社会貢献活動において何ができるかを検討してきました。ヤマハさんはGSMを利用した実績をすでにお持ちで、我々の考えとも一致しておりましたので、協業の声をおかけしました」(JAF・大野輝明氏)
ヤマハも、以下のように語る。
「ヤマハはこれまで70回を超える実証実験に参画し、GSMの実装台数も100台以上になっています。その中で培ってきた導入の際のノウハウ、アフターサービスの考え方のほか、20km/hしか出さないクルマなのでドライバーの教育も必要。これらをJAFさんとの協業を通して広くたくさんの地域やお客様に提供し、地域に貢献していきたいと考えています」(ヤマハ・田口慎一郎氏)
「JAFさんとの協業では、人輸送の事業性の検証を進めます」(ヤマハ・青田元氏)
現在のところ、導入地の選定や導入検討に向けた付随業務のほか、導入後のアフターサービス、低速モビリティの安全運転講習業務などをJAF。車両提供・車両へのシステム搭載などをヤマハが受け持つ予定。まだ、協業契約締結を発表した、という段階なので、いつまでに何をどうするという部分は明確になっていない。
「新規事業なので、建て付けを考えているところです。JAFさんとお互いにターゲットを検討しながら、進めていきたい。内々ではなんとなくの規模として、遠い将来なのか近い将来なのか分からないですが、数千台規模の販売は考えています。その多くをJAFさんとご一緒できればと思います」(ヤマハ・田口氏)
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