公開日: 2023/07/11
更新日: 2023/07/14
埼玉県さいたま市に2店舗、店を構える株式会社サイクルロードイトー。同店は、ユーザーの運転技術向上を目的に、教習所で行うレベルアップ走行会をはじめ、サーキットやオフロード走行会など、様々なイベントを開催している。今回は、4月9日にファインモータースクール指扇校で行われた「レベルアップ走行会」の様子を取材した。
株式会社サイクルロードイトーは1979年、伊藤晶会長が創業した。同氏は1960年代にホンダの開発ライダーとして活躍。「第1回全日本グランプリ」や「第2回世界選手権日本グランプリ」などへの参戦経歴を持つ。1984年に法人化し、1986年には二輪車整備認証工場を建設。また、1993年に「サイクルロードイトー2」(現指扇店)、1996年には創業した日進町から移転し「サイクルロードイトー櫛引店」をオープン。現在は伊藤会長のご子息である伊藤学氏が社長、そして、岡田隆幸氏が副社長を務める。同氏はAJ埼玉の理事長としても活躍する。
サイクルロードイトーでは、ライダーの運転技術向上を目的に、自動車教習所「ファインモータースクール」(埼玉県さいたま市)で行うレベルアップ走行会をはじめ、サーキットやオフロード走行会など様々なイベントを開催。バイクを販売するだけでなく、ユーザーが遊べる場を提供することにも力を入れている。そこで今回は、これらの走行会に焦点を当て、イベントの内容や参加者の声などについて紹介する。
4月9日に開催されたレベルアップ走行会は、教習所内の特設コースを愛車で走り、各車両の特性に合ったライディングを楽しみながら学べるイベント。年に4回開催しており、誰でも参加することができる。取材に伺った当日の参加者は約80人。多い時は100人を超える。これについて、伊藤社長は次のように説明する。
「レベルアップ走行会は、お客様がバイクライフを楽しめるよう運転技術を向上させたい、という会長の考えのもと、1984年より開催。当初は、50ccの『スクーターレース』として実施していました。けれども、自分のバイクで参加してスキルを磨いてもらうほうがより安全に繋がると考え、1995年に現在の内容へと変更したのです」
サイクルロードイトーのレベルアップ走行会は、ビギナーライダー向けの「ベーシック」、バイクに慣れてきた人向けの「エンジョイ」、ベテランライダー向けの「スポーツ」の3つのクラスが設定されている。ユーザーは自身のレベルに合わせて参加することができ、ベーシッククラスは、S字クランクや一本橋走行、クラッチの確認など、基礎的なことを実践しながら自身の課題解決を目指していく。また、エンジョイとスポーツクラスは、特設コースを20分×6回走行。教習所内は、対面交通の危険や歩行者などの侵入がないため、安全に技術向上を図ることができる。
レベルアップ走行会には、他ではなかなか見られない特長がある。追い越しが認められているのだ。この理由について伊藤社長は、サイクルロードイトーが掲げる目標が関係しているという。
「私たちは自身のスキルを磨くだけでなく、相手のことも思いやりながら走ることが、”本当の安全“に繋がると考えています。公道で前を走る車やバイクを追い越す際、キチンとコースを確保する、無理な割込みをしないなど、相手の立場も踏まえて走行する瞬間的な判断力を身に付けて欲しいので、あえて追い越しを可能としています。スキルだけでなく、一緒に走行するライダーへのマナーアップも目標にしています」
当日は、休憩中に伊藤社長をはじめとするスタッフに、ライン取りなどについて積極的に質問する参加者が多かった。また、ベテランライダーがビギナーライダーにアドバイスを行う光景も見られるなど、アットホームな雰囲気が印象的であった。レベルアップ走行会には、伊藤社長のご子息で、全日本ロードレース選手権ST600クラスで活躍するモトバムホンダの伊藤元治選手が参加することもあるという。そのため、プロライダーからテクニックを学べることも特長の1つとなっている。
実際に参加したユーザーは、どのような感想を抱いているのだろうか。何度も走行会に参加しているという女性は、次のように語る。
「公道ではなかなかできないことを試せるので、技術が身に付くのを実感しています。初めて参加した時はベーシッククラスでしたが、いまではエンジョイクラスで走行できるまでレベルアップしました。スタッフや他の参加者の方からアドバイスをもらい、それをすぐに実践できます。自分の成長を感じられるのが嬉しいんです」
続いて、スポーツクラスに参加していた男性。
「こういう走行会に来ないと、普段疑問に思っていることを聞くことができません。1人で走っていてもなかなか上達しないので、バイクの寝かせ方などをキチンと教えてくれるこの走行会はとても貴重です。また、イベントを通じてコミュニティが広がっていくのも、自分のバイクライフを充実させてくれています」
さらに、レベルアップ走行会の前日がレブル250の納車日だったという、ベーシッククラスに参加していた女性はこう語る。
「教習所を卒業するとすぐに公道デビューになってしまうので、ものすごく不安でした。けれども、今日参加したことで自分の走りをスタッフの方が見てくれ、乗り方やギアチェンジのタイミングなど、基礎的なことを再確認することができました。今日来る際に1回エンストをしてしまったので、この走行会で学んだことを踏まえ、帰りはエンストしないようにしたいです」
サイクルロードイトーはレベルアップ走行会の他にも、スポーツランドSUGOの国際コースで高速運転を体験できる「サーキット走行会」や、舗装路とは違った土の上での走行を経験できる「オフロード走行会」なども開催している。その中でも、4月9日に話を聞いた参加者達が、ものすごく上達する、と名前を挙げていたのが「早朝練習」だ。これは毎週土・日曜日の朝6時半から8時まで、オフロードビレッジ(埼玉県川越市)を使用して実施。伊藤社長は、オフロードコースで練習することがポイントだという。
「土の上や斜面などはアスファルトとは違い、路面が脆弱なため、アクセルを急に開けるとタイヤが空転したり、ブレーキを掛け過ぎるとすぐにロックしてしまいます。オフロードコースでは、より繊細なクラッチやブレーキ操作、アクセルワークが必要とされるので、走る、曲がる、止まるといったバイクの基本動作を確認することができるのです」
サイクルロードイトーは、バイクで繋がる仲間が集う「イトーライダースクラブ」を結成している。上記の早朝練習をはじめ、教習所やSUGOサーキットでの走行会など、様々な経験を積みながら運転技術やマナー向上を目指すだけでなく、ツーリングやバーベキュー大会など、多数のイベントも開催。これらの取り組みは、同店の付加価値となっており、販売に結び付くだけでなく、新規ユーザー増加の要因にもなっていると伊藤社長はいう。
最後に、取材を行ったレベルアップ走行会など、ユーザーがスキル向上を図る場所を積極的に提供し続ける理由について、次のように語る。
「国内メーカーをはじめ、他の販売店さんもライディングレッスンや走行会を開催していますが、このようにユーザーが遊べる場を提供する取り組みがもっと広がっていけば、二輪業界はより盛り上がっていくと考えています。バイクは楽しい乗り物なので、お客さんには長く乗って欲しい。そして、家族や友人にバイクってどうなのと聞かれた時に、いい乗り物だよと答えてくれる人を増やしていきたいのです」
サイクルロードイトーはバイクを売って終わりではなく、ライダーを育てる、という二輪販売店の本来の役割を長年にわたり果たしている。その中で、同店がユーザーに伝え続けているのは、スキルの向上だけでなく、マナーも向上させることが“本当の安全”に繋がる、という考え方なのだ。
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