公開日: 2023/12/04
更新日: 2023/12/13
神奈川県相模原市にある、ライダーたちが中心のボランティア団体『Ridersin Action』。地元の観光地周辺にある駐車場の二輪スペースがゴミで散らかっていたことから、ゴミ拾い活動を3年前から始めた団体だ。その根底にあるのは、「バイクに乗っている人ってさ…」と言われないよう、『ゴミのマナーを自分たちライダーから変えていこう』という思いだ。
「3年くらい前、宮ヶ瀬湖畔にある鳥居原ふれあいの館二輪駐車場が真っ白だったんです」
こう話し始めたのは、ライダーが中心となって立ち上げた神奈川県相模原市のボランティア団体『RidersinAction(ライダーズインアクション)』の副代表である岩間大輔さん。真っ白というのは、どういうことなのだろうか。
「タバコの吸い殻やコンビニのレジ袋、ペットボトルや空き缶などのゴミが二輪の駐車スペースのいたるところに散乱。それらによって、なぜか全体が真っ白に見えてしまうほど、多くのゴミが散乱していたんです」
3年前というと、日本のみならず世界で新型コロナウイルス感染症が大きな問題となり始めた頃。当時、コロナウイルスの感染予防を理由に、鳥居原の駐車場からゴミ箱が撤去されていた。そのこともあり、行き場を失ったゴミが駐車場に捨てられて放置されていたのだ。
「クルマの駐車スペースにもゴミは落ちていましたが、二輪スペースはその比じゃなかった。バイク乗りの一人として恥ずかしかったですね。『バイクってマフラーの音がうるさい』とか、『バイクに乗っている人って… 』とイヤな顔をされたりすることがあるじゃないですか。鳥居原駐車場には家族連れのクルマとかも来ます。その時にゴミだらけの二輪スペースを見たら、子どもたちだってバイクやライダーに対して良い印象は持ちませんよね。それをどうにかしなければと思い、まずはこの駐車場をキレイにしようとゴミ拾いを始めました」
宮ヶ瀬でゴミ拾い活動をしている人が他にもいることを聞いた岩間さんは、その人と一緒に活動をするようになる。その人というのが、現在ライダーズインアクションの代表を務めている佐藤隆さん。2人のほか、個々にゴミ拾いをしていたライダーや活動に賛同するライダーも合流するようになり、今では30~40人、多い時は50人近くのライダーたちによってゴミ拾い活動が行われている。
「最初のうちは、佐藤と私の都合の良い日曜日にゴミ拾いをしていたのですが、行政から『ゴミ拾いする日をあらかじめ教えておいて欲しい』と言われ、第2日曜日をゴミ拾い活動の日と決めました」
宮ヶ瀬のほか、東京都西多摩郡の奥多摩大麦代駐車場でも月1回、第3日曜日にゴミ拾い活動を行っている。また、埼玉県飯能市名栗湖(有間ダム)にはゴミ拾いセット(ゴミ袋とゴミ拾い用のトング)が用意されており、受付でゴミ拾いの申し込みをすれば、いつでも誰でもゴミ拾いセットが使用可能となっている。
初めは二人で始めたゴミ拾い活動だが、今は運営6名のほか、参加者は数十名。そしてついには相模原市に認めてもらえる存在にまで成長した。岩間さんは次のステップとして、ゴミ拾い以外の活動を行う『RIDE plus(ライドプラス)』を設立。宮ヶ瀬湖畔の駐車場を使って子どもたちにバイク体験をしてもらう『キッズバイク』や、神奈川県愛甲清川村公認のバイクミーティングを開催するなど、地域貢献やバイクの訴求にも活動の幅を広げている。
ライダーズインアクションに話を戻すが、ゴミ拾い活動はライダーだけではなく、バイクに乗らない人や子どもでも、誰でも活動に参加できる。現地にはゴミ拾いに必要な道具が用意されているので、フェイスブックやX(旧ツイッター)などのSNSで告知される日時に開催場所に行けば、手ぶらで参加可能。。活動時間も30分ほどなので、例えば店が主催のツーリングにゴミ拾い活動を組み込み、ゴミ拾いが終わった後に、そこから足を伸ばしてツーリングを楽しむということもできる。さらには、スタンプカードが参加者に配られ、参加スタンプを貯めると協賛地域のバイクカフェで飲食時にコーヒーが無料になるなどの特典もある。
「私たち宮ヶ瀬の活動がモデルとなり、『ゴミのマナーをライダーから変えていこう!』という思いが他の地域にも広がったら嬉しいですね。そして『バイクに乗っている人ってマナーがいいね』とか、ライダーについて話すときの顔がイヤな顔ではなく笑顔になったら、さらに嬉しいですね」
Riders in Actionホームページ
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