公開日: 2024/08/30
更新日: 2024/09/13
二輪車の発信・変速操作などを高度な制御で自動化する新電子制御シフト機構「Y-AMT」。その新機構搭載の「MT-09 Y-AMT」を、バイクジャーナリスト小林ゆきさんとBDSバイクセンサーイメージガール竹川由華さんがサーキット試乗! “クラッチレバー”、“シフトペダル”を無くした新たなバイクの走行性をインプレしてきました!
現在、ATモード(変速は自動だが、シフトレバーでの介入も可能)のD+でサーキット走行しています。先ほどからどのぐらい自分の意と同じシフトになるか試しているんですが、急な操作に対してそれを上回る感じではないです。早めにシフトダウンしたい時は自分の指を使いなさいという感じですね。
3速で物凄いパワーとトルクをかけて走ってみましたが4速には上がりませんでした。恐らくライダーがアクセルを多めに開けると、その分エンジンの回転域やパワーを使いたいという判断がされているのだと思います。穏やかな操作をする際も急にシフトが下がることはないです。MT-09はそれなりにパワーもあるバイクですが、スポーツ走行をするにしても最初の設定はせいぜいツーリングの範疇で収めようという感じです。
そして、自動でシフトダウン・アップする際に多少エンジン側からガシャコンと聞こえる時があるのですが、これは本当にマニュアルのバイクと同じような感覚です。それからほんの少しシフトのアップ・ダウンに対してクラッチの空白時間というのがありますが、それはライダーに操る喜びを残してくれているのだなと思います。
今回はサーキット走行、そして駐車場で低速走行してきました。これまで色々なメーカーがバイクをオートマ化するのにチャレンジしてきましたが、ヤマハさんはクラッチレバーもシフトペダルも無くしたにも関わらず、マニュアルの面白さをあえて残して開発したのだなと思いました。オートマチック的な走りの中に、例えば停止時から1足に入れる際、マニュアル車でクラッチを握ってシフトチェンジする時のガシャポンッとなるあの感覚そのものがあります。
説明会でクラッチとシフトを制御するのがECU(エンジンコントロールユニット)とMCU(モーターコントロールユニット)と仰っていましたが、あえてバネを使ってシフト操作を行うことでその感覚を残しております。ですが、不思議なことにクラッチレバーはもちろんないですから、1速に入ったとてもちろんエンストもしませんし、クリープすることもないんですね。
今回広いサーキットでのスポーツライドや極低速での8の字、スラロームもしてみましたが、私は正直かなり長年の経験があるので、どうしても今までのマニュアル操作が染み付いている分、比べてしまう時がありました。多分マニュアル車だけに乗り慣れている物凄いベテランで上手なライダーさんだと「もうちょっと先行ってほしいよ」っていう場面ももしかしたらあるかもしれないですが、恐らく初心者の方や普通のライダーさんが街乗りから峠道を走行する範囲内では全く違和感なく走れると思います。
MT-09というバイクは3気筒の非常にトルクフルなエンジンを使っていますが、ちょうど感性を超える手前で操作してくれている感じで、やり過ぎないというところにヤマハの安全思想が入っているのかなと思いました。ヤマハの考える安全範囲というのはここなんだ、楽しく走れる基準ここなんだよってことをバイクがライダーに伝えてくれるようでした。
なので、マニュアルに乗り慣れてない人は今回のようなバイクから入ると、大型バイクでも怖がらずに運転が上達していくんじゃないかな。あるいは交通社会の中で色々危ない場面があると思いますが、ATモードの場合右手のアクセル・ブレーキだけに集中すればいいので、安全運転に貢献する仕様になっているのかなと思いました。
実は今回、竹川由華ちゃんも試乗してきたので感想を聞いてみようかな!
竹川―――皆さんこんにちは、竹川由華です!
私も今回初めて試乗させていただいたんですが、今まで乗ってきたバイクとはまた別物だなっていう感覚でした。クラッチレバーとシフトペダルがないのが変な感じだったんですが、私のアクセルに合わせて自動でシフトチェンジしてくれるのが凄く優秀でした。「あ、アクセル開いてきたな」って思ったらシフトを上げてくれて、「ブレーキ踏んだな」と思ったら勝手にシフトを下げてくれるので、何も考えなくても誰かがアドバイスしてくれている感じでした。
あと自分の乗り方で走りたいなと思ったらボタンでシフト操作できるのも凄くいいなと思ったんですけど、まだ操作に慣れていないので少し難しかったですね。シフトアップはボタンを人差し指で押すのですぐに覚えられたんですが、ダウンは人差し指を弾くか、親指で押すって言われたんですけど、間違えてクラクションを押しちゃうことがありました(笑)
ブレーキを踏めばこの子が勝手にシフトチェンジしてくれるので、サーキットの急なコーナリングで自分じゃシフトチェンジできない! と思っても、ブレーキ操作だけでシフトを自動で下げてくれたりして、乗ってて凄く楽しいバイクでした!
小林―――スイッチ周りが新しいんだよね。今までにない指の操作があるので、まず覚えなきゃいけないのと、自動でやってくれる部分と自分が操作したい時のタイミングはもう少し慣れるのに時間が掛かりそうですね。形はMT-09で乗り心地やエンジンも今までと同じなんだけど、実は運転操作によって新しいバイクに乗っているみたいな感じでしたね。
竹川―――MTモードも慣れるようになったら、もっと楽しく走れるんじゃないかなって思いました。あとウインカーが普段乗っているのと全然違くてびっくりしました!「ウィンカーどこ!?」ってなりました(笑)曲がれば自動で消えるのも新感覚でしたね。
あともう1個気になっていたことがあって、ヤマハさんの説明でフロントにあるスピーカーから、吸排気の良い音がライダーに聞こえると仰っていたんですが、私は操作に必死だったのであまり体感できなくて・・・。
小林―――ヤマハさんの場合、排気音はチューニングという言い方をします。排気音もマフラーの方で色々操作できますが音に対する規制も強くなっている中、ライダーに対する音がないとやっぱり迫力がないよねっていうところで、ヤマハさんが目を付けたのが「吸気音」。エンジンは空気を取り入れないと燃えないので、その吸気部分をフロントに作って、ライダーにも聞こえるようにしたのが斬新で凄いですよね。だから他のバイクでは見たことが無いなかなか面白い機構だと思います。
願わくばもう少し時間を取って一般道も楽しみたいですね! 運転操作全般に関しては、足もつくしサイドスタンドも払えますし、次世代のスタンダードなバイクなので、クラッチ操作が要らないってなると特に初心者さんにオススメしたいバイクかなと思いました!
竹川―――皆さんに実際に手に取って楽しんでもらいたいですね。今回はサーキット走行だったので今度は公道で走れることを楽しみにしてます!
【小林ゆきさん略歴】
横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。愛車は総走行距離25万kmを超えるKawasaki GPz900RやNinja H2など10台。普段から移動はバイクの街乗り派だが、自らレースに参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化をアカデミックな側面からも考察する。
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【竹川由華さん略歴】
滋賀県出身のアイドル。愛称はゆうかりん。第二回サンスポGOGOクイーン審査員特別賞受賞。バイク好きの両親の影響で、自身でもツーリングに行くバイク女子。愛車はGPZ750・CBR250RR。2022年3月「BDSバイクセンサー」のイメージガールに就任。バイク好きアイドルとして活動の幅を広げている。
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◎びわこのゆうか
今までのバイクと別物!
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