公開日: 2024/09/25
更新日: 2024/10/03
日本二輪車普及安全協会(以下、日本二普協)は9月13日、「二輪車の安全運転を考える」をテーマにシンポジウムを開催した。当日は、スズキの濱本英信社長やアールエスタイチ企画部の栗栖慎太郎部長ら、4名の講師による講演とパネルディスカッションを行った。二輪車・用品メーカーや警察関係者など、約100名が参加した。
シンポジウムは一昨年にスタートし、今年で3回目を迎える。今回は、神奈川県警察本部交通総務課の小坂直人さん、秩父農工科学高校教諭の今井教夫さん、スズキ二輪の濱本英信社長、アールエスタイチ企画部の栗栖慎太郎部長をゲストとして招待。4名による講演とパネルディスカッションが行われた。
冒頭、日本二普協安全本部長の荒井龍介さんがシンポジウムの趣旨について、ライダーが長きにわたり安全に楽しくバイクライフを送れるよう、様々な分野の二輪車の安全に対する業務実情を講演してもらい、互いに見識を深める。そして、それをもとにみんなで対策を考え、さらなる安全運転普及活動を展開していきたい、と説明。続いて、日本二普協の小椋道生専務理事が挨拶に立った。
「令和5年度統計では、二輪車死亡事故が500人を超えている。二輪関係団体や警察などが安全啓発活動を行っているが、ライダーの考え方をあまり変えることができてないのが実情だと感じる。様々な分野の安全に対する取り組みや観点を融合させることによって、交通社会に生きる1000万人の心に刺さるような、安全啓発活動ができるようになればと思っている」
講演では、まず神奈川県警察本部の小坂さんが、「二輪車交通事故防止対策について~悲惨な交通事故をなくすために~」をテーマに、同県における交通安全の啓蒙活動や、AIを駆使した事故分析などについて講話。次に高校教諭の今井さんは、「地域と連携した交通安全」をテーマに、バイク通学者への安全運転教育や秩父警察署との連携等を説明した。
続いて、スズキの濱本社長は、「二輪車の安全運転を考える」をテーマに、『若年層への安全運転教育』『商品における安全運転の考え方』『リターンライダーへの安全運転教育』について、同社の取り組みを紹介した。その中で、昨年、免許取得者数が最多であった20代よりも、40~50代のライダーによる事故死亡者数が多いことに言及。さらに、イベントを通じて、「もう一度バイクに乗りたいけど、何十年も乗っていないので自信がない」といった、50代以上のユーザーが多いことを実感し、新たにリターンライダー向けの安全運転教室を企画している旨を明らかにした。
「リターンライダーを対象としたスクールは、U30スズキセイフティスクールと北川ライディングスクールの中間に位置するような設定にする予定です。走りたい気持ちと走れない体のバランスをとるとともに、最新の安全運転に対する考え方を学べるカリキュラムを企画しています」
そして、アールエスタイチの栗栖部長は、「日本二輪市場における安全装具の重要性と普及方法について」をテーマに、胸部プロテクターの歴史や普及への取り組みを紹介。CE認定など、胸部プロテクターの性能は進化しているが、着用率は2020年で8.4%と、10年前から約4ポイントしか増えていない現状について説明した。さらに、今後の目標について、「2030年までに、胸部プロテクター着用率を2020年の倍となる16%にしたい。この実現に向け、ボタン式着脱システム「CPS(チェストプロテクターシステム)」の枠組み拡大や、商品の低価格化を進めている」と述べた。
講演後に行われたパネルディスカッションでは、ゲスト4名による討論を実施。20年前と現在の学生のバイクに対する考え方の違いや、女性用胸部プロテクターを生産する難しさなどについて説明が行われた。さらに、U30スズキセイフティスクールなどのイベントに、用品メーカーの出展を仰ぐことでさらに発展させていきたいと濱本社長が語るなど、今後の展望についても意見交換が交わされた。
パネルディスカッション終了後、マスコットキャラクター「ニーリン」とサブキャラクター「たぬゴー」の発表が行われた。今後、日本二普協が展開する安全施策の認知度向上および安全運転講習イベントへの参加促進などにおいて、積極的に活用していくという。
人気記事ランキング